NSDI-PT Next Stage

 NSDI-PTのNext Stageとは、2010年度事業のことである。 NSDI-PTは2008年度鑑定協会総会における提案にその端緒を発している。 2008年度は、多くの方々の理解と支援を得て、NSDI-PTを発足させ、REA-MAP β版を構築しプレゼンを行うことができた。 今2009年度はNSDI-PT第二Stageとして、前年度に構築したβ版のブラッシュアップを行い運用版構築を目指している。 並行して市販GIS-ASPの利用や、市販地図のもつルーテイング機能を利用した様々な属性データの自動取得機能の構築も目指している。


 当該第二Stage事業はまだその渦中にあるけれど、事業企画あるいはコーディネートセクションとしては、次2010年度第三Stage事業の企画を始める時期と考えている。 また第三Stage事業企画を今の時点で考えることが、現第二Stage事業を円滑に次期につなげてゆく推進力になるとも考えている。
 一つは、市販のGIS-ASPを利用するに際して、取得するルーテイング・データのレコード・フォーマットである。各種の施設名とその距離データを自動取得するといっても、その種類、区分などをあらかじめ検討しておくことはとても重要である。
 基本的にはJIREI10レコード・フォーマットに準拠することは云うまでもないが、JIREI10レコードから協会GISサーバのデータベースへ移植するレコードの内容を検討しなければならないし、次いでGIS-ASP-MAPから取得する属性データの種類を検討するという手順が必要であろう。これらについては、例えば以下のように考えることができる。
1.JIREI10レコードより移植するデータ
 a.ユニーク・コード(レコード番号)
 b.所在地と地番、地目、数量、取引時点、取引単価
 c.複合不動産や区分所有データ
 d.資料不動産の種別、類型
 e.当事者の属性
 f.街路条件(道路種別、幅員)
 g.環境条件(供給処理施設)
 h.画地条件(形状、間口奥行、接面状況)
 i.行政条件(区域区分、用途地域、容積建蔽)
2.GIS-ASPより取得するデータ《仮にJIREI21とでも呼称しよう》
 a.位置座標(X,Yデータ)
 b.駅名、距離(JR駅、その他私鉄駅、地下鉄駅)
 c.公共施設名、距離(小学校、市区町村役所、郵便局)
 d.商業施設名、距離(大型店舗、中型店舗、コンビニ)
 x.都計用途、街路幅員、学区図、状類区分等の自動取得は次期以降の課題である。
 二つ目は、ジオコーデイング・データとルーテイングデータを用いて、実証実験として四半期毎の傾向分析(他者に試みようとする例あり)を行うことである。この分析手法の開発は実証実験参加士協会に依託するとして、その仕様くらいは検討しなければならないであろう。 同時に資料の散布状況を確認する手法についても検討すべきであろう。
これらの依託仕様としては、利用するアプリケーションにはエクセルを採用すること、四半期毎の分析であること、エクセルシートは(1)JIREI21データ移植シート、(2)初期設定並びに前提条件入力シート、(3)演算シート、(4)演算結果表示、グラフを含む結果印刷シート等に分類されるであろうと考えられる。 以上を既存のデータを用いて研究構築してもらい、その成果を次年度第三Stage事業に反映させるべきであろうと考えるのである。
 ところで、ここに一つの寓話がある。権利の上に眠る者は保護されないという寓話は、権利を知らない者にも適用されるのか、また知ろうとしない者はどのように扱われるのだろうかと考える。 NSDI-PTが扱おうとしているのは、情報の塊である。そしてその塊を多次元的に活用しようとする試みの提案なのである。
 情報というものは断片的である場合にはさほどの意味を持たない。 しかし、断片的にはさほどに重要と見えない情報でも集合体となったり、網羅された場合に、それは大きな価値を有するものとなる。 表現を変えてみよう。 情報という宝の山の上に眠る者は保護されるのだろうか、いいえ眠りこける怠慢を批判されることはあっても保護されたり賞賛されることはなかろうと考える。 情報を扱い情報市場に生きる職能人としては、情報の価値を正しく理解し、正しく生かさなければならないと考える。 それは自らの利益のために情報を駆使することのみを意味しない。 もちろん職能人としては自らの職の益を図ることを一義と考えてもさほどに非難されないだろう。
 でも、それだけに留まっては、社会の批判に耐えられないだろうと考える。 何となれば断片的な情報であればともかくとして、情報の塊となった段階では、その一義的発生源、塊となる由縁など諸々のものが私益のみを追求することを許さないと考えるからである。 そうでなくとも公益とか公共という類のものを追求することを本義的に求められている職能人なのである。 不動産鑑定士とはそういう存在なのだと茫猿は考えている。 《何ともはや、禅問答みたいな話ではありますが!》

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