鑑定士の鮮度

茫猿の提言書を誤読するというよりも、自らに都合の良い処だけを採用しようとするのか、或いは意図的に誤読しようとする人たちがいるようである。 だから、敢えて本記事を付け加えておくのである。
《茫猿提言の骨子》
一.新スキーム由来データの保管管理権者は鑑定協会会長である。
二.公的土地評価に限って士協会長に一括ダウンロード権限を認めるのみである。
三.士協会長はDL後、所要の作業を行い、必要Dataを評価員に配布後は消去する。
四.評価員は配布を受けたDataを、支援ソフトにインストール後に消去する。
五.一般利活用閲覧料は全国一律とし、固評等については減額措置を検討する。
六.Data閲覧に際して、差別的取扱は認められない。
そもそも、士協会会長(代理者)並びに二次的配布を受ける固評各市区町村主幹等管理者そして固評評価員鑑定士は、配布Dataを単に比準価格試算資料として利活用するのではなく、地域の地価動向分析や価格均衡に十二分に配慮し、公的土地評価の実を挙げる基礎資料として利活用されることを期待するからである。 同時にそれは公的土地評価の新しい時代を開く端緒となってほしいと願うからである。 そこにおいて提言は、安全管理措置と透明性確保を追求する姿勢に、一揺るぎもないのである。


また公的土地評価における資料利活用は無償でという見解もあるようだが、鑑定協会会員は閲覧システム維持改善費、郵送料等調査費用並びに調査実費補填額(作成料)を負担しなければならず、その原資を得る観点からは無償提供は有り得ず、受益者負担は当然のことなのである。
さて、各地を歩いて比較的業歴の浅い方々とお話しすると、年配者への不満が渦を巻いていると感じる時があります。 曰わく「既得権に胡座をかいて、若手への配慮が欠片も無い。」、曰わく「既得権維持に汲々とするだけならともかく、低廉入札や低廉受託を平然と行っている。」等々である。 彼等が指摘することは事実のようであり反論できないし、そのように指摘される同輩がいると思えば情けないが、同時に彼等自身も不満を言うばかりでなく、次の時代を見据えてほしいと思うのである。
老齢者の及びもつかないスキルやノウハウを身につけて社会にアピールしてほしいと思うのである。 GISスキル、ヘドニックアプローチ等の解析技術、iNet利用スキル等々若手ならば若手らしく時代を切り開く意欲を見せてほしいと願うのである。いずれ消えてゆくジコチュウ老齢会員のことなど無視しておけばよいのである。
どの業界にも盛衰三十年説というのがある。 上り坂(投資)十年、横這い(回収)十年、そして下り坂十年(過ぎし成功に酔う)という説である。 過去の成功体験というものは、次代の道を拓く時には邪魔となるものである。その意味で、若手のセンス、センサー、スピリットに期待したいのである。 時代のせいにせずに、時代を掴めるかということである。
鑑定士などの専門職業家は今や二つの道の岐路に立ち、その選択を求められている。一つの道は協業化というよりも大規模組織化して不動産鑑定士法人を目指すか、ホームドクター的不動産鑑定士を目指すかである。これからの十年間は、この方向性を明確にし、身につけるべきスキル、ノウハウ、何よりもリベラル・アーツの充実度と鮮度を高めた不動産鑑定士が勝利者となるのであろう。
とやかく申しながらも、茫猿は新スキーム改善問題について提言している内容を、どこまでも追い求めようとしているのではない。 この問題に関しては既に昨年七月に理事会宛に提案書を提出済みであり、今や茫猿としては考えていること言っておくべきことを申し上げているだけである。 政治は結果だと申してきましたが、茫猿のポジションは任期僅かの理事であり、政治の結果を問われる立場にはない。 しかし、言うべき時にもの言わずして、後に後悔したくないだけである。
2011/07/19 第284回理事会提出の新スキーム改善提案のリンクを掲示しておきます。 八ヶ月経過しても、茫猿の提言は何ら変化していないのである。 当然のことながら理事として詳細な協会情報を入手し得たことから、調査実費補填額積算などの数値はより実情を反映したものとなっている。
今さら「不動産センサス制度創設提案」に戻れなどと言うつもりはないけれど、改善の究極ゴールとしては不動産センサス制度の創設を視野に入れてみてもよいのではと考えるのである。 いいや入れるべきであろうと考えるのである。 新スキームデータの一般鑑定評価利用を制度として確定するために地価公示法改正などという迂遠なことを云うよりは、もっと広い視野に立った、鑑定評価の裾野を拡げる制度創設を掲げるべきでなかろうかと云うのである。
「新スキーム改善問題」 不動産センサス制度創設提案 -1-
「新スキーム改善問題」 不動産センサス制度創設提案 -2-
この記事の続き

《さて閑話休題》
沖縄から帰宅すれば、鄙は雨降りだし那覇よりも十度近く低い気温であったが、今日はほどほどの春らしい陽気が漂っている。 屋外に出てみれば、常日頃はろくに見ることもなく踏みつけていても平然と気にもしていなかった野草が、よくよく眺めてみれば可憐な花をつけている。

野の花その2  先の花もこの花も直径1cmにも満たない小さな花である。

野の花その3 こちらは蒲公英。

紅梅は薫り高くなってきた。

白梅も続く。 華やぎは紅梅、香りは白梅なのである。 梅の実も白梅である。

取り残した菜花が花を付けた。

春の訪れ的記事を飾る定番、土筆。

先号記事とは別種のマンサク。

牡丹も花の準備を見せ始めた。

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