平和を呼ぶ一陣の風

標題は2015年8月26日付け琉球新報<金口木舌>に掲載する「平和を呼ぶ一陣の風」と題する記事からの借用である。新聞記事の引用は基本的に避けなければならないが、記事の趣旨を拡散する意味から、あえて全文を引用させていただくものである。

《引用開始》台風15号より一足早く沖縄を駆け抜けた一陣の風と呼ぼう。ウチナーンチュを鼓舞する旋風であり、沖縄を痛めつける為政者を押し返す突風でもあった。ヨハン・ガルトゥングさんのことだ。
▼約9時間の沖縄滞在中、「平和学の父」は言葉で風を巻き起こした。キャンプ・シュワブのゲート前で放った「皆さんは日本の民主主義そのものです」という第一声は、その場にいた市民の心に響いたであろう。
▼瀬嵩の浜に立ち「この海を壊すことは許されない」と語る声は憤りに満ちていた。沖縄防衛局の作業船はなかったが、海面のフロートに自然破壊の一端を見たはずだ。そしてもう一つの破壊行為も。
▼「憲法9条を破壊している」とは安倍晋三首相への寸鉄であった。首相の「積極的平和主義」に触れる時、その声は怒気を帯びた。自ら提唱する「積極的平和」を首相が盗んだと容赦なく批判した。
▼差別、抑圧、貧困を「構造的暴力」と定義する学者は、戦後70年を迎えた沖縄で、国家による暴力的行為を凝視し、民主主義の主人公と対話した。そこから描き出した沖縄の将来像が「平和の傘構想」提起の地であった。
▼講演では2020年までに北東アジアは共同体形成の方向に向かうと予測し、その結果を「賭けてみましょう」と呼び掛けた。天気図になかったガルトゥング旋風は平和への進路図を沖縄に残していった。《引用終了》

別の記事では、安倍総理は積極的平和の言葉を「盗用」という。
安倍政権が多用する「積極的平和主義」は誤用であり盗用でもある。平和学で「積極的平和」とは、貧困、抑圧、差別などの「構造的暴力」を撲滅することを云うのであり、決して「テロとの戦い」に勝利するようなことではない。国家により沖縄に多くの基地の存在を押し付けることは、国家による構造的暴力であり沖縄県民《ウチナンチュ》のみに犠牲を強いるものである。

また、別の記事では東アジア共同体を提唱し沖縄に本部をと提言する。
「ガルトゥング氏は従来の平和の概念を進めて、貧困や抑圧、差別などの「構造的暴力」がない状態を「積極的平和」と名付け提唱する。安倍晋三首相が「積極的平和主義」を唱えることには「あまりにも懸け離れている。軍拡ではなく、近隣諸国と協力関係を持ち、調和をつくり上げるべきだ」と強調した。」ともいう。

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