止揚学園五十周年

昨年のクリスマス会に訪れて以来、止揚学園を訪れることなく半年余りが過ぎてしまいました。私の生活環境が変わったのと、3.11大震災の影響が大きかったのです。 今年の盆も近くなり、一度 暑中お見舞いに学園を訪ねてみようと思い立ち、皆が大好きなスイカを抱えて学園をたずねてきました。 学園から帰ってきますと入れ違いに「冊子:止揚no.112」が届いていました。 ちょうど、学園で話題にしていた「陸前高田から一時避難していた小学生」が書いた手紙も記事になっていましたから、先号記事に転載したところです。
さて、学園は来年創立五十周年を迎えます。 この件について、3.11大震災が学園にも及ぼした様々な影響も含めて記事にしたいと思います。


止揚学園の四十周年記念行事に参加してから、早いものでもう十年が過ぎました。その折りのバザーで求めさせていただいた「見えないものを」と揮毫された福井先生のパネルは、今も茫猿の書斎に掲げてあります。
今年春の3.11大震災は、学園にも大きな影響を及ぼしています。 大震災が発生してしばらくの間は、学園にお届け頂く寄附は被災地へ届けて頂きたい。学園も余裕があるわけではないけれど、今は全国の皆が被災地へ支援の手を差し伸べる時である。 国や自治体の支援が届くには時間がかかるであろうから、先ずは小回りのきく民間支援の輪が広がってほしい。
学園スタッフのひとりは、そんなふうに語られました。 でも、大震災発生後半年近くたったいま、学園に寄せて頂く寄附は例年に比べてとても少なくなっているのだそうです。 国や県からの補助金や支給金だけでは、行き届いた、少なくとも学園が実行したいとする介護には不十分であり、民間寄附が学園運営の大きな支えとなっているのです。 でも、寄附が減少して運営がたいへんなのですと言われます。
例えば、障害者自立支援法による福祉施設の運営に際して、施設定員に対しての職員構成は正規雇用職員を一定割合に止め、残りは非正規雇用職員で補うことにより総人件費を抑制するように指導されるのだそうです。 (厚生)労働省が非正規雇用を推進するかのような施策を採用するとはなんたることかと思いますが、それが今の実態なのだそうです。
正規雇用職員を中心にして非正規雇用職員を配置して介護・養護を行いましょうという、経済合理性を前面に打ち出した施策は、福祉の現場に経済効率性を持ち込むものであり、介護・養護の実態を歪めかねないものがあります。 はやい話が、食事も給食センターなどを利用して「その日の在園生数に応じた給食数を配達してもらい、無駄を無くす。」などと効率性を高めることが求められるのです。 止揚学園のように三度の食事を園内の厨房で整えるというのは、効率性や合理性にそぐわないことと見られるのだそうです。
皆でテーブルを囲んで摂る食事が大きな楽しみになっている園生の幸せを、合理性や効率性の名のもとに奪い去ってよいとは、とても考えられません。 先号転載記事にも書かれているように、3.11被災地は今も苦しみの中におられます。だから支援の手を減らしてなどと言うつもりは全くございません。 でも、以前からの民間支援に支えられていた、止揚学園だけでなく多くの福祉施設やあしなが会なども、その実態はたいへんなのであろうと思います。
かくいう茫猿にしても、3.11以後は止揚学園へもあしなが会へも何のささやかな手も差し伸べてはおりませんでした。 どうすれば良いという結論などが簡単に出る問題ではありませんが、大震災の陰に様々な影響を受けている様々な人たちがいるのだと、そちらも忘れないようにしていたいと考えています。
さて、表題の止揚学園創設五十周年ですが、1962年に福井達雨先生が滋賀県近江八幡市に学園を創設して以来半世紀、来年2012年秋には学園創設五十年を迎えます。 ぼちぼち創設記念行事の準備に取り掛かる時期が来ていますが、なかなか準備が始められないのだそうです。資金的な問題もあるのですが、なにより「時節柄、記念行事などは自粛すべきでは」という声が耳に入ってきて悩ましく思っているのだそうです。
そんなお悩みを伺った茫猿は、今や年かさのサポーターとなった一人として、こんなふうに申し上げたことです。
・自粛なんてとんでもないことです。
・三月当座なら延期も有り得たでしょうが、来年秋のことです。
・今から準備して盛大に五十年を感謝し祝って下さい。
・何よりも在園生の皆にとって、とても嬉しく楽しいお祭りではありませんか
・職員スタッフの皆さんにとっても、モチベーションを高める良い機会でしょう。
・私たち、サポーターにとっても、学園への思いを新たにする良い機会です。
・それに多くの人にとって、学園を思い出し、学園への支援の機会を得る良い行事です。
云うまでもないことですが、形式主義のセレモニーや派手派手しいお祭りなどは行うべきではないでしょう。学園が常に行い求めている、手作りの質素で心のこもった暖かい行事を是非とも行って下さい。 世間に溢れている周年記念行事などは、学園とは無縁であると十分承知していますから「言わずもがな」でしょうが、ついつい無遠慮にも申し上げてしまいました。 何よりも、自信をもって在園生のために、節目に立ち会える喜びを祝っていただきたいと考えるからです。 それにしても「自粛」など、誰が言うのかと、ついつい声が大きくなっていた茫猿でした。
《止揚学園へのご支援》
滋賀県東近江市佐野町885
社会福祉法人 止揚学園(口座加入者名)
振込口座 01010-7-42202
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電話 0748-42-0635
FAX 0748-42-0806

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