NSDI-PT・β版公開:3/4

 仮称REA-MAP・β版は、ようやくに会員宛開示と会員による試行を迎えたばかりであるが、これらNSDI-PTは鑑定評価を如何に変えてゆくのか、提案者の思うところを伝えるのもその義務であろうと思います。 そこで大胆に、そして希望的観測も交えて予測する。 (09.02.23作成)


 先ずは、地価公示を変えるであろう。 事例の作成方法や、事例カードNO.2作成を変えるのは容易に理解できるであろうが、それに止まらない。 各種事例属性データの取り方、採用事例の取捨選択方法、事例等付属資料の納品方法を一変させるであろうと予測する。 取引事例が緯度経度情報を保持するようになる結果、不動産市場における取引データの時系列分析だけでなく、面的分析を含む三次元分析が可能になる。
 地価公示の変化は、そのまま鑑定評価を変えてゆくであろう。 取引事例比較法の既存枠を脱して市場資料分析結果を背景とする比準価格へと移行してゆくであろうと予測する。 その結果として、茫猿が久しく提唱し続けている、土地価格比準表の改訂や、数値比準表の採用が汎用的に行われるであろう。 それらは、事情補正と時点修正を変えてゆくであろう。恣意的判断や補正に陥ることもある両者を変えてゆくことは、評価処理手順の変更に至ることもあるだろう。
 地理情報の活用は賃貸事例も変えるし、賃貸事例の利用方法も変えてゆくであろう。 事例データの多面的なデジタル化は、鑑定評価における配分法事例も含めて更地事例に偏重しがちな現況を、複合不動産評価に対応するものへと変えてゆくことも可能であろうと予想する。 事例資料のデジタル化進展は複合不動産事例の写真を利用することが可能となり、複合不動産取引資料としての意味を増して行くであろう。 この項は詳細説明が必要であろうが、配分法の検証、取引時点の状況と取引後のリニューアル結果との検証などに写真は有効な資料となるだろう。 複合不動産取引事例のフォーマット再構築と言い換えてもよいのである。
 さらにこのことが最も重要と考えるのであるが、取引データに基づく社会への様々な情報発信は必ずや双方向的なものに移行するであろう。 ICT(Information and Communication Technology)の赴くところは其処にしかないと考える。それは、市場に溢れる取引データや賃貸データを今より透明度を高くし、即時開示性を高めるであろう。
 悉皆調査とREA-NETとNSDI-PTは鑑定士のあり方を変えるものとなるであろう。 取引事例をはじめとする資料収集に汲々とする現状から、不動産鑑定士の本来の姿とも云える市場分析者としての姿を鮮明にしてゆくツールとなるであろうと予測する。 
 不動産市場のマーケティングツールが充実することは、ツール利用のノウハウやスキル向上を要求するであろうし、同時に不動産鑑定評価市場そのもののマーケティングを再考させる端緒となるのであろうと予測するのは、大胆に過ぎるであろうか。
 不動産センサス(取引悉皆調査)の充実、REA-NETをはじめとするネットワークの充実やICT化やWeb対応、さらにREA-MAP等地理情報活用の充実は、公益法人改革対応などとあいまって、間もなく制度発足五十年を迎える不動産鑑定評価を新しい時代へ導くであろうと予言するのは大胆に過ぎることであろうか。
 未曾有の不況などと言われております景況悪化は、地価公示や地価調査の地点数縮減に止まらず、取引事例悉皆調査の調査対象区域を全国から地価公示実施区域へ縮小する、さらには政令都市と県庁所在地にまで縮小するなどという話が水面下で囁かれているとも聞こえてきます。
 そんな逆風の中であればこそ、悉皆調査は不動産鑑定評価存立の基盤であり、負担の増加に耐えてでも遂行しなければならない業務であるという自覚が求められると考えます。 また逆風時こそが得難い機会であるという逆転の発想のもと、ブレイクスルーを求めて活路を見出す気概が必要なのであろうと考えます。 
 価格を含む取引情報の全面開示と不動産市場のさらなる透明化が求められるのは、そんなに遠くない時期かもしれないという準備も必要だと考えます。 悉皆調査推進や、ネットワーク構築や、地理情報充実は、そういった潮流の変化に備える準備でもあるのです。 さらに、それら不動産鑑定評価情報基盤整備のもとで、社会が求める市民に有益な不動産情報のWeb発信が今こそ求められていると考えます。 逆風下であればこそ大胆な発想と夢と希望が大切なのであろうと考えますが、如何なものでしょうか。

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