鑑定協会に期待しない貴兄へ

【茫猿遠吠・・鑑定協会に期待しない貴兄へ・・03.03.28】
 鑑定協会役員選挙も投票締め切りが近づいてきました。
既に、投票された方、決めかねている方、
投票用紙は屑籠へ直行させた無関心な方。
 それぞれのお考え、それぞれのご見識と存じます。
投票は会員の義務、茫猿はそう考えます。
協会の活動に参加する第一歩と考えます。
 会費納付が義務で、選挙権は権利という考えからすれば、
棄権も意思表示の一つである、というのもお考えでしょう。
 しかし、最善は望めずとも次善の選択をというのが望ましいと考えますが、
いかがでしょうか。
 『鄙からの発信』から、候補者への公開質問について、
ただ今(03.03.28-10:00)、6名の方からご回答をお寄せ頂いております。
選管からも、掲載原稿をファクシミリ送付するように求められました。
しかし、閲覧数が伸びていないのが、茫猿は少し不満です。
W.W.Wというものは、World Wide Webです。
鑑定協会の役員候補者は、何を考え、何を訴えているのか。
実は、広く社会に開示されるべきと考えます。
選挙権は会員にのみあります。
しかし、公益法人の役員たるものは、その社会的存在も問われると思います。
そういった意味で、極小ミニコミではありますが、
今回の公開質問を行った意味もあろうと考えています。
茫猿としては、質問に応じるも応じないのも、各位の御見識と考えます。
いずれが是で、いずれが非と問うものでもなかろうと考えます。
 ・・・・・・不思議な話です・・・・・・
 今回から選挙規程が変更になって、Web Site 掲載記事も選管に報告する義
務が課せられたようです。選管から『鄙からの発信』掲載文をファクシミリ送
信するように求められました。
 通常の郵便物等の配布文書ならば、別途選管へ報告するというのは理解しま
すが、Web Site 公開文書を改めて印刷し、選管へファクシミリ送信せよとは、
何とも面妖なことです。選管事務局はinetに接続できないとみえます。
閑話休題 理事候補(無投票当選確定済) M氏より、
次のような葉書を頂きました。
印刷配布文書でありますから、DMと同じであり、
開示して差し支えないものと考えますので、公開します。
論評については、後ほどにしますが、何か面妖な違和感を感じます。
・・・・・・以下は引用です・・・・・・
会員各位    理事候補者 M山 N也
「情報の運び屋」だけでは用を為さない。
中央と地域の差は、情報ではなく、"臨場感"と"刺激"です。
これを如何にお伝えするか、これが私の課題です。
 今、我々を刺激するものは、民事再生法等の法務業務、
金融再生プログラム(法定鑑定)等の金融業務、減損会計
(正味売却価額)等の税務会計業務、等々です。
また、我々の前に立ちはだかるものは、内外共に競争の熾烈化、
入札契約、土壌汚染、等々です。
 私は、いかなる角度から見ても、組織化以外に抜け道は
ないものと考えます。
 今後、我々の業務は一般鑑定を含む競争業務と公的評価・
裁判所等の非競争業務に峻別されてきます。細分化された
個体では、いたずらに無秩序な価格競争を助長するだけです。
もちろん非競争業務はこれまで通り自己の組織で対応すれば良い。
私は日本中を10位の大鑑定組織に集約し、鑑定士は自己の
組織を維持しつつ、一方で大鑑定組織のどこかに社員として
所属すれば良い。と考えるのです。
 鑑定士の明日は、"個人"ではなぐ"社員"であることを
云いつづけるために、42ある理事の一席を目指します。 草々
・・・・・・引用終了・・・・・・
『茫猿独白』
 全国の鑑定士を10個くらいの鑑定法人に集約して、新しく複雑化する鑑定評
価並びにその周辺業務に対応して行く。その方向を指向することに特段の異論
はありません。既存の全国的な組織を有する事実上の鑑定法人以外にも、
既に幾つかの全国的なネットワーク組織が誕生していることでもあり、時代の
趨勢でもございましょう。
 しかし、次の二点で茫猿は違和感を感じます。
1.M氏が、鑑定協会理事として主張なさることかという、違和感です。
「公的評価(嫌いな文言ですが)・裁判所等の非競争業務」という表現も不思議
です。非競争業務ではなく、非価格(報酬)競争業務であるべきでしょう。
質的競争は存在しているし、存在すべきでしょう。
また、「無秩序な価格競争を避けるための組織化」と読めますが、カルテル助
長行為と受け取られかねません。お立場からしても、慎重な表現を望みます。
2.さらに違和感を感じるのは、組織分断を助長しかねない畏れです。
 鑑定評価業務は基本的・基礎的資料収集を共同作業に依存しています。
特に、地方圏ではこの協同作業は必須業務です。
そこに、都市圏主導の全国的組織化すなわち系列化がのさばることは、
協同作業の理念的背景を破壊しかねません。
既に、それら破壊の萌芽は随所に吹き出しつつあると、茫猿は見ています。
 都市圏にとって有効かもしれない組織化・系列化は、地方圏にとっては
分断・寸断以外のなにものでもない。
現に、法務局電算化に伴って市町村へも移動通知がデジタル送信されようとし
ているさなかです。基盤中の基盤である所有権移転情報がデジタル化の闇の中
に埋没しかねない状況にどう対処するのか、士協会は問われています。
 系列化が進み、M氏が云うところの熾烈な競争にさらされるであろう十大組
織の末端に位置づけられた地方圏の悲鳴を、氏は何と聞かれるのでしょう。
茫猿が居住するような地方圏では、単位士協会が求心力を維持し続けること、
そのことが最も重要な課題と、茫猿は今も考えています。
 多分、茫猿は長閑なゲマインシャフトに暮らし、
M氏は喧噪渦巻くゲゼルシャフトに基軸を置かれるのでしょう。
しかし、ゲゼルシャフトの論理で、ゲマインシャフトを壟断されるのは、
何とも耐え難いものです。
 この記事が、幸いにもM氏のお目にとまることがあれば、反論を期待します。

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