断片情報しか得ていないし、背景取材もしていないから正確なことは判らないが、鑑定業界におけるネットワーク構築事業に頓挫の気配がある。
鑑定協会サイトにおいて、地価調査委員会は、[2007/2 更新]以後の議事録開示がなされていないし、情報安全活用委員会は未だに何の情報開示もない。しかし断片的未確認情報によれば「地価公示のオンライン化事業」に関して、国土交通省は来年度新規予算要求を見送った模様であり、それに伴い鑑定協会も事業化見送りに至ったようである。新スキームの全国展開という千載一遇の機会に情報インフラを整備すべきであろうと考えていたけれど、全ては水泡に帰しかねない気配がある。
聞こえてくるところによれば、公示のオンライン化などは緊急課題ではないし、公示作業のASP化ソフト利用などは論外という声もあるようだ。公示業務の現場でのデータ交換は、暗号化データをメール添付ファイルで配布交換すれば事足りるという訳である。inetメールによる情報交換ネットが事実上機能していれば十分であろうという訳である。でも、暗号化ソフトマイシェルターが利用できない地価調査の安全性をどう確保するのであろうか、鑑定業界の広汎なインフラとしての情報基盤整備構築はどうなるのであろうか。
今更かも知れないし、蟷螂の斧、ゴマメの歯ぎしりは先刻承知であるが、お時間が許せば読者の皆様に今一度お読みいただきたいと願い、関連記事のLinkを掲載します。
『公示オンライン化-1』
『公示オンライン化-2』
『公示オンライン化-3』
『公示オンライン化-4』
こんな記事も書いていました。記事中に云う不動産鑑定業ビジョン報告からは既に十数年を経過しましたが、状況はそれほど進んだとも思えないのである。同時に当時の文章がさほど色褪せて見えないのがとても寂しいのである。
『鑑定協会は今 -2- 1999-03-11』
私は、コンピューターネットワークも土地情報整備も多様なサービス展開も、一極集中を排して原則として単位会が主体となって行うべきものと考えています。日本不動産鑑定協会は、これらの事業を誘導し支援する組織として在らねばならないと考えます。個々の鑑定士が多対多のクロスオーバー型ネットワークに参加し支えられると同時に、各単位会も日本不動産鑑定協会と多対多のクロスオーバー型ネットワークを構築し、本会を含めて単位会相互間でイーコールパートナーとしてフラットなネットワークを構築すべきと考えます。そして今こそ、各単位会並びに単位会会員のスピード感覚とチャレンジ精神が問われているのだと思います。
コンピュータ・ネットワーク構築には様々な様式が存在するのであり、現在稼働している「鑑定協会ホームページ」、「鑑定協会メールマガジン」、「新スキーム事例調査ネットワーク」、「iNetメール及びメール添付ファイル」等々の包括的総称として鑑定業界コンピュータ・ネットワークと称しても差し支えない。しかし、現在稼働するネットは、安全性、迅速性、簡便性、廉価性、柔軟性、多様性、開放性(会員間)といった視点からすれば不十分なものであり、統一性が認められないのである。また、専門職業家のデジタルネットワークである以上、ナレッジマネージメントに寄与するものでなくてはならないのであるが、それらを充足するものは未だ実現していないと云ってよいのである。
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- 公示オンライン化-4 : 2007年6月23日
- 掲載図表一覧 : 2004年10月2日
- 関連情報の掲載 : 2005年2月27日
- 頓挫?の真偽 : 2007年9月19日
- NW構築企画要旨 : 2006年10月5日
- 士協会NW構築答申(案) : 2006年10月13日
- Rea Net 構築の今 : 2007年9月22日
えっ、本当でしょうか?
9月4日の常務理事会では、そのような報告はありませんでした。私は、取り止めだの、暗礁だのは、聞いていないので、従来どおりに進むのだと思っていましたが・・・。
緒方氏がご存じないのであれば既定方針どおりなのであり、『鄙からの発信』が誤報というか先走りしたのかもしれません。 ただ、オンラインネットワーク構築と地価公示のオンライン化は従来から申し上げているように目的と手段の取り違えが見られます。地価公示のオンライン化、なかでもASP化に偏重する事業方針は危ういものがあります。
地価公示のASP的オンライン化は霞ヶ関頼みが過ぎるところがあり、ASP化転けたら皆転けたになりかねない危うさがあります。鑑定士自身がネットワーク構築の必要性を認識しその負担に応じてゆくという共通認識が希薄なのを案じています。