直面する課題

 3月2日、夜遅く我が家に帰りましたところ、ともに八十歳を越えた
両親が寝ずに私の帰宅を待っておりました。
 TVニュースでも放映するし。朝日新聞にも大きく掲載されているか
ら、詳しい事情の判らない両親は「昨年の秋に引き続いて、息子の所属
する (社)岐阜県不動産鑑定士協会はまたまた何をやらかしたのだろう。」
と心配して、事情を聞こうと帰りを待っていてくれたのです。
 この歳になって、いたずらに老親を心配させるはめになったことを悔
いると同時に、世間の目線というものは、我が親の理解のようなものだ
と思いました。折しもTVでは、前国会議員逮捕のニュースに続いて士
協会の公取委警告事件が取り上げられたものですから、両者ないまぜに
なって大きな心配をさせてしまいました。
 さて、岐阜県士協会では3月1日及び翌日と、役員会やら全体集会や
らを開催し、関係機関へのご挨拶、善後策の協議、会員への詳細説明あ
るいは意見聴取などを行いました。来週からは、改善策と申しますか対
応策と云いましょうか、今後の方針が検討されてゆくものと存じます。
 読者の皆様の関心事でもありましょうし、直面する課題その他につい
て、手短に報告させて頂きます。
1.公取委警告について、会員の反応
 行政処分でなく、行政指導であるとはいえ警告は公表を伴うものであ
り、しかも資格者で構成される社団法人への警告であることを考え合わ
せれば重く厳しいものであると、大半の会員は受け止めております。
同時に、今後の対応策如何によっては、重大な結果を招きかねないと、
深刻に考える会員も少なからずおります。
2.出処進退
 役員の責任の取り方も含めて、議論になりました。
 事柄じたいは前期役員の時代のものであります。
しかし、だからといって現役員が出処進退を明らかにしなくてもよいと
いう訳にはまいりませんし、 10年11年当時の役員も少なからずが現役
員でございます。
 現会長も含めて、多くの役員が辞意表明を致しましたが、この危機に
執行部空白期間をつくれないこと、また今の状況では後任者が得難く敵
前逃亡になってしまうなど、多くの議論がかわされました。
 何より、12年度末を控えて、早急に士協会としての次期事業計画を策
定しなくてはならず、特に次期固評対応策の策定が会員全体の関心事で
あります。
 それらを考え併せて、現会長や担当委員長には「針のむしろ」に座っ
て頂くことになりますが、警告を受けた後に直面する難局に結束して取
り組むことが最善の責任の取り方であるという結論に達しました。
3.新聞記事その他
 新聞各紙では、自治体の反応や意向として、今後は鑑定士のJVを考
えるとか、入札に処するとかという記事が掲載されています。現実に昨
秋の新聞記事以来、少なからぬ自治体では指名競争入札を検討されてい
るという情報も得ております。当然、個々の鑑定事務所との個別単独契
約をお考えの自治体もあるようです。
4.競争入札契約と随意契約
 岐阜県士協会としましては、警告を受けた身ではありますが、鑑定評
価は請負業務ではなく委任(委託)業務であり、競争入札にはなじまない
と考えております。鑑定評価は価格(報酬対価)競争になじむものではな
く、成果物の質的競争を行うものであると考えます。しかし、地価調査
においてさえ競争入札が話題にのぼるような時節柄です。
 随意契約が相当であるという我々の主張に、いかほどのご理解が得ら
れるか心許ない状況です。
5.H15年固評対策
 多くの岐阜県士協会員は、日本不動産鑑定協会の通達文書や公取委警
告文書にしたがって、粛々と士協会契約を進めればよいし、そうして欲
しいと考えているようです。
 同時に少数ではありますが、士協会包括取纏契約を単純に進めてゆく
だけでは、公益法人並びに鑑定士団体としての責務を全うすることには
ならないと考える会員もおります。
 それは、受託契約の態様云々よりも、固評標準宅地の鑑定評価を如何
に行ってゆくか、表現を変えれば会員の固評標宅鑑定そのものを士協会
としてどのようにサポートしてゆくかが、問われていることであり課題
であると考える会員であります。
 原点に立ち返り、本来の士協会の在り方を目指して、業者団体的要素
を可能な限り排除し、一つ一つ積み上げてゆくということは、言うは易
しく行うは大変難いものです。
 でも、それを行わなければ、警告を受けとめる意味もないし、一連の
事件で少なからずご迷惑をかけた全国の同輩諸兄姉に対して申し訳ない
ことと、茫猿は考えております。

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