岐阜会の抱える難題

【茫猿遠吠・・岐阜会の抱える難題・・04.09.10】
 事例収集新スキームに関して整えなければならない課題の内、岐阜会はその多くについて環境整備に着手しており、幾つかは実際に運用しています。


・事例収集について云えば、取引事例悉皆調査を実施して既に十年近くになります。
 ※取引事例悉皆調査
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=985099381
・会員の情報基盤ネットワークであるWANを整備し運用を始めて数年余になります。WANでは、グループウエアも利用しています。そして、本年度よりはWANを進化させて、B.B-WANとして運用を開始しています。
 ※B.B-WAN ブロードバンド ワイドエリアネットワーク
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1082479745
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1082913919
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1091557408
 ※グループウエア
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1001706515
・事例調査に関して云えば、初歩的なものではありますが、MAPシステムを利用した標準地、基準地、標準宅地等の地図を整備して、岐阜県地図システムとして運用を開始して数年になります。本年度よりは、より効率的に、より効果的な事例調査を行うために、新しいMAPシステムの採用を準備しつつあります。
 ※岐阜県地図システム
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1054586674
・さらに、05.04施行の個人情報保護法並びにそのガイドラインの施行に併せた個人情報安全管理対策も検討を始めました。
 でも、これら事業の進捗については、岐阜会会員の全面的な賛意を得ている訳ではありません。少なからぬ会員が消極的ながら否定的な意見を示しています。
彼等、消極的否定派の一人、仮にF君としておきましょう。
F君が、私に告げます。
『これ以上、取引事例を充実して、何か良いことがあるのか?
精度の高い、新鮮な取引事例を充実して、
全国の鑑定士に公開して、何が良くなるのだ。
事例を全国の鑑定協会会員に開示する状況を高めれば高めるほど、
業務を地元以外に奪われるだけだ。
もうFの地元に仕事は残っていない。』
 彼の発言は悲痛な響きを持っています。
取引事例や賃貸事例の開示度を高め、廉価で(事例収集にかける人的、時間的、コストに較べれば、無償と言っても良いほどの廉価で)開示すればするほど、域外鑑定業者の既往業務侵食が激しくなっている。
 低廉報酬見積書を武器にした域外(岐阜県内の他地域)、県外、圏域外の鑑定業者による「鑑定及び鑑定付随業務」の、F君に云わせれば「簒奪」が激しさを増している。
 彼は、岐阜県の県庁所在地である岐阜市以外に事務所を構える中堅をとっくに越えた老練鑑定士です。その彼にして、岐阜市在住鑑定業者、隣県在住鑑定業者そして東京在住鑑定業者の業務侵食に悲鳴を上げているのです。
 だから、F君は云うのです。
『もうこれ以上、事例を充実したくない。事例の開示度を高めたくない。都市圏鑑定業者に奉仕したくない。』
『せっせと取引事例や賃貸事例を充実して、それを岐阜や名古屋や東京に送って開示すればするほど、我々が整備した事例を手にした他者による業務侵食を助けるだけだ。』
『私は岐阜県としての事例充実に力を貸したくない。
自分が在住する市町村とその周辺に限定した圏域情報の充実に努めたいそれが、自分を生き延びさせる唯一の方法だ。』
茫猿自身も、対名古屋、対東京に関しては、F君と利害が共通します。
しかも重要なことは、F君にとっては茫猿も域外からの侵食業者なのです。
少なくともそこに組みする者、或いは手助けする者なのです。
 まさに、事例をせっせと整備する者と、それをせっせと利用する者の乖離が大きく開いているのです。様々なネットワーク、つまり鑑定業者のグループ化、業務遂行のためのネットワークの充実などが、鑑定業務や鑑定付随業務の囲い込みを一段と進めつつあり、この業者ネットと業務ネットの枠外にいる鑑定業者をじわじわと追い込んでいるのです。
 岐阜県内において、岐阜市在住と岐阜市以外在住鑑定業者の関係は、岐阜県と東京・名古屋との関係の縮図なのです。つまり業務獲得で争う、少なくとも競う相手にこれ以上に「質量ともに豊かな事例という武器」を与えたくないと述懐するのです。
 F君の主張には十分な理があります。つまり、豊富で精緻で新鮮な事例を利用する側が、その事例を準備した側の努力について無理解であることが、事例に対する価値観の乖離を拡大し、対立する感情を激化させているのです。
『侵食し簒奪する敵に、せっせと食糧弾薬を運び込むお人好し』、
F君は自らをそう表現しました。
協働して事例調査をおこなうことの意義も意味も十分に認めてはいるけども、もうこれ以上はお人好しでいられない。
 彼の主張は、幾ばくかは県庁所在地に在住する茫猿への非難も含むモノであり、反論する言葉を無くすモノです。
 新スキームの末端に位置する鑑定士に
(あえて、誤解を恐れず末端と云います。)
支えられる取引・賃貸事例収集業務が、充実すればするほど、
中央を利し、末端を困惑させ困窮させる実態を解決せずして、
事例収集新スキームの成功はあり得ないとも云えるのです。
 読者各位はF君の叫びを「エゴ」「ミーイズム」と聞きますか?
 それとも共感同調しますか?
 そして、この乖離し対立する難題をどうしたら解決できると考えますか?

関連の記事


カテゴリー: REA-NET構築 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください