不動産価格・動向指標の整備

新スキームの行方のみならず、地価公示のあり方にも大きな影響を持つであろうと考えられる、国交省が設置する研究会の今年度第一回開催が公表されました。 昨年度に続くこの研究会の今後の動向には決して目を離すことはできないだろうと思われます。 特に懸念されるのは、土地市場課主催、委員に東日本レインズ参加、オブザーバーに法務省という構成です。 いつまでもモタモタする鑑定協会主導の新スキームなどもうどうでもよいという鎧が見え隠れすると云えば穿ちすぎでしょうかね。 全文を国交省サイトより引用します。

「平成23年度 不動産価格の動向指標の整備に関する研究会(第1回)」の開催について
(平成23年10月27日)

  不動産価格の動向を把握するため、国際的に共通のルールに則った指標の作成を目的として、Eurostatを中心として多数の国際機関が協力しながら、住宅価格指数に関するハンドブック(以下「国際ハンドブック」という。)が取りまとまったところです。我が国においても、この国際ハンドブックに対応しつつ不動産価格の動向を把握するための指標を整備することが求められています。

  このため、国土交通省では、我が国におけるユーザーのニーズを踏まえ、マクロ経済政策の的確な運営の基礎となる不動産価格の動向指標を整備するため、国際動向の把握、指標の算定方法、指標作成のための原データ等について検討することを目的として「不動産価格の動向指標の整備に関する研究会」を設置しており、平成23年度第1回研究会を下記のとおり開催することとしましたのでお知らせ致します。

(アンダーラインは茫猿。)
○ 日時:平成23年11月2日(水)13時30分~15時30分
○ 場所:中央合同庁舎2号館11階会議室(国土交通省土地・建設産業局会議室)
○ 主な議事内容
(1) 本年度の検討内容と進捗報告
(2) 今後のスケジュールについて
○ 取材:本会議は座席に限りがありますので、傍聴は報道関係者に限らせていただきます。
座席の都合上、ご希望に添えないこともありますのでご了承ください。
なお、カメラ取材は頭撮りのみ可能とさせて頂きます。
また、研究会の議事要旨については、後日、ホームページ上で公開いたします。
「不動産価格の動向指標の整備に関する研究会」委員・オブザーバー名簿
座 長 清 水 千 弘 麗澤大学経済学部教授
委 員 磯 尾 隆 光(社)日本不動産鑑定協会理事
委 員 櫻 庭 千 尋 日本銀行調査統計局審議役
委 員 佐 野 隆 之 (財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)総務課長
委 員 須 賀 雅 弘 (一財)土地情報センター 事業本部長
委 員 氷見野良三 金融庁総務企画局参事官(国際担当)
委 員 渡 辺 努 東京大学大学院経済学研究科教授
委 員 岩 城 豊 国土交通省土地・建設産業局地価調査課長
委 員 野 村 正 史 国土交通省土地・建設産業局不動産業課長
委 員 石 川 卓 弥 国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課長
オブザーバー 松 谷 萬太郎 内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部国民資産課長
オブザーバー 永 島 勝 利 総務省統計局消費統計課物価統計室長
オブザーバー 小 出 邦 夫 法務省民事局民事第二課長
(敬称略、順不同)
所管課:国土交通省土地・建設産業局土地市場課
【茫猿独白】
・不動産価格の動向を把握するための指標という記述があるが、この整備を意図する指標に対する、地価公示価格の位置付けはどうなるのであろうか? 「制度疲労を起こしていないか、地価公示 (2011年10月13日)」記事を改めて考え合わせてみたいのである。
多分、多くの鑑定士は動向指標は中古マンション価格動向指標、地価公示は更地価格公示であり本質的に異なるものと意に介さないのであろうが、動向指標整備に関して昨年度既に検討されている資料を見れば、動向指標結果と地価公示が無関係でいられようもないのである。 その観点からすれば、東証住宅価格指数やリクルート住宅価格指数も注目しておきたい事象である。
・指標の算定方法、指標作成のための原データ等という記述が何を意味するのか、原データすなわち土地情報ライブラリーに公表する不動産取引価格情報(いわゆる新スキーム調査)に他ならないが、それをどのように変革してゆこうというのであろうか? レインズとの関連からしても目が離せないことである。
大胆な、とても大胆な予測をすれば、国交省は国際ハンドブックに対応するという大義名分のもとに、地価公示の大幅な縮減も視野に入れた改革、不動産取引価格情報調査の調査主体(地価公示スキームによる調査)や調査方法の変革、さらにはレインズとの融合も視野に入れた大改革を意図しているのではなかろうか? 鑑定協会は新スキーム改革を巡って井戸のなかでせめぎ合っている場合ではなかろうにと心配なのである。
不動産価格動向指標の整備については、昨年度も都合4回開催されている。今年度は委員を入れ替えてのスタートである。 関連資料も含めて国交省土地市場課サイトに詳しい。
【蛇足です】
久しぶりに国交省サイトを渉猟していたら、こんなのを見つけた。何時のまにやら不動産鑑定業者事業実績が公開されているのだ。

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