不作為を排す

【茫猿遠吠・・不作為を排する・・02.06.20】
 鈴木宗男議員が逮捕されました。マスコミやいわゆる有識者の論調は鈴木氏の
議員辞職を求める声が圧倒的多数です。しかし、茫猿は「原則は曲げてはならな
い」と思います。選挙によって選任された議員は、任期満了と選挙によってのみ、
その地位を失うものでなければならないと考えます。
 鈴木氏が個人の判断で議員を辞職するしないは、彼自身の判断の問題であり、
第三者が辞職を是とする意見を言うのまでは結構だが、マスコミ世論の圧力や
「辞職勧告決議案」で辞職させる問題ではなかろうと思います。こういう類の次
第は悪用が怖いということに思いをすべきであろうし、そのような歴史もあった
ことに注意すべきであろうと考えます。
 自民党比例で選出されながら離党しても議員で在り続けられる、現行の比例代
表制に潜む問題点もありますが、悪法もまた法である以上、出処進退は鈴木氏自
身の判断に委ねるべきものと考えるのです。
 同時に、私達は所詮のこと、私達以上の資質を有する議員を得ることはできな
いのだと云うことを、改めて考えなければならないと思います。
『こんなことは云いたくないし、云いながら厭な気分になりますが。』
 この件に関してですが、鈴木氏や彼の取り巻きであった議員諸氏の言動、彼の
発言態度や政治姿勢などが今更に語られるのを見ますと、「水に墜ちた犬は叩け」
という俚諺を思い出します。
 彼及び彼等の言動に不信感や違和感をもっていながら、彼等の勢いのある時は
何も語らず見過ごしていた人々(議員だけでなくマスコミ諸氏も含めて)が、今や
時を得た勢いで「宗男バッシング」に雷同する様子を見ると浅ましささえ感じま
す。
 その時々に理非曲直を糺すべき役割を担っているのが、同僚議員であり、ジャー
ナリストなのでしょうが、今に至って笠にかかる姿勢は問題有りと考えます。
つまり、多くの事柄についていえるのですが、「自分一人、或いは自己の帰属集
団のみの利害得失」についてだけ関心を示し、その範疇外のことには我関せずの
態度をとる人々に対して茫猿は「不作為の罪」を指摘したいと思います。
 茫猿の廻りにも似たような人が多くいます。
「よく判らないから」という人々には、だったら尋ねたらと答えたい。
「関係ないから」という人々には、後から先を争って駆け込むなと云いたい。
「よく見てから」という人々には、リスクをとらない者に成果無しと云いたい。
 所詮、勝ち馬を見極めてから乗ろうというのであろうし、そういった人々を巻
き込んで勝ち馬造りをするのも策の一つとは理解していますが、日和見&事勿れ
に徹する姿勢もまた大人の在り方などと嘯かれれば、ほとほと愛想が尽きてくる
のも否めないことです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・・・・
 少しばかり仕事に余裕ができましたので、「国土審議会・土地政策分科会・不
動産鑑定評価部会の議事録」を改めて読み始めています。
特に改訂骨子案取りまとめ以後の02/01/21からの議事録を読んでいますと、興味
ある発言に出会いました。発言要旨は次の通りですが、詳しくは下記のURLから原
文をお読み下さい。第10回議事録19頁に記載される発言です。
 議事録は初回から通して読むのが最もよいのであろうが、少なくとも改訂骨子
案が国土審議会で了承された後の第10回から12回議事録は是非とも通読すべきも
のでありましょう。昨今話題の「土壌汚染」や「地中埋設物・埋蔵物」或いは建
物鑑定評価についても、随所で審議されています。
『議事録発言要旨』
http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/fukan/fukan.html
・要は特定価格というのは鑑定評価だということで、鑑定評価書で出すと。
・先ほどの場合にも、不動産鑑定士に鑑定評価を出していただきたいというニー
ズがあるということなのですが、逆にコンサルティング業務を否定するものでは
ないということですから、コンサルタント業務として価格を出すことは全く否定
されない。
・逆にいえば鑑定士じゃない方も出せるのかもしれませんが、そこの差が、平た
い言葉で言うと報酬とか責任とかにかかわってくる話で、(中略)
・それがどうしても、特定価格に入れて鑑定評価ということで責任を負いながら、
したがって報酬も高くしたいということの必要性があるのか。
・逆に責任はそれほどとらないものの、独占業務じゃない形でもいたし方ないと
いうことのあたりにするのか。それは大きなコンセプトの問題で、今の私の理解
では、一貫してかなり狭くするということとされているかと思いますので、広く
する必要があるとすれば、その辺りのニーズをもう一度再検討する必要があると
思います・・・・・(中略)
『茫猿独白』
 特定価格に潜む問題点は、『鄙からの発信』でも指摘してきましたが、鑑定士
以外がコンサルタントとしてどのような書類を発行しようが構わないが、鑑定士
が鑑定士資格を明記して、コンサルティングを行うことは鑑定評価書の態様をと
るとらないに関わらない問題だと考えます。
 つまり、如何なる場合、如何なる書式・体裁であろうと、不動産鑑定士の発言
は不動産鑑定士としてのものであろうと考えます。あれは鑑定評価書ではない、
調査報告書だとかコンサルティング報告書だとか云うのは詭弁であろうと考えま
す。別の云い方をすれば単なる善管注意義務だけではなく、不動産鑑定士として
の知識・経験・判断が問われるものと考えるのです。
 昨今、競売評価(最低売却価格を求める)について、鑑定評価の範疇外とかどう
とかという議論も耳にします。しかし、不動産鑑定士が「評価人」として「評価
書」を発行する以上は、不動産鑑定評価基準が根底にあるのは当然のことと考え
るのですが、読者諸兄姉はどのようにお考えでしょうか。
・・・・・・・本稿終わり・・・・・・・

関連の記事


カテゴリー: 茫猿の吠える日々 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください