収益事例収集試案-1

 収益事例資料の収集整備の充実に関する試案を公開します。
過去の「鄙からの発信・賃料インデックス」などと重複する部分も多い
のですが、総括的にまとめられている試案ですから、改めてご検討頂く
には宜しいかと存じます。なお、試案は結構長いものですから、本稿で
は試案に対する茫猿の考えを述べまして、試案そのものは別便に掲載し
ます。
 尚、ここで云う「収益事例」とは、地価公示で云う賃貸事例(一部階
或いは一部賃貸部分の事例)とは異なり、同じく公示で云う収益事例と
同義であり、旧来の間接法収益事例と類似します。
 もう少し具体的に申し上げれば、「収益事例ファイル」とは、
・新築新規事例をはじめ既存継続事例も含むものであること、
・建物要因を精密にすること、
・収益物件の取引事例も含むこと、
・さらにはテナントへの継続的アンケート調査を可能にすること
などを含むものです。
 また単に賃貸事例の充実を図るのみならず、収益・賃貸インデックス
その他への活用が可能な資料ファイルを目指すものです。
 鑑定協会全体の方向としては、国土庁が独自に「賃貸ビル投資利回り
調査」として、土地総合情報ライブラリー「収益価格調査結果」を行う
ことが明らかになったことから、方向がやや定まらない状況にあります。
 茫猿としては、国土庁の意向に関わらず、又鑑定協会全体の意思統一
を待つことなく、できるところから着手すべきであろうと考えるように
なっております。既存の地価公示・地価調査ソフトの収益事例部分の利
用、国土庁フォーマットを基軸とする収益事例ファイルソフトの作成な
どを、身近なところで提案して参りたいと考えます。
 茫猿は、私どもの周りにあふれる「総論として収益事例整備の必要性
は認めるが、具体論になれば、国土庁頼み、協会頼み(他人頼み)である
状況」、或いは「報酬やインセンテイブが真っ先に話題となるものの、
自己のモチベーションを高めて事業を進めようという姿勢には欠ける状
況」を嘆いていても、何も始まらないし生まれないと考えています。
 こういった作業というか事業といいますか、そういうものは全国一斉
が望ましいのは事実ですが、今の状況からすれば、そのための意思統一
には長い時間を要することだろうと考えます。
 ここでは拙速か巧遅かが問われますが、具体的には何も実行しないで
机上の空論に明け暮れていては、見えるものも見えてこないと考えます。
 具体的には、以下のように考えます。
1.公示ソフトで収益事例(間接法収益価格)を作成する。
  とりあえず、評価員一人一個でも作成し、同時に手持ちの旧資料も、
  併せて整理すれば、ある程度の量が確保できると考えます。
2.次に、それらの資料を収益事例ファイルにまとめる。
3.さらに必要と考えられる項目を補充調査の上で追加する。
4.この資料を基礎にして、アンケート悉皆調査等の準備を進める。
 以上が軌道に乗れば、近く作成できるであろう収益事例ファイルで賃
貸事例並びに収益事例を経常的に作成し、必要に応じて公示・調査に利
用すると同時にインデックス作成も行えると考えます。
公示・調査ソフト → 収益事例ファイル → 公示・調査ソフト
(双方向にデータ移植が可能な状況は必須と考えますから、
 収益ファイルの基本はアクセスと国土庁ファーマットに拠ります。)
              
  収益事例ファイルデータ → 賃料インデックス作成
 ということです。
 今や、課題点は明らかになっています。
・収益事例ファイルの作成費用の捻出
・公示ソフトから移植した収益・賃貸データについて、
・不足している項目の充足方法と費用。
・悉皆調査やアンケート調査を指向するとして、その実施体制の整備。
 収益資料の充実が課題だと云われてから、もう2年余を経過しました、
自分たちのことは自分たちで行うという姿勢が、今こそ求められていま
す。試案は「収益事例についての試案-2」に掲載しますのでお読み下
さい。
 又、収益事例ファイルのイメージ版として、エクセルで作成したフォー
マットβ版が「鄙からの発信・鄙巷交歓・ダウンロードコーナー」に掲
載致しますので、そちらもご覧下さい。
※β版の公開は、準備の都合上、10月1日以降になります。

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