進化する草深包丁

ダッチオーブンを使ってのスモーク造りに、はまってから暫くになる。スモークチキンについては、一定のレベルに達したと自画自賛しているが、供した人は皆が旨いと言ってくれる。 世辞だけでなく食べっぷりも良いから、ほんとうに旨く思っていてくれると信じている。 何より、少しは旨いものを食ってきたと自負する茫猿自身が旨いと思っているのである。
そこで、スモークチキンからベーコン造りへと進んでみることにした。チキンよりは遥かに難しいベーコン造りに挑戦した顛末である。


用意したのは、骨をはずした豚バラ肉4ブロックである。 ブロック一つの大きさが6cm×6cm×30cmである。重量を計るのを忘れたが、ずっしりと持ち重みのする量である。 行きつけの肉店で大きさを指定してカットしてもらったものを購入した。

このバラ肉に塩とコショウをたっぷりと擦り込んで冷蔵庫に二日間保存した。iNetなどのレシピによれば、砂糖、ローズマリー、ナツメグも擦り込むとか、塩水に十日間漬け込むとかあったが、今回使用したのは塩とコショウのみである。漬け込み時間も三十時間程度である。 レシピどおりに作るよりも、取りあえずはスモークを重視してスモーク・ポークになれば良いと考えたからである。 本格的なベーコン造りは二回目以降のことである。 余分な脂は切り外せとも書いてあったが、肉屋さんで掃除もしてくれたから、掃除の工程はカットした。
塩蔵しておいた肉を流水で洗って余分な塩を除き、ペーパータオルで水気を拭き取り、一時間ほどおいてから、スモークの開始である。 使用したチップ材は桜と欅のミックスである。 腹側を下にしてダッチオーブン内の金網に並べ、火加減は最初は強火、表面の色が変わり始めたら火を落として中火にして、じっくりとスモークすること約一時間。
美しく飴色に仕上がったベーコンが完成した。 取り出して熱いうちに試食したら、脂が柔くて、スモークはスモークなのだが、脂味が勝ってイマイチという感じだった。けっして不味く感じたわけではなかった。 このスモークベーコンをペーパータオルでしっかりと巻いてから粗熱が取れた頃に冷蔵庫へ保管して半日、冷えたベーコンを薄くカットして口に入れたら「マイウー」である。
友人たち数名との飲み会に持参したところ、大好評だった。これは旨いとか、ビールが進むとか、なかには商売にできるぞとまで褒められたものである。今回は取りあえずの試作であるが、試作でこの評価であれば、本格的に作ったらどんな評価が貰えるのか今から楽しみである。 途中経過の写真を取り忘れたし、出来上がりは友人たちの胃袋に納まったりお土産にと差し上げたりしたから、出来上がり写真もない。
わずかに自家用にと残してあった切れ端がこれである。

スーパーで販売しているベーコンというか、ベーコン擬(モド)きはスモーク漬け汁につけ込んだだけというものが多くて、加熱しないと食えないなどというものも少なくない。そのかわり発色剤を使っているから、仕上がりの色は草深包丁ベーコンに比べればはるかに鮮やかなのである。なによりも口に入れて一口噛めば、広がるスモークの香りが何ものにも代え難い至福の味である。
スモーク造りを始めてから思い知らされたのは「真贋」ということである。贋物に慣らされて真物を知らないと云うことは怖ろしいことである。 真物は手間暇がかかるし、決して安くもない。 でも一度、真物の味を知れば、二度と戻れないのである。 贋物で妥協することは、自分の人生まで贋物に落としてしまうような気までする。 そんな感慨を得たのも、退隠し鄙暮らしを始めたお陰と思えば、鄙暮らしまた楽しである。
この秋に我が茅屋でのパーテイは既に三件の予約を頂いている。傍目には侘びしい鄙暮らしであるが、なかなかどうしてリピータもいて時折は賑やかなのである。
《閑話休題》
“極楽の余り風”という言葉があるという。 真夏の昼下がりに、何処からともなく ふとそよいでくる風のことを云うらしい。 鄙の茅屋では水辺をわたり木陰を縫ってそよいでくる風が、まさに極楽のあまり風なのである。 そんな風に吹かれ、畑からもいできて井戸水に冷やしてあるトマトや瓜を食べれば、あまり風どころか、夏また楽しいのである。
《閑話休題-Ⅱ》
不動産センサスの提案を行い、FaceBookにFB清水ゼミを開設したりして、ようやく議論が活発になってきた。 まだまだの感は否めないものの、「新スキーム問題の根源:寄稿」には、辛口のフォローコメントも頂いている。嬉しいことである。
《閑話休題-Ⅲ》
是枝裕和監督、柳楽優弥主演の「誰も知らない」がBSで放映されている。 この記事を書きながら、見るともなく見ていたら、キーボードから離れてまじめに観るべきだと思いだした。 カンヌ映画祭で授賞するだけの値打ちものだと思い始めている。だから今日はこれまでにする。

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