怠慢の罪?

 昨秋からH21地価公示オンライン化を目標にして、「REA-NET」の試験稼働が実施されている。全国で10カ所程度の地価公示分科会では、H20地価公示データをREA-NETを利用して納付する試みが試行される模様である。『鄙からの発信』では、幾つかのエントリーでREA-NETの現況を記事にしているところであるが、プロトタイプ型構築が進められているREA-NETは、既に十分に実用の域に達しているのである。


 REA-NETメンバー・リストでは、(社)日本不動産鑑定協会の全会員と鑑定協会事務局役職者並びに各都道府県士協会事務局がリストアップされている。また伝え聞くところでも、全会員のIDは設定済みであり、各都道府県士協会からの要請があればいつからでも試験稼働が可能なようである。同時に茫猿がテスト・メッセージを送付してログを確認した結果では、設定が完了した各地の会員が茫猿の配信メッセージを受信したり、ダウンロードしたりしている。また先方からの茫猿宛提供メッセージも受信しているのである。
 このような状況をみると、速やかに試験稼働を実施しようとしない士協会執行部は怠慢であるといえるのではなかろうか。H20地価公示は、マイシェルターを利用して安全に業務が遂行されているところだが、何度も云うとおり、地価調査では安全確保手段が整備十分とは云えない状態であり、H20地価調査でも改善される兆しは認められない。何よりも既にREA-JIREIで提供が始まっている「新スキーム・三次事例閲覧」が、試験稼働未開始の状況では利用できないのである。
 即ち、試験稼働を未だに開始しようとしない士協会執行部を怠慢と云う理由は、一つは会員が新しいネットワークサービスを体験する機会を奪っていると云えるからである。一つは安全確保についてのコンプライアンスが不十分であると云えるのであり、一つは新スキーム事例調査に尽力する会員へ報いる配慮に欠けると思うからである。このような表現は厳しすぎるかもしれないし、言い過ぎかもしれない。でも茫猿は、新しいサービスを積極的に取り入れようとしないのは、「その効用を実感できないから、やむを得ないこと。」と、容認する気にはならないのである。いわゆる新スキーム事例調査参加という会員の負担に対して、後ろ向きの苦情を述べ立てるだけで、そこに用意されているインセンティブに留意しようとしないのは怠慢と云わざるを得ないのである。
 先のエントリー「情報共有」で述べたことを、今一度再掲することにより、再考を促したいのである。 鑑定協会役員も士協会役員も知り得た全ての開示可能情報を会員に開示することにより、会員の判断資料とすると同時に、会員を積極的に啓蒙することも責務なのだと考えるのです。

 なぜ情報公開や情報共有が進まないかと考えますと、それは変化に利益を見出さない人が多いこと、或いは変化は不利益であると考える人が多いことに、原因するのだろうと考えます。 情報を寡占することに自己の存在感を見出している人々もその範疇に該当するでしょう。

 言い過ぎという批判は承知の上であるし、甘受するつもりである。同時に役員諸氏だけでなく、会員諸氏にも自ら情報を入手する努力がほしいし、情報を分析する感覚や技術も求めたいのである。かねて云うところの、センサー、センス、スピリットなのである。
 もう一つ、付け加えれば、ネットワークというものは対象とする範囲の参加者割合が高いほど、そのパワーを発揮するのであり、片肺飛行や部分参加ではその有する力は十分に発揮できないのである。マダラ参加の状態では、鑑定協会事務局からのメッセージ伝達も士協会事務局からの資料提供もその効用を発揮しないどころか、ファクシミリや郵送や電話などの代替手段を併用せざるを得ないことから、費用的にも労力的にも重複支出を余儀なくされるのである。
 この点に関して興味深い事実がある。茫猿は鑑定協会事務局や枢要役員氏にREA-NETを経由して、REA-NETに関するメッセージや文書を、01/02以来、数件発信しているが、未だにどなたの受信完了もログからは確認できないのである。試験稼働する岐阜会以外の都道府県会員の受信完了が確認できるのに鑑定協会事務局などの受信確認ができないというのは不思議である。事務局や枢要な地位にある人達は、自らが体験することにより、その実態を把握し今後の運用についてのマニュアルや規程を整備する準備を進めなければならないだろうに、何故、今に至るもREA-NET設定・稼働が行われないのか理解できないのである。俚諺に、百聞は一見にしかずと云うではないか。 別の観点から云えば、全国の士協会事務局と鑑定協会事務局のあいだで、或いは理事会内や関連委員会内で試験稼働することにより、改善点を洗い出してゆく作業も意味あることと考えるのだが、行われていないようであり不思議なのである。
 旧態依然たる発想ではあるけれど、REA-NET試験稼働と2008年を祝して、神戸会長や小川地価調査委員長や澁井情報安全活用委員長の、「年頭の辞」が配信されてきてもオカシクはなかろうと思いますが、皆様はいかがお考えですか。  『 そんなの !! 関係ニャイ !! 』ですか?

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