読者投稿編 その1

【茫猿遠吠・・読者投稿 その1・・02.06.14】
 一連の記事はさすがに諸兄姉の関心を呼んだとみえて、少なからぬ読者から投
稿を頂きました。全て、匿名にて掲載致します。
尚、ご投稿の全てを掲載するものではなく、同時に投稿ご主旨を損なわない範囲
で茫猿の手で多少の校正を行っております。
『読者投稿 その1・・近畿地方 N.T氏』
 鑑定士というのは攻められやすい業界だと思いました。
NPO建物鑑定協会が鑑定士は建物がわからないと言っているかどうかはともか
くとして、1級建築士よりは(技術的分野では)詳しくないのですから、
 近々、我が会では直接法収益価格の想定内容の内、建物実効容積について他の
専門家に依頼してボリュームチェックをしようといています。
このような、他の専門領域を統合する能力が鑑定業界にあることを早く対外的に
示すことが大事だと思います。
 地域協議会や単位士協会で建物の勉強会をしたりするのは大いにいいことです
が、かのNPOと同じ土俵の議論をしたのでは、エンジニア的部分の議論に引き
ずり込まれて勝てないはめになります。
 経済分析から立地分析、環境との適合性その他トータルな分野をまとめて、投
資採算について鑑定士が価値判断なり予測ができるのだということを示してこそ、
信頼性なり競争力を勝ち得ることになるのではないでしょうか。
 また業界全体をしょって立った意見も限界があることで、鑑定士だから建物は
技術的にはわからないというのは間違いですが、鑑定士だから建物も技術的部分
まで全部当然わかると言い張るのも無理があります。
 勉強している鑑定士は相当の技術的分野まで詳しい、しかも広範な分野まで視
野に入れた判断を提供できる鑑定士も多い、という線で個々人ががんばれば業界
も評価を高めていけると思います。
『読者投稿 その2・・中部地方 K.S氏』
 NPO建物鑑定協会とは考えたものです。
以前から何もトレーニングの機会を与えずに、不動産鑑定士によく建物の鑑定評
価をさせるものだと不可解に思っていました。
 せめて建築士に合格できる程度の知識・能力がなければ、本来建物の鑑定なん
かはできないと従来から思っていましたから。
 この業界のことを少しでも知っていれば、建物鑑定士というネーミングを
思いつくのは当然といえば当然ですが。
不動産鑑定士といいながら、建物に関する受験科目はなにもなく、
勉強させる手順、手段もなくて不動産鑑定士と呼称させ、
独占的に建物の鑑定評価をさせるのですから、お上の力は偉大です。
今後はどうなるか判りませんが。
結局の処、市場が決めてゆくでしょうが。
『読者投稿 その3・・関東地方 T.K氏』
 NPO建物鑑定協会については、私の参加するMLでも話題になりました。
「建物鑑定について、一級建築士に認められていることであり、法的に問題では
ない以上、我々鑑定士が建物評価の精度をあげる努力をするしかない。
ただし、土地の評価について言及している部分は、日本不動産鑑定協会を通じて
対応する必要がある。」というのが有力意見です。
 また、国土交通省ではどう解釈してるのかというと、
(MLの中での噂ですが、確度は高いと私は思っています)
「現在情報収集中であるが、なんらかの問題がおきれば対応する」ということの
ようです。すなわち、問題が起きなければ何もしないということでしょう。
 日本不動産鑑定協会内部では、「なんらかの対応はすべきであろう」という声
が有力だと聞いていますが、どこまで本気なんだかねぇ・・・。
 私が思うに、世の中の正直な感想が現実に形となって現れてしまったと思って
います。他の鑑定事務所の評価書を拝見する機会も多いのですが、建物に関する
記述は、私自身の評価書を含めて、いささか弱いというのが実感です。
 ご存知のとおり、証券化などの案件の場合、建物については建物の専門家(○中工務店とか△成建設とか)に分析を依頼するのが通例だろうと承知しています。
いわゆるデューデリです。つまり、証券化案件の建物については、鑑定士よりも
建築家ですね。
 証券化案件からわかることは、不動産鑑定士の仕事は土地の価格と複合不動産
の価格を出すだけだということです。土地本位のなかで育ってきた鑑定評価制度
で建物に対する対応がまだまだ不十分な以上、当然です。
私なりの結論としては、NPO建物鑑定を認め、競争相手として戦っていこうと
考えています。
※以下の投稿掲載は次号です。

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