りそなと監査法人の姿勢

【茫猿遠吠・・りそなBKと監査法人の姿勢転換・・03.05.18】
「りそなへの資本注入・日銀特融を決定」
 政府は17日夜、首相官邸で初の金融危機対応会議を開き、りそなグループが
申請を決めた公的資金による資本注入を認めることを決めた。
グループ傘下のりそな銀行に2兆円規模を注入し、実質国有化する。(日経記事より)
 土曜休業が普及してから、金融証券市場の大事件は多く金曜日の夜に発生す
る。発生すると云うよりは、その実は週休二日を利用した沈静化対策の時間稼
ぎなのだろうが。
 今回の事件の背景はまだよく判らないが、状況次第ではUFJグループに加
わっていたかもしれない「あさひ銀行」が、大和銀行と提携して「りそなホー
ルディングス」を形成してまだ日が浅いのに、事実上の国有化を迎えることと
なった訳で、複雑な想いの人々は多いのだろう。
 公的資金注入申請に至った経緯には、監査法人の姿勢転換が大きく左右した
という記事も多い。いずれ、あちこちで背景解説が行われるであろう。
JMMなどがどんな記事を掲載するか、今から興味深いものがある。
 さて、長銀・拓銀破綻以来、銀行の合従連衡が繰り返され、新しい銀行名を
記憶するいとまもない有様であったが、今回の「りそなホールディングス」公
的資金注入の引き金を引いたのが監査法人であったとすれば、我々不動産鑑定
士にとっても、対岸の火事ではない。いや他山の石とすべきものであろう。
 先々々号「資格取得について」と題する記事で、JMMより次の言葉を引
用したばかりである。
・・・その職業に要求される技量、知識、経験、人間性、倫理観・・・
 監査法人の姿勢転換を、背信だと憤った「りそな」の勝田社長ではあった
が、監査法人が馴れ合いを排して厳格な姿勢で監査に臨むのは、当然すぎる
ほど当然なことであり、馴れ合いがまかり取った今までがおかしかったと云
えよう。
 かえりみて不動産鑑定業界には、全国的ネットを組んでいる鑑定業者は数あ
るが、本来的な鑑定法人と云える組織形態が確立されていると云えない。
 新聞記事から読めば監査法人には、内部のチェック機能を担う「審査会」
が組織されているようである。
 鑑定業界の独立性及び自治能力の強化向上のために、どのような組織形態が
必要なのであろうかと考える。独立性・自主性を個々の不動産鑑定士の技量、
知識、経験、人間性、倫理観に依存するだけでよいのであろうか。
 地価公示や地価調査等は分科会審議を経ることによって、事実上の審査会機
能が用意されているが、固定資産税標準宅地評価では全ての案件について審査
会機能が稼働しているとは云えない。
 この件に関して、茫猿は「事務所を異にする不動産鑑定士の連署」を評価
引き受け条件としたら如何であろうかと提案したことがある。
 減損会計はじめその他の多くの評価依頼案件では、何の審査も経ていないの
が実態であろう、茫猿とても誰かの審査を経て鑑定書を発行しているわけでは
ない。監査法人が監査報告の信頼性向上の為に払っている努力は、不動産鑑定
士が大いに見習うべきものであろう。さしづめ、鑑定協会新年度新役員諸氏に
とっては最優先の検討課題ではなかろうか。
 審査会機能を果たす組織形成も検討できるであろうし、直ちに実行可能な
方策としては、一定規模以上の評価案件は事務所を異にする不動産鑑定士の
連署を条件とするという案も検討できよう。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
蛇足の1
 ところで、小泉総理は昨夜の記者会見でしきりと「金融危機は起こさない。
起こさせない。」と力説していたが、為政者である以上そんなことは当然のこ
とである。何処の世界に金融危機を起こそうとする為政者がいようか。
 国民が聞きたいのは、今回の施策措置がなぜ金融危機を回避する施策なのか
ということであり、次の具体的な一手はなになのかということであろう。
相も変わらずワンフレーズ総理である。説明責任を果たそうという意志も努力
も見られない。まだボキャ貧総理の方がましだったか。
蛇足の2
 茫猿のホビーである「鉄道模型」について、只管打座に記事を掲載していま
すが、鉄道模型ジオラマの企画設計図を加えました。興味のある方はご覧下さ
い。また、読者諸兄姉で同好の方がお見えでしたら、E.Mailを下さい。
蛇足の3
 先日のこと、若手の鑑定士諸氏と酒席を共にしました。
その折りに、彼等が茫猿のことを「先生」と呼称しますから、「私は同業者か
ら先生と呼ばれるのが嫌いです。顧客から呼んで頂けるのは甘受しますが。」
と申し上げたところ怪訝な顔つきをされました。
 先生と呼んでおけば無難であろうという魂胆が見え透いているのも嫌だし、
何よりも鑑定士同士が「先生、々々」と呼ばわりあっているのは、馴れ合いみ
たいで嫌だし、鑑定士以外の方から見れば見苦しい限りでなかろうか。
・せんせい【先生】(広辞苑より引用)
・先に生れた人。(これなら該当するが、日本ではその意味で使わない)
・学徳のすぐれた人。(茫猿は該当しない)
・自分が師事する人。また、その人に対する敬称。(これも該当しない)
・学校の教師。(これも該当しない)
・医師・弁護士など、指導的立場にある人への敬称。(顧客が呼ぶのなら)
・他人を、親しみまたはからかって呼ぶ称。(唯一、該当するか (*_*) )

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