士協会NW構築の3

【茫猿遠吠:士協会NW構築の3:05.04.22】
※本小考の全文印刷は、下記に用意しますPDFファイルをご利用下さい。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050422130734004.pdf


四、一括ホステイング士協会NW構築の必要性
 各都道府県士協会サーバを構築するに際して、一括ホステイングを採用する
ことの利点を考える上では、個々に士協会サーバを構築する場合の課題の検討
が参考となる。
『安全性』
 士協会が独自にクライアント・サーバシステムを構築しようとすれば、先ず
最初に安全性を確保するシステムとしてどのような方式を採用するかが問われ
る。この場合に、鑑定協会が採用するシステムと同じ「SSL-VPNシステム」を
採用するのが妥当であろうと考えられる。(小規模会では、IP-VPN方式の採用
も可能である。)
 しかし、SSL-VPNシステムは、一般的に基本費用が高額になるものであり、
小規模会では会員一人あたりの負担が多額になる。(仕様によるが、一式、数
十万円~数百万円必要)
 鑑定協会のSSL-VPNシステムに相乗りしてネットワークを構築すれば、多額
の新規費用発生がなくて、少なくとも鑑定協会と同等の安全性は確保される。
『廉価性』
 独自構築の場合は、ネットワーク構築費用が多額になるだけでなく、事例管
理ファイルの新規作成費用も必要になる。事例のテキストデータだけに限って
みれば、ファイルの基本フォーマットに準拠した独自設計ファイルの作成も可
能であるが、中央管理ファイルから提供されるPDFファイルを管理するため
には相応のシステムが必要になるのである。
 また、中央管理ファイルと同じファイルソフトを利用するに際しても、基本
とするパッケージソフトのライセンス取得費用が割高になる。例えば、中央管
理ファイルが採用するオラクル【術語注.8】を同じく採用しようとすれば、
1CPUあたりで190万円前後、1ライセンス(1ID)あたりで37,500円前後となる。
他のASP型ソフトを利用するに際しても同様であり、独自構築は一定の規模以
上に達しないと多くの経費が割高になるのである。
『利便性』
 いうまでもないことであるが、一括ホステイング方式により士協会NWを構
築すれば、設計・構築・管理に関して手間入らずとなるだけでなく、会員サポー
ト、システム設計及び導入に係わる費用、維持管理費用、運用に係わるノウハ
ウの交換等、利点は多い。
 同時に基本設計を共通にする全国士協会ネットワークの存在は、取引事例等
個人データ管理の安全性や利便性を確保するだけでなく、全国の不動産鑑定士
を重層的に連結するネットワークを構築することともなる。
『構築費用見積』
 全国の都道府県士協会NW構築に関する経費は、NTTコミュニケーションズ(ハード)並びにソラン(株)(ソフト)の両社が提案する第一次見積書では初期費用総額約35,000千円、(参加会員数を5,000名とすれば、一名あたり約7,000円)である。月額の維持費はオプション次第で変わるものの会員一名あたり(1IDあたり)2,000円~3,000円である。
 初期費用の数千万円はいかにも多額であるというお考えもあろうと思いますが、初期費用全額を一度に支出すれば資産勘定が増えるだけであり、公益法人としてはリース方式が好ましいという考え方もあります。リースにして月額維持費に加算し会員が負担する。会員の負担を軽減するためには事例閲覧料のなかで処理するという考え方もあり得るのです。
五、士協会ネットワークシステムの将来展望
 士協会NWを構築すれば、直ちに利便性の高いネットワーク環境が実現する
というモノではない。どのように高度な環境を用意しても、会員が日常的に利
用しなければ絵に描いた餅なのである。
 会員が士協会NWシステム利用に習熟し恒常的に利用するに至るには、相応
の期間を要するものである。しかし、地価調査のメモ価格の提出とか事例カー
ド交換などのように、期日を定めて利用を求めることが日常的になれば、会員
の利用習熟度は日ならずして高まると云える。
 さらにネットワークの充実とその多面的な活用は、取引事例作成の効率化や
事例閲覧の安全性強化、さらには会員の参加する地価公示等の協働業務の効率
的かつ安全な運営にとどまらず、様々な情報を共有化する或いは共同利用を可
能にするものであり、士協会が設置するWeb Site と併用すれば、公益的活動
の拠点として有効な社会的発信も可能にするものであると同時に、不動産鑑定
士のプレゼンスを向上させるものである。
 同時に士協会におけるナレッジマネージメント【術語注.9】の端緒となり、
ネットワークの活用は、それを向上されるものとなろう。
 士協会事務の効率化という面からは、事例管理LOGの保存はトレーサビリ
テイの確保だけに留まらず、閲覧料等の課金システムに発展して事例作成者と
閲覧利用者の負担の衡平化を図ることが可能であるとともに、事務局の閲覧事
業の管理事務負担を軽減する。あるいは会員証をICチップ搭載型に変更する
ことにより、会員の閲覧記録を簡易に管理したり、より広範囲の会員が資料を
共同利用することをも容易にするものである。
 見逃されがちなことであるが、USBトークン利用によるSSL-VPNアクセスは、
インターネット接続環境さえあれば何処でも士協会NWにアクセスが可能とな
り、事務所以外にも自宅接続や、移動先におけるモバイルアクセスを実現する
ことでもある。

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