モリ・カケ・スパ問題の本質

森友学園の国有地廉価払い下げ問題については、公文書改ざん問題が明らかになり、誰が改竄したのか、誰が指示したのか、誰が責任者なのかが話題になている。テレビのワイドショーなどでは、懲戒処分付きで辞任した佐川前国税庁長官(元財務省理財局長)が指示し彼が最終責任者であり、麻生財務省も安倍総理も知らなかったと云う線に誘導しようとする意図が見え見えである。特に曰く付きの(安倍擁護論者:元時事通信論説委員)コメンテーターの誘導が露骨である。しかし、ことの本質はそんなことではなかろう。

安倍・麻生・菅(官房長官)三氏、すなわち安倍内閣は、全ての責任を佐川前国税庁長官に背負わせて幕引きを図りたいのであろう。佐川スケープゴート劇と云う脚本・演出である。脚本・演出は菅官房長官、主役は安倍総理・麻生財務相であろう。脇役に位置する河野外務相、野田総務相の今後が注目されるのであるが、それについては後ほど語ろう。

ことの本質は、明らかにされた近畿財務局作成の「森友学園への国有地売却に関する決裁文書」原本に記載されていながら、改竄削除された部分に見えている。改竄を「論外な書き換え」と言い換える姑息な姿勢も、情けないものがある。

安倍昭恵総理夫人の関与についても、削除文言の言外・行間に滲み出ている。
『 H26.4.28  なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が並んで写っている写真を提示) 。』(削除文書より引用)

安倍、麻生、菅三氏から直接、改竄指示があったと云う証拠や証言は出てこない可能性が高い。答弁せざるを得ない破目に落ちたら、それまでに辞任するであろう。また、佐川氏が「国会で虚偽答弁をするように」と指示されたと云う証言を得るのも期待薄であろう。佐川氏が何と引き換えに《自身のいかなる将来と引き換えに》、虚偽国会答弁を行い、改竄指示を行なったのかは不明であるし、明らかにされることも期待薄である。

この事件に関して「忖度」と云う文言が度々踊っている。忖度があったかと云うよりも忖度せざるを得ない状況が醸成されてきた集団心理を窺わせる「削除」文言がある。

籠池康博氏(別添名刺参照)
同氏は「日本会議大阪(注)代表・運営委員」を始めとする諸団体に関与している。
(注)日本会議大阪は、全国的な国民運動団体である「日本会議」(美しい日本の再建と誇りある国づくりのために政策提言と国民運動を推進することを目的として設立された任意団体)が平成9年に設立されたのに呼応する形で、大阪に根付いたより広汎な国民運動を推進すべく、平成10年6月に設立された任意団体。

なお、国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長には安倍晋三総理らが就任。(削除文書より引用)

数々の有力な政治家の名前が浮かんでくる「日本会議」と云う”神道政治連盟”と表裏一体の組織が事件の背景に存在しているのである。日本会議も神道政治連盟も参加全国会議員がこの事件に関与している訳ではなかろう。しかしながら、集団催眠のような状態にあることは否めない。北朝鮮問題に関する超タカ派論調もこれら組織の論調が背景にある。

忖度が存在するとすれば、これらの日本政界に根深く蔓延る組織を抜きにしては考えられないことである。先ごろ暴露された日本青年会議所の「宇予くん」事件もこれらを抜きにしては考えられないのである。

2017/02/17  安倍総理は衆院予算委員会で、森友学園問題に関し、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べた。この総理答弁と「2017/02〜2017/04 佐川理財局長国会答弁」とその後「2017.7.5  国税庁長官就任」および「2017.10.22 解散総選挙」とは密接な関連が認められる。

佐川氏は、財務省理財局長だった2017年2~6月、森友問題で連日、国会答弁に立ち、国有地が八億円安く売却された経緯に関する野党の追及に対し、「規則にのっとって適切に処分した」などと主張。一方で、交渉過程で何が起きたのかについては「(交渉記録は)破棄した。残っていない」「(担当者の)記憶に残っていない」「政治家は関与していない」と繰り返すだけで、事実関係の説明を拒んできた。

佐川氏はそれらの答弁(2017/04)を安倍総理などから「適材適所」とも「有能」とも評価されて、国税庁長官に栄転する(2017/07)のである。そして安倍内閣は「森友問題」の沈静化を見計らって、解散総選挙を断行し(2017/10)、野党民進党の分裂を誘導し、安定多数の議席を確保するのである。

H26年(2014年)以来の森友学園国有地廉価払い下げ問題と云う国政(国有財産)の私物化に始まる安倍内閣の政治姿勢は、森友学園国有地廉価払い下げ問題が浮上すると、虚偽答弁から沈静化を図り解散に打って出ると云う一連の政治ショーが「ことの本質」なのである。

今、総選挙が行われれば政府与党の勝利は危ういものであろうし、与党候補者はことの真偽や関与について曖昧な姿勢では選挙を戦い抜けないであろう。特に大都市選挙区では雪崩現象が起きかねない。それを避けて、会見検査院はすり抜けたもののいつか露見する前に解散を実施して安定多数を確保しようとする筋書きである。

その結果として、今の時点では国会論戦はナマクラなものになるだろうし、内閣不信任案は提出されても粛々と否決されて終わるだろう。「佐川氏・スケープゴート」で一見落着(楽着)という筋書きは今も有効なのである。

ここで問われるのは、安倍総理と距離を置いてきた、河野外務大臣、野田総務大臣の帰趨である。彼らに期待するのは安倍・麻生・菅三氏の政治姿勢に異を唱えて、辞表を提出するか否かである。心ある政治家ならば、過去の主義主張に忠実であるならば、異を唱えるのが筋であろう。《異を唱えさせない為に内閣に登用したとすれば、安倍総理・菅官房長官の先読み恐るべしである。》 選挙に強い二世政治家なればこそ、両氏には今こそ鼎の軽重を問うのである。

河野、野田両氏だけではない。与党自民党の全国会議員に問われるのは、このような「忖度政治」でよいのか、北朝鮮問題・蚊帳の外・内閣でよいのか、”とにかく改憲発議”内閣でよいのかが問われているのである。

安倍総理は「なぜ、こんなことが起きたのか、全容を解明したい。」と記者会見で語っている。被疑者が被害者の顔をしているのである。また、「佐川氏辞任はトカゲの尻尾切りではなく、頭潰しだ」と云う与党筋の声がある。佐川氏は総理への忖度だけで国会答弁を行い、国税庁長官を辞任したのか、それとも麻生、菅、安倍三氏とどのような意思疎通が存在したのか、全ては藪の中である。だからこそ、与党政治家の「民意の忖度」と「政治責任」がとても重要なのである。民意を汲みあげるのが政治の本質であろうと考える。

《追記》
安倍内閣で公文書改竄(政府は書き換えと云う)が横行しているとすれば、加計学園・前川前次官リーク問題も、スパコン政治関与問題も、今一度の洗い直しが必要となったのである。

北朝鮮有事の時に、国政がいつまでもモリカケ問題に関わっていては大勢を見誤ると云う賢しらな論調が存在する。けれども北朝鮮問題は外交問題であるし、モリカケ問題は内政問題であり次元が異なる。同時に内政があやふやであって確かな外交など望むべくも無い。米韓軍事演習の実施に言及した挙句、それは我が国の内政問題ですと切り返されたテイタラクが平昌五輪開幕の頃にあった。すなわち、内政確かでなければ外交も危うしなのである。

疚しくとも《やましくとも》沈黙を守っていればその方が無難であるし、責任を問われることもない、世慣れた処世と評されることでもある。 でも、”自らの良心に照らして、やましき沈黙でありや否や”という問いかけは常に必要なのであり、沈黙を守ることは”美”でも、”善”でもなく、ただの”不作為という無責任”なのだと、常に思い定めていたいのである。

※改ざんと書き換えについて、報道各社の姿勢(03/13確認)
「改ざん」朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、中日新聞、TBS、テレ朝
「書き換え」読売新聞、産経新聞、日経新聞、NHK、日テレ、フジ
くっきりと別れていて、とても分かりやすい。

《追記》
マスコミがマスゴミなどと言われるようになって久しいが、
2018/03/02 朝日新聞朝刊は、財務省の決裁文書が「書き換えられた疑いがある」と報道した。契約当時の決裁文書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」などの記載があったと伝えた。
この朝日報道後の”書き換え派”マスコミの朝日叩きは激しいものがあった。
《2018/02/26発売 月刊Hanada4月号》

2018/03/08 毎日新聞が「別の決裁文書」にも「学園に価格提示を行う」といった文言が含まれていたと、朝日記事を追認する報道をする。ここで潮目が変わった。

 

 

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