鑑定評価は何処へ -1-

最初にお断りしておきたい。私は、確かに二十数年の鑑定評価歴はありますが、斯界の諸先輩のように「不動産鑑定学」を極めたわけでも、探求したわけでもありません。まさに鄙の畦道歩きの鑑定士が、折々に想い悩んだことを公開してみようというだけのことです。ですから、不動産鑑定評価について、学問的な何かをこのページに期待されるならば、それはお門違いですから、速やかに他のページへお移り下さい。同時に、このページに述べることは、専門的にみれば間違いや勘違いも多いと存じますが、その点はあらかじめご容赦願います。


さて、昨今の鑑定業界並びにジャーナリズムを含めた鑑定業界を取り巻く社会一般の、収益価格偏重に些かの異議があります。確かに過去においては比準価格偏重であった。そのことに反省を加えなければならない。しかし、収益価格にあらずんば評価にあらずという風潮はいかがなものか。収益還元法手法を極めることは重要である。精度を高めることも重要である。このことに関して異論はない。
しかし、収益還元法が内在する問題点を並行して内外に明らかにすべきであろう。我々の内部では自明のことでも、外部では理解され難いことに注意を払うべきであろう。基本的に収益還元法は多数の過去データと将来予測データの組み合わせから構成されるシミュレーションなのだということに、留意すべきである。いわば、原則的には将来予測実験なのだと思います。
DCFに代表される収益還元手法が評価手法の傍流視されてきた原因は、データ収集の困難さもさることながら、多数の予測データ(鑑定士の判断の範囲で変動するデータ)の構成からなるシミュレーションであるが故に、試算行程が複雑でありコンピューター無しには実行が大変な作業であったことに起因するものである。その意味において、コンピューターが全ての鑑定士にとって、入手と操作が容易になった1990年代後半において有力な手法となったのである。
翻って、取引事例比較法にも同様のことがいえる。数値比準表を駆使して多数の事例より比準格差を計算して比準価格を求める手法は、コンピューターあってのものである。その意味において、数値比準表を駆使する比準価格試算もデジタル化の奔流のなかで、その様相を変えつつあるといえるのではなかろうか。
これからの鑑定評価を占う上で、相当に重要だと考えます資料を紹介します。まだ、お読みなっておられない方は、是非一読してみて下さい。
最初は、首相官邸ホームページ中の、「経済戦略会議・2月26日付け最終答申」、
そのなかでも、下記の項です。競売よお前もか、遂にここまで来たかの気分です。
1. 不良債権の実質処理促進のためのスキーム構築
(3)競売手続きの円滑化・迅速化
次いで、国土庁・土地政策審議会のページです。
なかでも、「第4 土地情報の開示・提供の仕組みの整備」です。情報公開はここまで行きそうです。特に以下の記載には注目です。
「2:情報開示とプライバシーや守秘義務との関係
土地の実売価格及び成約賃料は個人の基本的な人権に関わる情報とは言えず、その開示がプライバシーの侵害に当たるとは考えられない。また、守秘義務との関係においても、実売価格及び成約賃料の開示については、閉鎖的と言われている我が国の不動産取引市場の透明性、合理性の向上につながること等を勘案すれば、適切な方法を講じることを前提に積極的に考えることができる。」
さて、この二つの霞ヶ関・審議会の答申を如何に考えたらよいのでしょう。如何に鑑定業界は受け止めたらよいのでしょう。

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