島唄と瓶だし泡盛

 沖縄について、印象が醒めぬ内に、続編を書きます。
最初に、沖縄と呼ぶよりは琉球と呼んだ方が私は懐かしく感じますし、
歴史の重みを感じます。
琉球処分という言葉があります。イヤな響きですが、歴史上の単語です。
沖縄は琉球として処分の歴史を持ち、沖縄として今時大戦から現在に至
る事実上の処分の歴史を持っています。
【琉球処分】リウキウ‥ 1872年(明治5)の琉球藩設置から79年の廃藩
・沖縄県設置にいたる明治政府の一連の措置の総称。形式上日清両属だ
った琉球王国はこの過程で滅亡し、日本に併合。(広辞苑より)
 この「琉球処分」という歴史を、明治維新から現在までの日本近代史
のなかで、どのように位置づけるかが日本人個々の歴史観を形成すると
思います。小林某や西尾某の歴史観とは対極に立ちたいものと思います。
 数年前に、鹿児島県の知覧を訪れる機会がございました。地元の方の
たってのお勧めもあり、豪雨の中を鹿児島から先方の車でご案内頂き、
知覧の特攻記念館を拝見しました。記念館に掲げてある20歳前後の若
者の真摯な眼差しを写した写真、そして読むものをして粛然とさせずに
はおかない遺書の数々・・・・・・・。
 今回初めて、姫百合の塔と記念館を拝見しました。
知覧の時と同じように、20歳前の娘達の写真と遺書や記録その他を拝
見しました。
 モノクロの写真で、中には傷が入っていたり、少しぼやけていたりす
る写真もありましたが、いずれも真っ直ぐに正面を見据えた真剣な眼差
しが私を見つめる画像ばかりでした。
 何故かどの娘達も美しく、今の時代には何処を探しても見付からない
ようなお顔ばかりでした。日本人の顔がふやけてきて、時代劇やシリア
スなドラマや映画は制作できなくなったと嘆いていたのは、黒沢明監督
でしたか、市川昆監督でしたか。
 彼女たちが、私に問いかけているような錯覚に囚われました。
「あなたは何をしてきたのか、あなたは何をしようとするのか。」
今次大戦のなかで、唯一国内地上戦を戦った沖縄で、看護助手として軍
隊を支え戦火の中で、若くして命を落としていった人々の問いかけは、
とても重いものがあると考えます。
 蛇足ですが、「姫百合の塔・見学」という観光ガイドには、なじめな
いものを感じました。記念館も含めてあの場所はお参りと云うのが正し
いのではないでしょうか。
 その夜、国際通りを歩いている内に、岐阜の仲間達といつのまにかは
ぐれてしまい、ふと「島唄」という店に独りで入ることとなりました。
多くの皆様がご存じなように、沖縄民謡の居酒屋です。
 その店の専属バンド(正式な名称を知りませんので、社中とか連とか
云うのでしょうか)は「コーコーズ」といい、八重山の出身だそうです。
男性3人のバンドで、サンシンが2名、太鼓が1名で弾き唄いで演奏し
てくれます。
 彼等コーコーズも云っていましたが、本島の島唄と八重山の島唄は別
のものということです。確かに翌日の夜、見て聞いた新ネーネーズ(女
性4人・いずれも若く美人でしたが)や、CDなどで聞いているリンケ
ンバンドとは随分違う唄やメロデーでした。姫百合の塔の娘さん達のこ
とを独りで考えていたせいもあり、胸にしみる島唄でした。
 それにとても幸運なことに、最終ステージでしたから、地元の人や八
重山の人が多く、指笛が耳に痛いほど響き(店の人が席替えを気遣って
くれた位です)、舞い踊り、カチャーシーを堪能しました。
 私が独りでしたから隣席のグループの人に仲間に入れてもらい(彼等
と彼女たちも八重山出身とのことでした)、宮古島の20年ものの瓶出
し泡盛をたくさん御馳走になりました。とてもとても美味しかったです。
 色々なことを考えさせられ、その日の終わりには30分も続くカチャー
シーを存分に楽しませていただいた素晴らしい一日でした。
八重山の皆様有り難うございました。カチャーシーは宴会のお開きの際
の唄と踊りのことを云うようですが、違っているかもしれません。
 蛇足をもう一つ沖縄ソバとソーキソバの違いです。
麺とスープは一緒です。太めの麺と、豚骨スープですが澄んでいてあっ
さりしているスープは両者に共通です。 (都合4食、食べましたから、
多分間違いないでしょう。)
 違いは具にあります。ソーキソバは、丼の半分ほどを占める厚めの豚
の角煮が載っかっています。角煮以外はネギがパラパラ程度です。
沖縄ソバは、三枚肉の煮付けや蒲鉾かはんぺんとモヤシなどが載ってい
ます。さしずめ、普通のラーメンが沖縄ソバとすれば、チャーシュー麺
がソーキソバでしょう。これらのソバに「島唐辛子・・丸ごとの唐辛子
を泡盛に漬けたもの・・琉球版タバスコ」がとてもよく合うのです。

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