鑑定協会役員選挙

【茫猿遠吠:鑑定協会役員選挙:05.03.13】
 さて、選挙である。
二年に一回の鑑定協会定例役員選挙日程が公示された。
05年03月09日立候補受付開始、03/18届出締切、郵送投票締切が04/14である。
先号記事の鑑定士のブランドイメージとの関連から云えば、鑑定協会役員選挙が業界紙を除いて、マスコミに取り上げられることは少ない。せいぜい、小さな囲み記事になるくらいである。
 役員選挙というものは、我々専門職業家団体にとっては大きな広報の機会である。協会や業界の変動の様子、協会が何をもって世間にアピールしようかという、その意味ではとても大きな機会なのである。
狭い業界のコップの嵐にしてはならないのである。
 不動産鑑定士というものを、不動産鑑定評価というものを社会にどのように位置づけてゆこうかという姿勢が問われる機会なのである。
そういった意味から、茫猿は役員候補者に望ましい人物像をこんな風に描いてみた。
・年齢等:不動産鑑定士キャリアが十年以上、年齢55歳以下が好ましい。
 若ければ佳いというものでもなかろうが、やはり清新な人材が望まれる。
・地価公示の現役の評価員であってほしいが、
 少なくとも離れて数年以内の方が望ましい。
・公約等:協会を運営するビジョンが明確かつ具体的であること。
 あれもこれもという総花的公約は不要であり、公約に優先順位がほしい。
 何よりも任期は二年間と限られているのであり、できることも限られるのである。その限られた期間に何に向かって全力投球するかという決意表明が求められるのである。そして、今後の十年に責任が持てる方であってほしい。
 間違っても、鑑定士の地位向上、義務鑑定制度の創設、地価公示の拡充・報酬増額などとは言ってほしくないのである。士法制定に言及するのは構わないが、その具体的かつ実現可能性が高い道筋を示してほしいのである。
百害有って一利無いカビ臭い精神論などは無用に願いたいのである。
 誤解の無いように付け加えておくが、地価公示を廃止しろと云うのではないし、報酬減額を是認する訳ではない。ただ昨今の財政事情を考えれば、ひとり地価公示だけが蚊帳の外で地点数増加や報酬額増額を求めても意味のないことであろうと思うのである。
 優先順位の第一には、現在端緒に附きつつある取引事例悉皆調査の、有効かつ永続的な運営を可能にするスキーム造りを挙げて頂きたいものである。
そしてこの調査を円滑に進めて行くには、利用効率の高い安全且つ安定したネットワークが不可欠なのである。
 優先順位第二位には、個人情報保護法対策である。鑑定士のブランドダメージリスクを回避するためにもセキュアなネットワーク構築が不可欠なのである。
 とみてくれば、真の優先順位第一はセキュアなネットワーク構築と云うことであるが、これは云うに易く行うに難しである。安全性を追求すればするほど、使い勝手が悪くなり、何よりもコストがベラ棒にかかってしまう。利用効率を優先すれば安全性が疎かになってしまうという困りものである。
 それにネットワーク投資は眼に見えて収益を向上させるものではない。
しばらくはコスト増につながるし、下手をすれば業務効率を低下させるだけである。この辺りの匙加減は結構難しいと云えるのである。
 それでもやはり、機能的・有機的かつ安全性の高いネットワーク構築を、鑑定協会の優先課題として取り上げて頂きたいものである。
役員候補者各位には、是非とも両事業についてのお考えを聞かせて頂きたい。
 前回選挙においても、茫猿は公開質問を致しました。
今回も近日中に公開質問を致したいと考えています。
候補者からご意見が寄せられれば、我が『鄙からの発信』サイトに掲載します。
 コンピューターネットワークを基軸にした会員間の有機的ネットワークの構築がナレッジマネージメント形成にまで至ることができれば、鑑定士の未来は明るいと考えるのは、決して楽観に過ぎることではないと云える。
 取引価格情報新スキームをみるまでもなく、これからは鑑定士が鑑定士個人としてネットワークに参加して行く時代に入るのである。それは、必然的に鑑定業者感覚を捨て去り、鑑定士感覚を養成することとなり、事実上の鑑定士会を形成する端緒となるであろう。
 時代にふさわしい、新進気鋭の候補者の出現が待たれるのである。
ネットワークが構築できればこと足れりでもないし、こと成れりでもない。
我々の意識が、それに伴って改革されねば、
絵に描いた餅であろうし、仏造って魂入れずであろう。
それでも、絵は描かねばならないし、仏は造らねばならない。
先ずは枠組みやツールが必要なのである。
 取引事例の悉皆調査と鑑定士ネットワークという武器を用いて、社会に何をアピールしてゆくのか、どのようなサービスを提供してゆけるかが問われることとなるであろうと予感する。
こういった新しい革袋には、やはり新しい酒が好ましいと考えるのである。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 今回の選挙に関して、茫猿も多少は立候補を考えないでもなかった。
何らかの役員選挙に出るように、複数の友人から勧めて頂いたのも事実です。
 特に、喫緊の課題である「取引事例悉皆調査」と「不動産鑑定士ネットワークの構築」は、六年前に茫猿が立候補した折りに公約として掲げたものである。
 その公約が実現できる状況に今ある。時代の風が茫猿に向いているとも言えないことはないのである。でも、立候補は止めました。
その理由の1
 この両事業が鑑定士の存立基盤を左右するものと考えるからには、この両事業の成就を公約として立候補すれば、折角の事業成就機運が政争の具となってしまうことを畏れたからです。
 仮に当選できたとしても、今のように自由に発言することが許されなくなる畏れが高いと考えることもあります。ならば、今のまま、全国の会員に向けて自由な情報発信を続けることが意味も価値もあると考え、そしてそのことが実現への一助になれば佳いと考えるからです。
その理由の2
 今さら地位を望む訳でもないのに、二年間の職務遂行は体力的限界を感じるからです。網膜剥離後遺症の負担は結構大きいのです。
それに、茫猿は現役の公示評価員ですが、既に61歳です。
その理由の3
 これが一番大きい理由かもしれませんが、この三月四月を選挙運動に忙殺されれば、両事業成就に一番大事な時期を俗事に費やしてしまいます。 それこそ、本末転倒と考えたのです。
 これも大変重要なことですが、過去二回の選挙で役員候補者への公開質問を行い、 Web Site 『鄙からの発信』のメデイア責任を果たして参りました。
しかし立候補すれば、そのメデイア責任の継続がかないません。

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