潮騒と十字星(1)

 クリスマスはインド洋を望む浜辺で南十字星を眺めながら過ごしていました。 気温はほぼ28度±、陽射しのある日中は30度±でしたが、絶え間なく南西風が吹いているのと、季節が雨期にあたることから曇天やスコールも多いので、過ごしやすい一週間の休暇でした。


 例年なら地価公示業務の最盛期ですし、そうでなくとも年末に一週間もの休暇を取ることなど考えられませんが、あろうことか長男が結婚式をバリ島で挙げたいと言い出し、自分たちの新婚旅行を年末年始休暇に合わせて予定を立てたことから、必然的に結婚式はクリスマス連休にとなった訳です。 おかげで、式に連なる新郎新婦の縁戚と言いましても親・弟妹はクリスマスを海外で過ごすこととなった次第です。 専業主婦の母親二人はともかくとして、社会人である新婦の二人の妹と新郎の弟、何よりも父親二人は周りの顰蹙をかいながらも若い二人の強い希望には勝てずに繁忙期の年末を海外で過ごすハメとなったわけです。
 鄙の堂守はセントレア(中部国際空港)から飛び立つ前日(12/19)の深夜まで取引事例の作成に追われ、搭乗した瞬間から南の島に降り立つまで高イビキでした。 バリ島デンパサール空港について成田から来る新郎新婦と親族を待つ一時間余も、屋台程度の売店とわずかのベンチしかない入国者出口で、夕立の残した湿気と熱気と異国の匂いと、理解できないマレー語に囲まれて、為す術もなく過ごしていました。 地方空港の例にもれなく、デンパサール空港も出国者入り口付近は免税店や飲食店、ラウンジもあり時間を過ごすに不自由しませんが、入国者出口はトイレすら探さねば判らないくらいですから、次から次へと降り立つ観光客がガイドに迎えられてホテルに向かってゆくのを眺めながら、何かを考える気力もなくボンヤリと過ごしていました。
 ようやく着いた成田組と合流し渇きと空腹を抱えてホテルに向かい、夕食のテーブルに着いたのは十時近くでしたから、ビール以外は喉を通らない始末でしたが、翌日からの数日は生涯忘れられなであろう日々を過ごさせていただきました。 その顛末の幾つかを、地価公示の合間を縫いながらしばらく綴らさせていただきます。 
【2008/12/20:土】
 雲海の向こうに見えた富士に見送られてセントレアを旅発ちました。

 到着した夜は疲れから何も憶えていませんが、翌朝のホテル・ゲートです。 画面右下にガードマンがいるゲートのバーが見えます。

 今から思えば惜しいことをしましたが、デンパサールの入国者出口付近の写真はありません。疲れと眠気から写真を撮ることまでは思いが至らなかったのです。
「では、また明日。 Selamat tidur そして、ありがとう。 Terima kasih 」

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