情報整備のあり方研究会

2012.09.07 「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」 が中間とりまとめを公表しました。 同研究会の事務局は国土交通省土地・建設産業局不動産業課に置かれ、委員会名簿に不動産鑑定士協会連合会会員は入っていません。 オブザーバーとしては、国土交通省住宅局住宅政策課長が参加しています。 同研究会はレインズ・データを中心に議論していますが取引価格情報提供制度についても言及しています。  同時に各種情報ストックの一元化並びに、その利用のあり方についても言及しています。 (なお、研究会に先行する、活性化フォーラムには鑑定協会臼杵常務理事が参加していました。)

以下、中間とりまとめより、鑑定業界にも関わるであろう事項を引用して掲載します。
部分引用であり、全文については中間取りまとめを参照して下さい。
引用文中の下線は筆者が付すものである。

《物件情報提供の意義、情報の一元化について、述べている箇所》
1.はじめに
不動産流通市場活性化フォーラム」提言(平成 24 年 6 月取りまとめ公表)において、物件情報提供の充実及びそのためのシステム等の整備など、中古住宅市場を中心とした不動産流通市場における「情報の非対称性」を克服するための方策について、その必要性が改めて指摘されている。また、我が国の不動産流通システムの中核である指定流通機構(以下「レインズ」)についても、情報の提供及び活用のあり方について議論する必要性が指摘されている。

中古住宅の質を高め、国民の住生活の向上を図るためには、住宅の売り主・買い主である消費者の利益が実現するよう、情報の整備・提供により市場の透明性・効率性の向上に取組むことが重要であるが、中古住宅市場に係る情報の整備・提供の充実に関し取組を強化することは、同時に非住宅を含む不動産流通市場全体の透明性の向上につながり、将来的な不動産市場の規模拡大、不動産流通市場全体の活性化につながるものと考えられる。したがって、このとりまとめの中では、不動産流通市場及び不動産情報については、基本的に中古住宅流通市場及び中古住宅に係る情報を念頭に置いて議論を展開することとする。
そこで、不動産流通市場の透明化・効率化を図るためには、まずは、
ⅰ)「住宅履歴情報(いえかるて)」を含めた不動産情報の集約・整備
ⅱ)市場流通物件に係る情報提供の充実
等について、市場の実情を踏まえた実効性のある方策を検討することが必要であると判断し、特に、不動産情報の集約・整備については、分散している各種情報の一元的集約の可能性と方法、成約情報の共有の是非などこれまでにない視点・発想や、技術的にも精緻な検討が必要であることから、本研究会を設置したところである。

《取引価格情報提供制度について述べている箇所》
3.現状認識 ③ 成約情報の高い秘匿性と共有化の難しさ
不動産取引当事者へのアンケート調査に基づく不動産の実際の取引価格に関する情報について四半期毎に提供しているほか、事業者間の取引情報交換システムであるレインズが保有する不動産取引価格情報を活用した消費者向けの情報提供サービスを行っているが、いずれも国内不動産取引の大半をカバーするには至っておらず、また個人情報保護の観点から秘匿処理等を行い、個別の不動産取引が特定されないよう加工しなければならない制度になっている。

《各種情報の一元化について述べている箇所》
5.情報整備に当たっての検討課題
(2)分散している各種情報の一元的集約の可能性と方法
情報ストックの一元的整備の方策については、新たに全ての情報を一元的(一箇所)に集約する仕組みにこだわらず、既存のデータソースとの連携による中核機能(ハブ)として、情報保有について権限と責任を有する各情報保有機関との連携により情報整備を行うことも選択肢に入れた検討が考えられる。
それに際しては、協力可能な主体との連携から始め、段階的に連携先を拡大する方向で検討することを基本とし、各種情報のデータソースとの連携の可能性、情報収集の具体的な方法論については、可能な限りそれらの主体の協力を得て技術的な課題を含め専門的な調査・研究を経てとりまとめていく。
また、各種情報を収集・整備・管理・提供する主体には、効率的かつ安定的な業務執行が可能な体制及び情報セキュリティの確保等が求められるが、具体的にどのような機関が担うべきか、一元的集約に係るシステムの調査・調整を進めていくことが必要である。

(5)情報提供のあり方
① 情報ストックの情報提供に関する基本的課題
レインズと情報ストックとの連携により収集・整備する情報項目と、事業者及び消費者に提供・開示する情報項目とは直ちに一致するものではなく、それぞれの意義や目的に照らしながら切り分けて検討されるべきである。特に、収集・整備した情報ストックについて、どのように事業者間で共有するのか、あるいは、具体的にどこまで消費者に提供するのか等を考えるに当たっては、個人情報保護法への的確な対応が必要であり、来年度以降、提供時期、目的、相手方等に応じた検討・調整が必要であると考える。

④ 価格査定への反映のあり方
住宅履歴をデータベースに入れただけでは、流通を活性化させるには不十分ではないか。取引の出口である住宅ローンにおいて、金融機関が担保評価しやすいようなデータとして提供できるかどうかが重要だと思われる。価格査定に住宅履歴が適切に反映されその価値が客観的に明らかになれば、金融機関による適切な担保評価が可能となるとともに、消費者の価格の妥当性に関する不安も払拭されることが期待される。これらに関する検討に際しては、金融機関と十分な連携を図ることが重要である。

《茫猿独白》
以上、中間取りまとめが示している「不動産取引情報の一元化」、「安全性の確保」などを、新スキーム改善問題とからめて、鑑定協会はどのように読むのか、理解するのかが問われている。

『鄙からの発信』が、「取引価格情報提供制度だけが不動産市場における取引データではないことにも留意しておきたい。 歴史と実績を有し事業主体の力も大きい「レインズ」や、「SUUMO」に代表されるウエブ情報も有力な基礎データ(マスデータ)として存在しているのである。 それらを幅広く柔軟に連繋する「不動産インデックス」や「不動産センサス」の構築(提唱)が必須であろうと考えるのであり、それらデータのハブに位置することこそが鑑定士ならびに不動産鑑定士連合会の果たし得る役割であろうと考えている。」と述べたのは、先月初めのことである。

取引価格情報提供制度も含む各種情報を収集・整備・管理・提供する主体、すなわち所管課が不動産業課になるのかも、鑑定業界としては看過できないことであろうと考える。 土地・建設産業局・不動産業課なのか同局・土地市場課なのか、いずれにしても鑑定業界の手の及ばない事象ではあるのだが。

 

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