リーダーの年齢

【茫猿遠吠・・リーダーの年齢・・03.01.010】
 1月8日付け中日新聞連載コラム「ヨーロッパ展望台・熊田亨記」に
アメリカ戦争党と題する記事が掲載されました。この記事は中日新聞と
いう地方紙だけでなく提携する他の有力地方紙にも掲載されているでしょ
うから、読まれた方も多いと存じます。
 ここで筆者はアメリカの新保守派なるものが戦争党に他ならず、彼等
の目指すものは単なるサダムフセイン討伐ではなく、イラクの石油資源
と世界の石油価格支配に他ならないと喝破している。
 この主張は彼のみならず、インターネットの世界では結構大きな声で
あり、田中宇の国際ニュース解説などでは随分以前から説かれているこ
とである。また、ブッシュ米大統領の出自と言動をよくよく見れば頷け
ることでもある。  http://tanakanews.com/
 重要なことは、このような記事が地方紙とはいえ有力紙に掲載された
ことである。マスコミ論調は大量破壊兵器云々に終始しているが、実は
それは口実であり、少なくとも本星ではなく、その実はブッシュ二世の
大義をアメリカの正義とする企てに他ならないという主張は結構有力で
あるにも関わらずマスコミに取り上げられることは殆どなかった。
 それがコラムとはいえマスコミに登場し始めたことに茫猿は注目する
のである。(1/11付け日経朝刊にはフセイン後の石油利権争いという記事
の掲載もある。)
 なぜにこのような文章から、実質2003年初号記事を書き始めたかとい
うと、経済問題であれ社会問題であれ国際問題であれ、すべからく潮流
の変化というものは後になって理解できるものであり、伏流が表面流と
なるような兆しはなかなかに読みとれず後講釈に陥るのが通弊だからで
ある。茫猿は9.11のショックから世界が少しづつ抜け出しつつあり、そ
こから新しい視座が求められつつあると感じるのです。
 昨年から今年に掛けて日経をはじめとするマスコミ論調に多いのは、
リーダー論であり、リーダー若返り論である。失われた十年がいつのま
にか失った十五年になろうとしている時に、一番必要なものは何なので
あろうかと考えれば、田中さんがノーベル賞を授賞したことが大きなヒ
ントであり転機となったのではなかろうか。
 年功序列や根回しが幅をきかす日本社会に対する痛烈なアンチテーゼ
として田中氏のノーベル賞授賞はもたらされたと思います。
 今年の新春挨拶にフェードアウトとスローライフと記しましたが、こ
れも同じ文脈にあります。六十歳以上に舞台から去れとは云わない。
しかし、60歳以上のリーダーは過去の成功体験を捨てられない。
五十代のリーダーも同様かもしれない。少なくとも過去のしがらみから
無縁では有り得ないところに最大の問題点が潜んでいると考えます。
 50歳代に気概無くば、思い切って40歳代に道を譲れと考えます。
若く、進取の気風に溢れ、失敗を次の成功につなげる意欲がある。そん
な世代に舵取りを委ねることが、今の閉塞状況を打破する近道であろう
と考えるのです。
 退職金や年金などを確保して逃げ切った世代・逃げ切ろうとしている
世代は、己の既得・既存場所に恋々とすることなく道を空けるべきだと
考えるのです。そして何よりも持ち回りや順送り人事を排すべきでしょ
う。「ぼちぼち、あの人を」とか「あの人もほどほどの歳になったから」
などという考え方は百害あって一益無しと考えます。
 社会経済問題としては、消費税率引き上げと年金給付率引き下げが避
けられない状況にどう対応するのか、世代間競争をどう調整するのか。
 不動産鑑定業界を眺めても、今年は鑑定協会の役員改選時期にある。
1/10の日経記事によれば、国土交通省は土地の実売価格の公表を検討し
ており、国土交通省・土地政策分科会・土地情報ワーキンググループの
検討を経て、早ければ2004年度にも公開を始める方針とのことである。
 企業会計では、会計制度改革が急速に進み、新たな利益概念として
「包括利益」が導入されようとしている。時価主義に基づく減損会計の
導入に、不動産鑑定はどう対応するのか。
 折しも、継続賃料判定に際して鑑定評価を全面否定する判決が高裁で
出されたり、和歌山では意に染まない鑑定評価が排除され、当事者の意
に添う鑑定評価書が採用されたことに起因する汚職事件が摘発されたり
と、不動産鑑定を取り巻く状況も大きく変わろうとしている。
※東京高裁・02.10.22判決、この項については記事を改めて書きます。
 役員選挙において、どうのようなリーダーを我々は選出するのか、
単位会でも全国会においても、大幅な世代交代を目指すべきであろうし、
少なくとも具体的な目標を掲げるリーダーを選出する時期にあると思う
のだが、諸兄姉はいかにお考えでしょうか。
 鑑定協会役員なるものは、元々がボランティア活動であり、本来の自
己の業務の余暇に行うとすれば、三期六年程度が限界ではなかろうか。
余人をもって代え難しなどと宣うのは、余人への侮り以外の何ものでも
ないことに気付くべきであろう。
 茫猿は四〇代以下の若手鑑定士の奮起を待つのである。鑑定余命が幾
ばくも残されていないロートルはフェードアウトするに如かず。
今後の鑑定業界のためにも、自己のためにも責務がある若手の奮起が待
たれます。

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