日本三名園

2012.03.29 水戸駅前の宿をチェックアウトした茫猿は、水戸漫遊一日フリーきっぷを買い求め、市内線バスに乗車しました。 目指すは日本三名園の一つに数えられる水戸偕楽園の梅です。 駅頭で入手したパンフによれば、水戸梅まつりの期間は02/18~03/31とありましたが、この冬の寒さからすればまだまだ咲いているだろうと予想したのです。

予想はハズレ、それも良い方にはずれて、偕楽園の梅は早咲き遅咲きがあるものの全体として八分くらい、まだまだ見頃は続いていました。 朝早い園内は人影少なく、晴れて風がないこともあって、最寄りバス停で降りて園に近づくにつれてほのかに梅の香りが漂ってきます。

百品種三千本もあるという偕楽園は梅、梅でした。 桜に較べれば華やかさには欠ける梅ですが、それだけに花佳し、実良し、香り好し、さらにそれぞれの樹勢を眺めるのも楽しみです。 梅は「文を好めば則ち梅開き、学を廃すれば則ち梅開かず」という故事に由来する好文木という異名があると知れば、なおのことです。

表門前の梅畑にまず堪能し、一の木戸をくぐって孟宗竹林を歩き、杉林を抜ければ、千波湖に向かって広がる梅林を上から眺めます。あいだの常磐線を列車が走り抜けてゆきます。 水戸梅まつり大使のお嬢さんと韓流スターとの撮影会も行われていました。 『鄙からの発信』定番の蓋も水戸市の意匠は梅でした。

    

    

梅の香りに包まれて歩けば、身も心も清雅になってゆく心地ですが、人は哀しいもので、しばらくすれば我が鼻は梅香に狎れてしまうのです。 それにしても築山や巨岩奇石で作り立てない庭もまた佳きものでした。 《クリックすれば、写真は拡大します。》

    

偕楽園は日本三名園の一つに数えられているのですが、金沢・兼六園岡山・後楽園に比較すると築造年代のせいもあるのでしょうが、梅に傾きすぎてやや異質の感じがします。 多分水戸藩や斉昭公の思想を反映して、花も実もということなのでしょう。 古来、梅干しは戦の非常食だったことから幕末の世相も反映しているのでしょう。 茫猿が三名園を選ぶとすれば、兼六園、後楽園、そして高松・栗林公園です。
別格が修学院離宮庭園だと考えます。《桂離宮はまだ訪れていないのです。出雲の足立庭園は素晴らしいのですが、整いすぎて野趣風情に欠け茫猿の好みではありません。》

一つだけ残念だったのは、東門から常磐神社方面に出たら、梅香をかき消す烏賊焼きの臭いが鼻に押し寄せてきたことです。 なんとまあ不粋なことよと呆れましたが、これも花より団子という世情なのでしょう。 昼近くなり増えてきた人波を避け、もう一度杉林と竹林を抜け梅林を彷徨うてから偕楽園をあとにしたのです。

 

 

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