洛中五条堀川界隈

先週京都五条界隈で面白いものを観ました。京都の五条烏丸からほどち
かい、万寿寺通富小路下がる付近でのことです。路上に段ボールを何枚
か置いて、その上に緑色の毛氈を敷いて何かの撮影を行っていたのです。
覗き込んだら、撮影対象は扇でした。この扇がただ者ではない。目が高
い茫猿はシゲシゲと覗き、やをら話しかけました。「いいものですね。」
すると「コレガ判るとは、オヌシできるな、イイデショウ」という返事
が返ってきました。
撮影されていた扇は桧の扇でして、檜扇と云います。
平安朝の女官女房が使用していたもので、近くは即位の礼の折りに陛下
や殿下がお持ちになっていたものと同様のものです。
薄く矧いだ正目の桧板を色糸で繋いで扇にし、比翼の鳳凰が描いてあり
ました。絵柄は桃山朝当時のものだそうですが、正絹の五色の絹組み紐
が垂れて、金具は金メッキだそうです。某所から往時のものの復元注文
があったので、納品の前に記念撮影をなさっていたところに通り合わせ
たという訳です。
ちなみに、復元費用は40万円ほどだそうです。タカガ扇一つに、サレ
ド檜扇というところでしょうか。京都はどこかでとんでもないものを観
ることができるので面白い。
この五条烏丸から五条堀川界隈の町筋は結構いけますよ。町家、門構え、
ひっそりと佇む饂飩屋、菓子屋、喫茶店、漬物屋、扇屋等々。買わなく
ても、静かに観て歩くだけで好いものです。第一、下品で五月蠅い観光
客はいません。
さて、ご多分に漏れず、京都の紅葉も例年より二週間遅れで、色合いも
例年より鮮やかさが足りません。
ある宿の女将の話ですが。泊まりの客の曰く。
「一年も前から宿を予約して、楽しみにして来たのに。
観光案内では紅葉の見頃は11月上旬と書いてあったではないですか。
それが、緑の楓を見せるなんて、これが噂の京都のイケズですか?」
ト、マア、えらい騒ぎで。
気候の変動までイケズにされたら、かないまへん。
もうひとつ、ボチボチ紅葉見頃の京都秘所情報を。
東洞院蛸薬師付近 大丸の北方約300m、児童公園の西側
古い町屋を改造して喫茶レストランが営業しています。
店名は横文字です。
京都の懐の深い町屋を見学するには最適です。
ただし、パスタはイマイチ。

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