Arecについて

 漸くに春めいてきた頃に、こんなEmailを受け取りました。
 ツマルトコロ、私が金が欲しいのは二つの事業を興したいためです。つまり「グラミンバンク・JAPAN」と、「ナレッジ・コミュニティー」に関わる事業を興したいのです。


 届いたメールからの引用です。

 グラミンバンクについては「岩波ブックレット:南からの国際協力」を読んでもらえればと思いますが、「貧しい人たちの自助更正を手助けするための銀行」です。 「ナレッジ・コミュニティー」は「ジオシティーズ」を一歩進めた「市民による知のデータバンク構想」です。
 結局、高度に形而上化した「記号社会」においては、「情報」と「貨幣」なる、二つの記号保有量の格差こそが全てになります。 今までの歴史における「富の集積」と、この記号を保有することによる「集積」は以下の点で大きく異なります。
・収穫逓減の法則が働きにくい。
・Goods(物材)と異なり、財の価値基準じたいも普遍的ではなく、より「記号」を保有する人間によって決定される。 つまり、「生産工場」の価値は(一般的には)万人が認められるものであった。「情報」の価値は「より多くの情報を持つ人間」が決定できる。つまり情報それ自体は普遍的な価値を持たず、水が流れるように、上から下へと価値判断基準さえも押し付けられる。
 今後「富」が記号化することにより、ひょっとしたら21世紀はとんでもない時代になる可能性があると感じています。面倒臭いので詳述はやめますが、要は、・独占が簡単。
・価値基準の洗脳も容易。 
・(特に貨幣において)知らない人間は、知らないうちにババを引かされる。
 このあたりがキーポイントでしょうか。酋長さんが金塊を独占して喜んでいた時代の方が、まだ可愛いもんですね。 「抽象化」「形而上認識」なる概念は、ひょっとしたら神が与えたもうた「プロメテウスの火」だったのかもしれません。

 このようなEmailに触発されて、以前から抱いていた構想を具体化しようと決意しました。その構想を実現するための組織がArecです。 Arecはエイレックと読みます。日本語名称は岐阜県資産評価研究会といいますが、それはどうでもよいことです。Assets Research&Evaluate Committee in Gifuというのが正式名称になるでしょうか。その段階ではArec in Gifuと称するでしょう。
 Arecは、不動産鑑定士のリベラルアーツとデジタルアーツを高めて、時代潮流の変化に対応してゆく研究や事業を多角的に進めることを目的とします。
又、Arecは、以下の基本原則に基づいて活動しようと考えます。
・ Arecは、会員に自己啓発と自助努力を要求する。
・ Arecは、鑑定士協会でも組合でもない第三の組織を目指す。
・ Arecは、鑑定概念にも正常価格概念にもとらわれない。
・ Arecは、Web利用を中心として活動する。
 Arecが追求するテーマは不動産を中心として、間口の広いものがあります。勿論、都市圏ではその多くが既に話題になり、具体化されていることでしょう。事業化されているものも多いと思います。
 しかし、地方圏ではそういった新規テーマに関連するニーズの発生量が非常に少ないことと、いわばパパママ事務所が大半であり、稀に発生する新規形態の需要に着実に対応してゆくのは、人的にも財政的にも、とても困難な状況にあります。
 そういった、地方圏のおかれた状況、或いは都市圏でも個人事務所のおかれた状況を打破して、多様化する社会のニーズに応えてゆくために、研鑽を重ね、ノウハウを収得するための組織として「Arec」を位置づけたいと考えています。
 そして、一地方に止まらず、全国の各地と有機的且つ柔軟なNETを組み立てる組織にしたいと考えています。同時に、市民に開かれた利用し易い「不動産関連相談・情報センター」でありたいと考えます。
 又、鑑定士以外の資格者や有識者とも広汎なネットワークを形成したいと考えます。いわば、Arec内部でも外部との関係においてもインタラクテイブ且つクロスオーバー型の組織でありたいと願っています。
 Arecで取り上げてみたいテーマには近い将来に事業化を考えるものや、Arecメンバーのスキルやツールの向上に役立つと考えるものもあります。未整理であり重複もしていますが、思いつくままにランダ
ムに列挙すれば次のようなものです。
 a.不動産インデックスの作成と利用。
 b.GIS(地図情報システム)の活用と充実。
 c.インターネットによる情報交換(全国ネットとの対応)。
 d.公的機関における土地情報の利用(業務受託の可能性の研究)。
 e.他業種及び研究団体との連携(建設 不動産 金融 環境 福祉等)。
 f.不動産投資顧問業(地域組織としての可能性の追求と課題等)。
 g.時価主義会計導入への対応とDCFの研究。
 h.訴訟社会の到来への対応。
 i.担保評価のあり方や民事再生法への取り組み。
 j.高齢者社会の到来における不動産評価の在り方。
 k.環境問題と不動産の評価。
 l.M&A、 サービサー、 デューデリジェンス。
 m.相続アドバイザー(相続対策、遊休不動産の活用等)。
 n.市民不動産コンサル(借地借家、相続売買等の恒常的低料金相談)。
 o.Arec事業のマーケットリサーチ。
 p.ホームページによる広報活動と事業活動及びプレスリリース。
 q.外部資格者や有識者との連携を深める。
 r.一般市民対象のセミナーの開催。
 これらのテーマを全て取り上げる必要もないでしょうし、その力もありません。採用するテーマは会員が自ら探求を希望し、会が認めるものとしたいと考えます。
 Arecは、明確な目的や目標を有する会員で構成したいと考えます。
とりあえず入っておこうかという会員は率直に申しまして要りません。会員が追求するテーマは、個々の会員が会の支援を受けて、少なくとも1年間くらい、ものによっては数年間の持続する研究や調査を続け、その成果を逐次、会に提供するものと考えます。そして、個々の会員の力を向上させ、会としての力を充実したいと考えます。
 会員が取り上げる調査・研究テーマは、将来的に事業化できるもよし、他の事業化企画の支援材料となるもよし、広汎に会員のツール・スキル向上に役立つもよし、と考えます。
 同時に、簡単に事業化できるテーマがざらに転がっているとも考えておりません。事業化は結果だとも考えておりますし、事業化のみを目指すとすれば会の行く末は危ういとも考えます。でき得れば、NGO的或いはNPO的な側面も有する組織にしてゆければ良いなと考えます。
「鄙からの発信」の読者諸兄のなかにも、同様のことをお考えの方、或いは既に組織を立ち上げておられる方もお見えになると思います。是非ともご連絡を頂き、以上の趣旨に即した連携を築きたいと考えます。全国各地に[Arec in ○○○」が誕生すれば素晴らしいことと考えますが、如何でしょうか。ご連絡をお待ちしています。

関連の記事


カテゴリー: 茫猿の吠える日々 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください