節分のおばけ

【只管打座・・03.02.06・・節分のおばけ】
節分も過ぎてしまいましたから、六日の菖蒲ということになりますが、体験記事であり来年のための情報ということで。


立春を前にする節分では、全国のあちらこちらの神社仏閣では豆まきが行われます。昔は家庭でも豆まきを行ったものですが、最近は行う向きは少ないようです。その分、観光行事としての「豆まき・追儺・鬼遣らい」は盛んになるばかりである。岐阜県の飛騨地方では、節分行事として村人が扮装した七福神行列が行われる村も多いのです。

ここで茫猿が語るのは、京都の節分行事である「おばけ」である。もともとは、一般的な行事であり、節分の厄除けに女性や子供が「おば髪(け)」という髪を結って厄除け参りをしたのが、始まりのようである。それが、いつのまにか花街の行事となり、五花街(上七軒、祇園甲、祇園東、先斗町、宮川町)の女性達の華やかな行事となったものだそうです。

昨今は景気のせいで、以前ほど華やかではないのですが、それでも芸妓衆をはじめバーやクラブに集う女性達が趣向を凝らした扮装をして楽しませてくれます。この日は、客もなにがしかの扮装を求められ、カツラをかぶったり、日頃着慣れない和服や裃を付けたりする粋人もいます。中には、素顔で十分「おばけ」と言われてクサル客もいるとかいないとか。

話は、これからでして。そんなお座敷に揚がったり、お店を覗いたりするのは、とてもお金がかかるとお思いでしょうが、実は無料で楽しめる方法があるのです。 特に芸妓衆なのですが、せっかくお金をかけて扮装をした訳ですから、彼女たちも元をとる必要があります。

お金のかけ方は色々なのですが、衣装代、着付け費用などウン十万円という人もあるそうで、折角の扮装であちらこちらのお座敷を巡り、ご祝儀を頂くという胸算用です。
ですから、彼女達がお茶屋からお茶屋へ巡る、移動光景が拝見できるという訳でして、少し寒いのですが、ほろ酔い気分でお茶屋街を散歩していますと、あちらこちらで色々な「おばけ」に出会えます。

茫猿がこの春出会った「おばけ」は、道成寺安珍清姫、武蔵と小次郎にお通、七五三参り(後ろ姿だけは、可愛い桃割れ髪の振り袖娘に小学生と幼稚園児)、なぜか墜ちた天使にミニスカポリスと海賊船長(浜崎あゆみたいに口ひげがとても可愛かった)などです。

なかでも武蔵・小次郎・お通トリオは秀逸でして、深夜に某ライブハウスにたむろしていましたら、トリオが現れて寸劇まで披露してくれました。多分、粋なお客さんが彼女達を同伴して現れ、ノリの良い彼女達がミニショーを演じてくれたのでしょう。背後に動いたであろうご祝儀の高を詮索するのは野暮なことです。

来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、機会があれば、祇園新橋界隈などのお茶屋街を散歩してみてください、思わぬ眼の保養になります。出会えた「おばけ」で運気を占うというのもオツなものです。 八坂神社でも節分祭が盛大に行われ、花街の芸・舞妓さんや年男の氏子による豆まきや、鬼に扮した芸妓による舞踊奉納も行われますし。

・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・・・・
節分と云えば、巻き寿司の丸かぶりも、何やら盛んになって、今年はコンビニでも「節分太巻き寿司」が売られていたようです。恵方の方角を向いて、太い巻き寿司をくわえ無言に食べきると、厄除けになるという話ですが、これはどうやらバレンタインチョコレートにヒントを得た大阪の海苔組合が仕掛け人のようでして、1970年当たりから広く行われるようになったと、ものの本にはあります。

それに較べれば、節分の鰯は由緒正しい行事でして、節分の夜は鰯を焼いて柊の枝に刺し門口に飾る厄除け風習が廃れ気味なのは、少し残念です。鰯ではコマーシャリズムに乗らないからと言えば、それまでですが。「鰯の頭も信心から」というではないですか。

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