トランプショックの本当の意味

トランプショックが続いている。土曜朝のTVワイドショーは、トランプ一辺倒である。トランプ次期米国大統領の登場により、TPPは何処へ、日米貿易は何処へ、日米安保は何処へ向かうのかと云う観測コメントのオンパレードである。

トランプ氏も大統領に就任すれば、議会や側近の示唆、誘導、レクチャーによって軌道修正するだろうという楽観的観測、彼は支持者を裏切ることはできずTPP脱退・米軍再編など日本にとって憂慮すべき事態となるだろうと云う悲観的観測などが入り乱れている。

米国追随外交が米国からハシゴを外されるとすれば、日本のエスタブリッシュメントにとっては悪夢以外の何ものでもないだろう。自らの頭脳で考え自らの足で行動してこなかった報いを受けるのであろうが、全てが日本にとって悲劇となるわけでもなかろう。

グローバリズムや金融資本主義にどっぷりと漬かっていた人たちにとっては悪夢でも、グローバリズムではなくローカリズムを目指そうという人たちや、修正資本主義や社会民主主義的な世界を取り戻そうと考える人たちにとっては得難い機会が巡ってきたと云えるのではなかろうか。古い言い回しを思い出した。アメリカがクシャミをすれば日本は肺炎になる。今やアメリカと中国がクシャミをしたら日本はどうなるのか、肺炎の予防接種は怠りないだろうか。

ことはそんなに単純ではない。自由貿易と輸出至上主義の立場と、国内伝統産業の保護や食糧自給を目指したり、量的拡大よりも質的向上を目指そうと云う立場では、国内的にも賛否両論に別れるのであろう。シェアを拡大しナンバーワンを目指すのか、質的独自性を重視してオンリーワンを目指そうとするのかでも意見は異なるのであろう。

そんななかで注目すべき論評が二つある。ひとつは田中宇氏の「米国民を裏切るが世界を転換するトランプ(2016-11-11)」である。田中宇氏がかねてから主張する世界は多極構造へという立場からのトランプ論である。田中宇氏は尖閣諸島問題について、トランプ氏は尖閣諸島は日米安保条約の対象から除外しないまでも曖昧化するであろうと観測する。トランプ氏は共和党議会との妥協を図るだろうが軍産支配からは脱却を目指すだろうと観測する。

(注)尖閣諸島問題は日中国交回復交渉当時に棚上げし、曖昧にしておくという日中密約のもとにあったという信憑性の高い説がある。それを東京都が買い上げようとしたことから始まり、挙げ句国有化してしまったというのである。つまりは当時の石原都知事と野田総理が寝た子を起こしてしまったと云うことである。

もうひとつは宋文州氏の「トランプ当選の本当の意味(2016-11-11)」である。宋氏の論説の中で特に注目されるのは「米国民のこの変化は、同様に大手企業と大手マスコミに頼る安倍政権に影響を及ぼさない訳がありません。」というフレーズと、「商売とはあくまでも一対一の商談で積み上げるのです。TPPに入れば日本は自動的に輸出が増えるとの発想は業界団体に入れば自動的に売り上げが伸びるとの思い込みと同じで、甘いのです。」である。集団主義を否定し個々の自主性や独自性を重んじる宋氏ならではのフレーズである。

おふたりの論旨は相当に異なるけれど、共通する底流は自らの頭脳で考え自らの足で立とうと云うことではなかろうか。その意味では多極構造化も自主自尊も同じ文脈にあろうと思われるのである。マスコミ論調に限らず他者の論評に右往左往することなく、自らの立ち位置を《日本の立ち位置を》確認した上で、自らが考えることが《日本にとって最適あるいはモアベターな選択を》今こそ大切なのであろう。

《閑話休題》小春日和と云うには暖か過ぎるくらいの日和である。鄙里の雑木林のなかで秋の深まりを探してみた。イチョウはまだ幾らかの青味を残しているが数日中に散り始めるだろう。雑木林紅葉の主力である楓はまだ青い。紅葉するのは黄葉が終わる今月末くらいになるだろう。

鄙里の雑木林は杉・楠・モチなどの常緑樹が三割程度、残りは落葉樹が占めている。秋の深まりとともに射し込む木洩れ陽も黄葉に照り映え、落葉が進むにつれて林の中は明るくなる。楓が紅葉する頃には彩り豊かな鄙林となる。20161112ityoh

ナンキンハゼは散り始め、樹の下を歩けばカサコソと音をたてる。20161112nankinhaze

ケヤキも散り始めている。20161112keyaki

低木ではドウダンツツジが葉を赤く染めている。20161112doudan

同じくブルーベリーも紅葉し、ブルーならぬレッドリーフである。20161112blubery

十日ほど前まではまだ青かった万両の実が、すっかり赤くなった。20161112manryo

林の中の実生と思われるサザンカが一重の白い花をひそやかに咲かせている。サザンカの下では茶の木が同じく白い花を付けている。20161112w-sazanka

この秋に初めて気づいたのだが、ツワブキの花が二種類咲いている。元々違う種類を植え付けたのか《随分と昔に父が植えたのだろうと思っている。》、それとも何らかの変異なのか判らないけれど面白い。左が多数派、右が一株か二株だけの少数派。少数派の花弁は筒状に巻いている。いずれ巻いている筒状花弁は開くのだろうかと見ていたけれど、いっこうに花弁の姿は変わらない。
ツワブキ多数派20161112tsuwabuki-a   少数派20161112tsuwabuki-b

 

 

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