利回り調査報告

 士協会事務局より標題の冊子が送付されてきた。 正しくは「東海四県下における利回り調査報告」(平成23年12月)《中部不動産鑑定士協会連合会:利回り調査特別委員会刊》である。全70数頁に及ぶ基礎資料とグラフ満載の労作である。
 この種の調査結果について揚げ足取りをするのは簡単である。いわく標本数が少ない、いわく調査内容の実証性にやや難点、いわく分析手法が未熟等々、言揚げするのは簡単であろうが、いずれもコロンブスの卵であり、誰も着手できなかったことを仕上げ得たことに最大の意味があると考える。 願わくば、この調査が平成24年以降も継続されて、基礎資料をさらに積み上げ、分析手法を精緻に練り上げてゆかれることを期待するものである。


 かねてから田原拓治氏が「鑑定評価における利回り判定」について、氏のサイトにて度々の疑義を表明しておられるが、田原氏の指摘にも応えうる一つの方法論となるものであろうと考えるものである。 重ねて「持続こそが力」と申し上げるのである。 また新スキーム調査から得られる一つの有力な実証分析データであると評価すると同時に、関係各位の地道な努力に大いなる敬意を表すものである。
 以下は冊子よりの抜粋引用である。詳細についての報告書は中部会事務局にて閲覧もしくは頒布が可能であろうと思われるから、興味を有する方は中部会事務局へ問い合わせられたい。

Ⅰ.貸家利回りの調査概要
1.調査の経緯
 平成20年11月21日に岐阜で行われた第26回不動産鑑定シンポジウムで発表した「取引事例等の総利回り調査」は、不動産鑑定士が収集した収益事例を活用し、還元利回りの査定根拠資料の作成を試みたものであり、その調査結果は中部圏以外からも着目され、-定の成果を収めることができた。
 そこで、中部不動産鑑定士協会連合会ではこのシンポジウムの成果を継続的なものにできないかということで四県より有志が集い、「利回り調査特別委員会」を設置し、本調査を行うこととなった。

2.調査の目的
 短期的には利回り事例の収集や分析活動を通じて、中部圏独自のデータを各県の会員に提供し、評価精度の向上に資する情報の提供を目指し、中長期的には、利回り格差の比準表の作成や研修会などを通じて、広く社会提言をするような活動を行うことを目的とする。

3.調査の対象範囲
 ①取引年次
 平成18年下期~平成22年度上期(県ごとに収集開始時期は異なる)
 ②所在地
  岐阜、静岡、愛知、三重に所在する事例
 ③類型
  事例データのうち、「貸家建付地」または「建付地」のうち共同住宅や事務所、店舗などの、複合不動産でかつ収益物件として取引されたと思われる取引事例及び共同住宅の取引事例 

 話題は転じるが、岐阜県不動産市況DI調査も既に三回を越え、近く第四回:2011年度下期調査結果も士協会サイトにて開示される予定であると伺っている。

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