歯止と連繋

 年金問題は自民党と政府の当事者能力の無さと、無責任さを白日の下に曝した。膨大な数のアナログ記録をデジタル化するに際しての当事者能力のなさを暴露し、膨大な記録は国民のものであり政府(社会保険庁)は預かっているのに過ぎないということに思いが及ばなかった。だから政府による「年金振り込め詐欺」と云われるのである。 年金問題の陰に隠れているが「自衛隊:情報保全隊の情報収集問題」は、民主主義の根幹にふれる重要な問題である。同時に国民の平和と安全に関わる問題である。このことについて、改めて取り上げておく。


 声高に意見を述べなくとも良い。こういう事態が起きているということを承知し、自らの頭脳で考えてみてほしい。こういった事柄の先に治安維持法が存在するといえば、先走りと云うであろうが、だが闇に潜む魔物は辛抱強く粘り強く自らの力を蓄え伸ばしているのだ。我々の多くがその存在をはっきりと認識した時には、すでに手の付けられないほどの大きさと強さを得ているだろう。
同時に我々の関わり方次第では、我々自身がこの魔物の成長に力を貸しているのだという自覚も必要なのである。根幹や本質を見失った上っ滑りな議論は避けなければならないし、何よりも自らのこととして自らの子弟のこととして、戒厳令も海外派兵も考えたいと思う。
 何よりも魔物にとって心強い見方は、あなた方の「無関心」、「無気力」、「無感動」です。なかでも最大の支援力は「無関心」でしょう。市民独り々々の無関心こそが魔物を育て上げてゆくのだと思います。
 ヒトラーのナチスはワイマール憲法から誕生したことを忘れてはならないし、日本の戦時体制は大正デモクラシーの後にやってきたことも忘れてはならないのである。魔物は常に優しい顔と声で我々に初対面の挨拶を送ってくる。
 折しも、脱北家族が青森の漁港に漂着した。某TVニュースショーはこの問題を取り上げて、彼らは脱北者に扮装した北鮮工作員の疑いがあると報じていた。これとても闇に潜む魔物による「広義の広宣活動」の疑いが濃いのである。
 6月7日、「お馬鹿な年金問題」記事の末尾で茫猿はこう書いた。

 防衛省は自衛隊に反対する「市民運動を調べ監視」しようと企み実行するのである。 少しばかり背筋が寒くなる話をしてみようか!?
今の自衛隊の調査能力からすれば当然に行っているだろうし、別の観点から云えば行えなければ困るとも云える問題にこういうことがある。
「自衛隊、海外派兵、憲法9条、イラク、北朝鮮」などという検索語彙によりブログなどを巡回監視するのである。対象とするワードやフレーズの出現頻度でランク付けして国内外のブログやWeb Siteを監視するのである。それだけであれば、あり得ることと思うし、防諜行為の一環として考えることも可能である。しかし、ことはそれだけでは留まらないであろう。
 その種のブログへのビジター・ログの調査や「お気に入り・ブックマーク」の調査もあり得ると考えておくべきだろう。グーグルからすれば当然のことだから、アメリカ国防省も日本防衛省も先刻承知の上だろう。SFの世界が今や現実の世界なのだと思う。グーグルやアマゾンや防衛省の冷たい眼が、周りの闇に潜んでいるのは寒い現実なのである。

 6月8日「事態はここまで進んでいる」で堀田勝己氏はこう記す。

 「まるで、反戦を唱える人間は危険人物であると言わんばかりの暴挙。開いた口がふさがらない。もし、自衛隊のこんな行動が「常識」だなどというのなら、そんな国は狂った国である。改めて思うが、安倍首相の言う「美しい国」とは、やはり戦争を賛美する国であるらしい。」

 6月9日「誰がために鐘はなる!」記事で白川勝彦氏はこう記す。

 「自衛隊の情報保全隊のおかしな情報収集について、朝日は1面、毎日は2面、読売は34面で扱うというので本当にいいのだろうか」
 私が気になるのは、冒頭に紹介した自民党新憲法草案の第9条の2の第3項である。
「自衛軍は、第1項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。」と書かれてある。
「緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動」は、いわゆる戒厳令下における軍の活動を想定しているのではないか。「法律の定めるところにより」の“法律”など、現在のように自公合体政権が衆議院で3分の2の議席をもっている状態では、どのようにでも作られる。

 何人かのブログを紹介したりリンクを貼ったりトラックバックを送ったりすることは、ささやかなことだが、でも一人一人がこういう地道な活動をつなげてゆくことが、いつか確かなものになるのだろうし、闇に潜む魔物を復活させない力ともなるのだと思っています。
 このブログをUPした翌日に憲兵隊に踏み込まれたり、「鄙からの発信」に立ち寄って少し覗いただけなのに警告を受けるようになってからでは、もう取り返しがつかないのです。多分、その時には生命を賭ける戦いになるでしょう。
 でも今なら立ち止まらせられる。少なくとも「憲法は国民を規制する規範などではなく、為政者:権力者を規制する基本規範である。」と、自ら『最高権力者』と国会答弁するお方に気づいて頂く必要があるのです。
 沖縄タイムズは、冷静な口調でこの事態を報せている。しかし冷静であるが故に、その心底に潜む深い哀しみが伝わってくるのである。

「軍暴走の兆候だ」/県内「監視対象」者(沖縄タイムズ:07.06.07)
 「軍」が暴走を始めた―。陸上自衛隊に監視されていたことが明らかになった県内の市民団体に六日、戦慄が走った。「ファシズムの再来だ」「市民に敵意をむき出しにした」。イラク派遣反対などの「ブラックリスト」には、県内の十三団体が政治的に色分けして列挙され、個人の実名も記録された。情報保全隊は、陸自那覇駐屯地でも活動する。実態について、県内や九州の陸自は「コメントする立場にない」とした。

憲法第10章 最高法規 
第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 
第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

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