鑑定士法の制定は無理か

 「はじめに」
公正取引委員会より(社)岐阜県不動産鑑定士協会は「平成12年固定資
産税標準宅地評価業務に関する独禁法第8条違反容疑」にて調査を受け
ております。また、この件に関しまして、2000年10月15日付け朝日新聞
朝刊をはじめとして幾多の報道がなされました。
 全国の不動産鑑定士・士補の皆様、ならびに多くの市民の皆様に、ご
心配を頂いておりますことを、篤く御礼申し上げます。
 同時に、いたずらに世間をお騒がせするとともに、不動産鑑定士に対
するあらぬ疑念を社会に与えてしまいましたことにつきまして、岐阜県
鑑定士協会の一員として深くお詫び申し上げるものでございます。
 さらに、今回の事件は我々岐阜県士協会会員或いはその周辺に存在す
るであろう者からの、公取委告発に端を発していることを省みますと、
そのような告発者を出すに至った岐阜県士協会運営に正すべき点は無か
ったのであろうかと、古参会員の一人として或いは士協会役員の一人と
して深く反省するものでございます。
 もちろん、我々(社)岐阜県不動産鑑定士協会が独占禁止法をないがし
ろにする意志は、全くなかったと断言できます。しかし、我々鑑定士の
論理に偏った業務運営はなかったであろうかという視点からの反省を行
い、独禁法の趣旨に照らして正すべき点は、早急に正すべきと考えてお
ります。
「鑑定士法の改正及び新制度創設は無理なのでしょうか」
 さて、茫猿はこの一連の事件に関連して、「鄙からの発信」記事にお
いて、渦中の一員として烏滸がましい物言いであることは重々承知はし
ておりますが、この事件を契機として鑑定士法の制定に向けて取り組む
べきではなかろうかと提言しております。
 しかし、斯界の各位はおよそ無理なことであり現実性がなく夢想論だ
と、一刀両断のもとに切り捨てられます。
 ところが、本日の日経新聞報道に拠れば、大蔵省は税理士制度の見直
しに着手し税理士法人制度を創設するとのことです。日弁連においても
弁護士法人制度の創設に向けて、会をあげて取り組んでおられます。
 我々不動産鑑定士の永年の悲願である鑑定士制度改革に着手するべく、
客観情勢が熟してきたのではないでしょうか。
 真に独立し自主性ある鑑定士であるためには、大手小手を問わず鑑定
業者に拘束されない、鑑定士が代表者であり鑑定士が主宰する鑑定士事
務所や鑑定士法人の制度創設が必須であると考えます。
 弁護士会や税理士会に遅れをとることなく、資格者として本来あるべ
き姿を目指して新しい鑑定制度創設に着手すべき時期が、今こそ到来し
ているのではないでしょうか。
 斯界の各位に申し上げます。今をおいて制度改革や新制度創設に向か
う好機はないと考えます。特に日本鑑定協会役員諸兄の賢明なご決断を
切望して、関連記事を引用紹介致します。
引用開始・日経新聞00.11.15 ———
大蔵省、複数税理士による法人制度創設へ
 大蔵省は14日、税理士制度を大幅に見直す方針を明らかにした。
複数の税理士で組織する「税理士法人制度」を創設するのが柱。
税務訴訟の際に裁判所の許可がなくても税理士が専門家の立場から意見
を述べることも認める方向だ。
来年の通常国会に税理士法改正案を提出、 2002年度の施行を目指す。
引用開始・1999年9月1日付・日弁連新聞第308号 ——–
 日弁連は、業対委員会の答申書、法律事務所法人化問題協議会の意見
書を踏まえて平成10年12月18日の理事会において、法律事務所の組織の
あり方として、個人経営、パートナーシップ等の形態に加えて、法人組
織の形態(法務法人〔仮称〕)を選択する途をひらくため、その立法化
に取り組むこととした。
以上、両記事共に著作権法に抵触するおそれがありますので、部分引用
のみとします。記事全文は、下記のURLをご参照下さい。
日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/seikei/20001115CEEI033414.html
日弁連新聞
http://www.nichibenren.or.jp/news/308/308-02.htm

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