酔芙蓉

 酔芙蓉という花をご存じですか、もう何年前になりますか、なかにし礼作詞、三木たかし作曲、石川さゆりが唄った「風の盆恋歌」に詠まれている花です。


 「蚊帳の中から 花を見る 咲いてはかない 酔芙蓉」(風の盆恋歌)
越中八尾の風の盆は9月の初めに、灯りのとぼしい山里の街並みをじょうじょうと胡弓の音が流れ、優雅な踊りが町流しをしてゆく、そんな情景に背を向ける女心を唄った歌だったと記憶します。
※画面中央の無料試聴アイコンをクリックすると、越中おわら節が試聴できます。
 その酔芙蓉が今年も風の盆(二百十日)に合わせるように咲き始めました。最近の風の盆は観光客があまりにも殺到するから、昔の風情が無くなったと聞きます。だから、八月後半の「おわら前夜祭」だとか、九月末の「月見のおわら」に参加した方がかつての風情が少しは味わえるようです。
 先々号エントリーで世界遺産・合掌造り白川村荻町と富山県旧上平村菅沼集落の対比についてもふれましたが、観光客は来て欲しいし、来過ぎれば邪魔になるし、とかくこの世はままならぬとでも言いましょうか、難しいことです。
 写真の酔芙蓉の花は岐阜市今小町交差点角にあります。朝方は白い大輪の花を咲かせ、お酒に酔うたみたいに少しずつほの赤く色づいてゆくのです。夕方には赤く出来上がりますが、その時はもう萎み始めているのです。この写真の撮影時刻は午後二時です。ほんのり頬を染めたお嬢さんといった風情が感じられるでしょうか。朝咲いて、色染めながら、夕刻には散る。何とも見事な在り様(ありよう)と申したら、何か当てつけがましく聞こえましょうかね。

今小町交差点の芙蓉の木全景です。落葉灌木です。

08/09/16 13:30 に撮影した酔芙蓉、昨日の赤い花と今日のピンクの花、萎んだ赤い花はふれれば落ちるのも微妙なのである。

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