拙速と巧遅、創業と守成

 某日,某所における会話の又聞きを再録します。
『拙速と巧遅』
(発言者A) その問題は大変重要な問題であるから、拙速の誹りを招かぬように時間をかけて慎重に検討してゆきたいと考えています。
(発言者B) 慎重にということは理解するが、重要な問題であり時期を失してはならないから、直ちに課題検討の行動を起こすべきではないのか。成案作成までの日程を公開し作業を開始することにより、衆知を集めることが大事だと考えるのですが。


(発言者A) ですから、拙速と云われないように時間をかけて、担当者を選定依頼し様々な問題点を検討したいと考えているのです。今は皆様も多忙な時期ですからいずれ折りを見て然るべく前向きに検討したいと考えているのです。
(発言者B) それは巧遅と云うことではないのでしょうか。機会という女神には後ろ髪はありませんし、問題先送りの印象を与えないためにも直ちに行動に移るべきと考えます。重要な課題だという認識を共有する以上、優先順位をどの問題に与えるかという選択だと考えるのですが。
『茫猿孤白』 日本のあちこちで聞かれそうな議論ですね。拙速か巧遅か、或いは強いて優先順付け行うことは摩擦を招くので全ての問題を並行して解決しようとする、一見公平且つ目配りのきいた配慮に見えて実は問題先送り姿勢がチラホラ見え隠れする様子がうかがえます。
『創業と守成』
(発言者C) 貴兄が何か事を起こすときのエネルギーにはそれなりの評価と敬意を払いますが、貴兄は事が一応の段階に至ったら、面倒見が全く悪い。投げ出すようにも見えます。それはよくない態度です。
(発言者D) そう見えますか、私は為すべき課題が重要であればこそ短期集中一点突破を命題として事に当たるのです。そして集中すれば疲れますから休憩がほしいのです。
(発言者C) 「創業は易く守成は難し」という格言をご存じないとみえます。創業のエネルギーは評価できますが守成こそ大事であり、一端関わって事業を起ち上げた以上は後々までもフォローアップするのが責任ある態度と考えます。
(発言者D) 創業後において比較されれば、確かに創業は易く、守成は難しでしょう。でも創業に関わった者がいつまでも当該事業に関与していては、後継者は育たないし後継者との軋轢を増すだけではないのでしょうか。
 頂いた格言には、「狡兎死して走狗烹らる」という格言をお返しします。馬齢を重ねて創業の労苦をひけらかすことなど無きように、早々に後継者にリレーすることがそれ程にいけないこととは考えませんが。
『茫猿孤白』 このテーマにコメントするのは難しい。一つだけ云えるのは、創業には先例が無いか乏しいということであり、守成には少なくとも創業結果という先例がある。それに持続というのも結構エネルギーを消耗することであり、ただ持続すれだけであれば停滞や退廃を招くもととなるであろう。日々新たな守成でなければ、まことの守成とは云えないであろう。
・・・・・・・本日これまで・・・・・・・

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