IT革命と情報共有

 この原稿を書き上げたのは、10月13日以前と記憶しています。
それから、例の事件が勃発して、原稿はお蔵に入ったままとなっていま
した。本日、「鄙からの発信」としては、一応の区切りを付けましたの
で、この原稿を校正して掲載します。()内は本日の追記です。


 MMとしては、矢継ぎ早になり、読者への負担が大きくなりますが、
改めて読み返しますと、事件を予見していたような感じがありまして、
Web掲載するものです。
 不動産カウンセラーNo.25に掲載されている「設立10周年記念講演
会講義録・これからの日本・中谷巌氏講演」を読みました。
同誌は 2000年1月発行であり、同講演会は99年10月開催のもので
す。たまたま書類の底にあったものをふと手に取り読んだと云うことです。
 講演から1年を経て、その後の社会の変化と私の環境の変化しないも
のとの対比が興味深く、記事にする気になりました。
 講演中、中谷氏は「二極化とグローバル化」を主題としてお話しされ
ていますが、その後1年間に都市銀行の合併集中化は進み、生命保険の
破綻は続きました。今月はUFJからはじき飛ばされた千代田生命が破
綻しました。 (昨日は、さらに協栄生命が破綻しました。)
 B to BとかB to Cという言葉も新聞をはじめとするマスコミに溢
れるようになりました。一年間の変化のめざましさは、もの凄いものが
あります。
 鑑定業界でも事実上の義務研修制度が始まり、民事再生法関連や証券
化関連の価格種類が増えました。
 先日の福井研修会での基調講演では情報公開と基盤整備が話され、パ
ネルデイスカッションでは正常価格について議論が行われました。
 しかし、鑑定業界は本質的に変わったのでしょうか?
 変わろうとしているのでしょうか。
同じことを何度も何度も繰り返すのは疲れます。
でも現実のものとならない以上、やはり繰り返し繰り返し、飽きること
なく倦むことなく、Webの上で語ろうと思います。
 私たちは、このままで、よろしいのでしょうか。
真に、社会が求めるであろうニーズに応えてゆく努力を始めるときは、
今ではないでしょうか。
規制緩和の時代は、一面では資格者受難の時代であるとも云われます。
 それは既得権を保持し続けようとするからであり、既得権にこだわる
からであります。社会のニーズがない資格が延命できる訳もなく、社会
のニーズに応えられない資格もまた同様でしょう。(社会のニーズがな
い業務も、同様の運命を辿るでしょう。)
 そんな思いを全国会員の皆様に伝えたくて、昨年春の選挙に私は立候
補しました。
・対外活動の強化
・提案型の活動並びに情報の発信を訴えました。
・単位会事業として、ネットワーク整備、土地情報収集体制の整備や
・地図情報システムの導入。
・そして情報公開と情報共有を訴えました。
今、当時の選挙パンフレットや選挙公報を読み返してみても、大筋で間
違っていなかったと思います。
 先見性を自慢しているのではありません。私だけでなく中谷氏も申さ
れている。二極化とグローバル化に如何に対応してゆくのか、その手段
として有力な情報公開と情報共有をどうして実現するのか。
そのことを話題としているのです。
 我々は、変わったのでしょうか。変わりつつあるのでしょうか。
大きな変革を企てても、意識変革も大変でしょうし、鑑定協会は企業体
ではありませんから、意思統一にも時間がかかります。
とりあえず身近なところから始めたら如何でしょう。
 身近なところといえば、電子認証制度の創設やオンラインによる登記
情報提供サービスの開始があります。
 不動産登記関連業界だけでなく、我々にも大いに関係のある話です。
公開鍵の作成も近々必要になるでしょうが、直ちにそこまでゆかなくて
もインターネットは専門職業家にとって必須条件に為りつつあります。
(レインズの一般開放により引き起こされる諸問題も、近日のWebを
賑わしていますが、決して対岸の火事ではありません。我々鑑定士にも
大きな関わりをもたらします。)
 この件に関しては群馬司法書士会のホームページをご覧下さい。
所属会員の投稿原稿によるホームページのコンテンツ作成スタイルとし
ても参考になると思います。
群馬司法書士会ホームページ http://www.sunfield.ne.jp/~shihou/
群馬司法書士新聞・インターネット版
http://www.sunfield.ne.jp/~shihou/shinbun/shinbun.htm#Label30
 インターネットによる情報の共有について、反対される方は少ないと
思います。必要性を認識する方も多いと存じます。
 一部のものが情報を占有する事態は避けねばならないと・・・・。
 常務理事会、時には委員会審議においても情報の寡占化がおきている。
2月に一回の理事会の議事録が公開されても、会員には伝達されない。
伝達されるのは、理事会開催後2ヶ月以上後である。
 委員会や常務理事会の会議日程の公開と議題の公開が必要であると考
えます。メーリングリスト、掲示板、メールニュースなどを活用すべき
でしょうし、情報を公開しない組織は滅びると考えます。
 以下はJMMメールマガジンの配信ニュースを下敷きにしています。
マナーとして褒められることではありませんし、著作権に抵触する可能
性もあります。ただ、随分以前の記事であり、原文の所在が確認できな
いので、注意して書きます。引用部分とオリジナル部分の区別が些か不
明確ですが、お許し下さい。
-引用とオリジナル混在の開始 ———
 では、なぜ情報公開や情報共有が進まないかと考えますと、
それは変化に利益を見出さない人が多いこと、或いは変化は不利益であ
る人が多いことに、原因するのだろうと考えます。
 情報を寡占することに自己の存在感を見出している人々もその範疇に
該当するでしょう。
勿論、いまだに多数いるキーボードアレルギーの人々も大きな阻害要因
です。内閣の平均年齢が問われているように、鑑定協会役員の平均年齢
も問われます。
・今の状態を維持して逃げ切れると考える人々・・団塊の世代以上。
・今の状態で推移すれば、負の遺産のみ残されると考える人々。・・・
・すなわち小子化世代。
 鑑定業界にいる人々が、鑑定協会及び業界の現状と既得権とを最大限
に活用して自分の人生を全うしようというのは、個人の合理的な行動と
しては正解なのだと容認します。
 しかし、鑑定業界全体としての環境適応という点を考えるならば、悲
劇的な遅延をもたらしてしまうと考えます。個々の鑑定士の利害が、鑑
定業界全体の危機的状況を招くと考えるのです。
引用とオリジナル混在の終了 ———
 鑑定業界は制度発足以後、地価上昇と高度成長と官公需(地価公示・
地価調査・固定資産税標準宅地評価・相続税標準地評価・監視区域第三
鑑定・監視区域添付鑑定、用対連評価、不良債権担保不動産処理等々)
に支えられ、所管庁の庇護の元に今日まで過ごして参りました。
 「右肩下がりの時代」に入って、それらの外的環境の多くが崩壊又は
縮小してゆく中で、成功体験を忘れることができず、ことが起きればあ
いも変わらない「オカミ依存体質」を露呈しています。
 過去の成功体験のなかで取得した既得権或いは既得権益をいかにして、
忘れ去ることができるかが、問われていると思います。
情報公開の時代には、下手な内部的調整は矛盾を自己増殖させることに
つながりかねず、破滅的状況を招きかねないと考えます。
(以下は、本日の追記です。)
今回の事件では、多くのことを学びました。
情報の公開と共有。
危機管理の必要性。
遵法意識の徹底。
リスク負担を常に意識して行動すること。 等々です。
 右を見て左を見て、一歩下がって、皆と同じ行動を取っていれば安全
で無難であった時代はとっくに終わっていたのだと思いました。
自己責任に基づく自主的判断と行動が求められているのだと、改めて痛
感した茫猿でした。

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