【茫猿遠吠・・不動産価格の行方(投稿)・・02.04.21】
畏友H.K氏よりの投稿です。頂いたのは旧聞ですが
前号記事との関連で、本日掲載します。
『不動産価格の行方・・鄙からの発信2002.0128記事についての投稿』
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1012141418
茫猿> 最近の茫猿遠吠は空理空論に聞こえたでしょうか、
茫猿> 現実の地価の有り様を見ずして
茫猿> 観念的空論をこね回している様に聞こえたでしょうか。
バブルの頃、公示価格では買えないと言われ、
昨今、公示価格では売れないと言われる。
その世論に対し、理路整然と説明できない鑑定士が、
安易に迎合への道を選んでいるだけでしょう。
今こそ自分の中に価値基準を持つべきなのですが。
茫猿> 先般ふれました「川崎市の工場跡地の墓地化」は
究極的には世の中の現象に任せておくことが、最良の結果を導く方法だとは
思います。
が、そういう性善説的というか、自由放任主義でやってきた結果、
この国は多くの過ちを犯してきたことも事実です。
現象を吟味するためには、個々人の中にしっかりした価値観が必要。
「考える」ことを放棄したら、人間ではなくなります。
ましてや「専門職業家」などと偉そうに言っている我々こそ・・・。
茫猿> 「市場がないから、鑑定士が成り代わって、適正な価格を指し示す。」
茫猿> という立場に立つのと、
茫猿> 「不動産にも市場はあるが、不完全であり個別性が強いから、
茫猿> 鑑定士が補強・補完する。」という表現とは、
茫猿> 似て非なるものがあると考えます。
基準にも「市場がない」とは書いてありません。
私は、鑑定は後者であると思ってきました。
補強、補完というよりも、
我々は、情報の翻訳者だと思っています。
が、今後情報化や取引形態の多様化により、
市場の不完全性はある程度改善されてゆくものと思います。
茫猿> このことは、事例資料の事情補正に際して大きな影響を与える様に考えるの
茫猿> ですが、如何でしょうか。先ず、市場ありき、市場に聞く、その後に鑑定士
茫猿> が補強・補完するという立場に立ちたいものと考えます。
公示の分科会などでも、
「水準を乖離した事例は、作成者がちゃんと事情補正してくれないと使いに
くくて困る」というような意見がありますが、
私はいつも、??と思っています。
統計的な裏づけがあって「水準を乖離している」と言えるのならまだしも、
使いやすいか使いにくいかで判断するようなことになれば、
これはもう、価格操作以外の何ものでもありません。
私は、日頃一般鑑定では、同一需給圏内でできるだけ多くの事例を集め、
重回帰分析をかけて価格水準の推定を行い、取引事例比較法の検証をしています。
地域格差、個別格差をそのように客観的な方法で査定せずして、
緻密な鑑定とは言えないと思います。
「鑑定士の判断であり、意見である」という基準の言葉をいいことに、
比準の格差率も「経験値」で済ませるのは、
それこそ、お宝鑑定と一緒です。
(こんな書き方をすると、むしろ、なんでも鑑定団の先生方に失礼ですね!)
茫猿> 地価公示をはじめとして鑑定評価に対する社会の批判は、
茫猿> その根源に「鑑定士の中立性や独立性」が、問われているのだと考えます。
鑑定士の中立性に目を向けた世論は皆無に等しいです。
皆、鑑定士の鑑定では売れない、というある種横暴な批判で、
鑑定評価の本来的な機能をわかっている人は少ないです。
売れる金額なら、文字通り鑑定士が書かなくても売れるのです。
そんな世論に迎合していたら、バブルの二の舞になります。
我々がすべきことは、世の中の一歩先を見て、
よりよい方向へ道案内することではないでしょうか。
茫猿> 極端な例では地価公示の作業マニュアルが不満であれば、
茫猿> 地価公示を辞退すればよいという極論すら聞こえます。
これって、「外務省に批判するNGOは参加させるな」
といった件の代議士と同じレベルではありませんか!
・・・・・・・本稿終わり・・・・・・・
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