第45回総会

 鑑定協会第45回総会は、09/06/16上程議案を全て承認して終了しました。 事前に提出した質問事項について、手短にという要請付きながら茫猿にも発言の機会を与えて頂きました。 日頃は協会活動について発言の機会を得難い地方一般会員にとって、総会は貴重な発言機会であると改めて思いましたが、このような総会運営も代議員制・連合会組織に移行するであろう二年後には無くなるのかと思えば、一般会員が鑑定協会運営について一層の関心を持ち、どのような連合会組織が望ましいのか、よくよく考えるこの一年でありたいと思われます。


 茫猿が事前に提出しました質問事項三件は既にこのサイトに開示するとおりですが、この三件について「三つのD」とまとめて、このように補足発言しました。
「質問一、新スキームについて(総会書類73頁5項)」
 新スキームが全面施行されて既に三年になります。いつまでも新スキームという呼称ではなかろうと思われます。調査の実態を的確に表す表現、例えば不動産センサス、せめて取引価格悉皆調査などという表現を採用される時期に至っていると考えます。
 いわゆる新スキームは確たる法政令などに基づかない、いわば「砂糖細工」のスキームです。いつ何時どのように変わってしまうかもしれない脆いモノです。この脆さについて協会役員の多くは正しく認識していながら、会員にその本質を伝えようとしません。 だから、茫猿は実態を表す呼称に変え、さらに事実上の標準(ディファクトスタンダード)として社会に認知されるスキームに転換してゆかなければならないと提唱するものです。 それを『Defacto standard』化を図るべしと提唱し、様々な活動を展開しようと提案するものです。 一番目のDがこれです。
「質問二、関心を持って頂きたい関係機関の調査研究(同、75頁2-(2)項) 」
 学界にデータを開示し、共同研究等を行い、その成果を社会に還元することにより、デファクトスタンダード化をさらに進展させようと云う提案です。 いわば情報のクローズではなく、ディスクローズ(Disclose)です。 これが提唱する二番目のDです。
「質問三、地理空間情報の活用について(同、74頁5項)」
 NSDI-PTは、事業計画並びに予算が承認されて、今年度は新たな展開が期待されます。 そのような時期には鑑定業界の将来を見据えた確かなデザイン(Design)が求められると提案するモノです。これが三番目のDです。
 いわば、将来を見通した的確なデザイン(Design)のもとに、適切なディスクローズ(Disclose)を行い、いわゆる新スキーム(取引価格情報悉皆調査)を確かなディファクトスタンダード(Defacto standard)へと転換してゆこうと提唱するのです。
 執行部担当役員のお答えは、決して後ろ向きのお答えではなかったと伺いましたが、それでも鑑定協会自らの意志で状況を変えてゆこうというよりも所管庁の意向次第といった「アナタ任せ」的なやや消極的な答弁だったのが、少し残念でした。 なかでも「敷地細分化抑制のための評価指標マニュアル」についての所管委員長の答弁は、その存在自体すらご存じないようで、とても残念でした。 同評価指標マニュアル・報告書36頁に次のように記載されているのです。

3-2.評価項目とデータ収集方法の整理 
(1)対象地域及び地価データの確定
2)地価データの設定
 本調査において利用可能と考えられる地価データとして、「取引価格」、「地価公示」、相続税や固定資産税評価に用いられる「路線価」、情報誌等から得られる「供給者の提示額」等が考えられる。 ヘドニック法では、理論的には「取引価格」のような実際の市場データを用いることが望ましいが、一般に公表されていない場合が多く、情報が十分な量を収集できない場合もある。
そのため、本調査において「地価公示」を基本的なデータとして活用する。

 これ以上、多くは申しませんが、「敷地細分化抑制のための評価指標マニュアル」について、我々不動産鑑定士はもっと多くの関心を有してよい事柄であろうと思われます。
 茫猿が最大の関心を有する《NSDI-PT》を所管する情報安全活用委員長には澁井和夫常務理事が指名され、さらに同委員会を担当する副会長には小川隆文副会長(地価調査委員長)が指名されました。 NSDI-PTの多角的展開を考えれば、まことに望ましい最善の人事であろうと思われます。
 総会終了後の懇親パーティーには金子国交省大臣以下多数の国会議員や各界ご来賓が列席され、とても盛会でした。 冒頭、神戸会長がご挨拶されましたが、会長挨拶は今後二年間の鑑定協会運営を力強くリードしてゆく意欲に溢れた格調高いものでした。 記憶を頼りにその骨子をお伝えしますと、「鑑定協会は社会と共生してゆかねばならない。 鑑定士の持てる専門性、先見性をさらに強化して社会に貢献してゆかねばならない。 専門業界の狭い枠に止まることなく、社会と共に歩むという姿勢が問われているし、そうあらねばならない。」 まこと、力強いご挨拶でした。
 
 会長挨拶を聞く参会者。
 

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