心痛む衝撃的な話

NHK・ETV特集「長すぎた入院」を視聴する。厚生労働省の公表データによれば、国内での五年以上の精神病疾患長期入院者数は十万人にのぼるという。福島原発事故により見えてきた実態を報道するこの特集は、日本社会の見えざる闇を覗いた気分を味あわされた。

NHK・ETV特集「長すぎた入院」を紹介するNHKサイトによれば、
精神科病院大国、日本。人生の大半を精神科病院で過ごした人の実態が、原発事故をきっかけに見えてきた。なぜ彼らは長期入院になったのか。当事者の証言で探っていく。(と、ある。)

精神科病院大国、日本。世界の病床のおよそ2割が集中し、長期間、精神科病院で過ごす人が少なくない。国連やWHOなどからは「深刻な人権侵害」と勧告を受けてきたが、その内実はほとんど知られることはなかった。ところが、原発事故をきっかけにその一端が見え始めてきた。人生の大半を病院で過ごした人。入院治療の必要がなかった人。番組では、患者たちの人生を追うとともに、なぜこのような事態が生じてきたのかを探る。《引用終了》

厚生労働省の公表データによれば、年々漸減しつつあるとはいえ2014年度における五年以上の長期入院者数は十万人である。《入院患者総数29万人の1/3を占めている》
福島原発事故によって、被災地の病院から避難・転院せざるをえなくなった20年以上入院する患者の何人かが、転院先の病院で入院の必要なしと診断され、社会復帰を果たしつつある状況をレポートする番組である。

NHKの取材に応じた彼ら(入院患者と元入院患者)には、画面で見る限りなんの異常性も異様性も認められない。一部の人に軽い知的障害を認めるだけである。何が原因でこのような事態が起きたかを探ってゆく番組は、収容所列島日本の実態を考えさせる。

番組の進行とともに、精神病院に患者を隔離してゆく日本社会の現実が見えてくる。患者は精神病患者というよりは、軽度の精神的弱者あるいは軽度な知的障害者であるように見える。何がこのような長期入院患者を生み出したのかを考えて見ると、異端を排除し、多様性を認めようとしない、同質性均質性を良しとする日本社会がもたらした歪さが背景に存在するように思える。

高度成長期に経済合理性追求の観点から社会的負担を下げようとし、異端を排除し多様性を認めず均質であることに合理性を求め、社会的な労働コストを下げようとした高度成長期の異様な闇が見えてくる。異端者を排除し、多様性を排除し、精神病院という収容所に収容する。さらには、厚生行政のあり方として、精神病院の入院患者受け入れを誘導し、社会復帰施設の建設を避けてきた実態も垣間見える。

社会に、地域に、家庭にしだいに居場所を無くしてゆき、いつか社会から地域から家族からも忘れられてゆく長期精神病入院患者の人々の姿である。

そこには家族の退院申し出が無く、退院に家族の同意が得られない実情も示される。高齢化した親たち家族の経済的状況も反映するであろうし、家族を取り巻く地域社会の無言の締め付けも反映しているのであろう。精神病者《精神病院に入院病歴のある者》は社会にとって危険、有害であると一方的に断じる地域社会の無言の意向が家族に反映しているのであろう。

そこには老健施設や知的障害者支援施設の建設に反対する地域社会の現状が存在し、精神障害者の社会復帰施設の建設に反対するものであり、家族が受け入れて負担できない患者を受け入れる社会施設の存在を乏しいものとしている。

これは知的障害者施設への建設反対と同じである。社会が受け入れなければならない社会的弱者への視点が欠けており、彼らの存在を見ようとしない、目を塞ぎいつしか忘れてゆく日本社会の実情が見えてくる。福井達雨先生の嘆きを改めて思い出すのである。

Remeサイトによれば「精神病院や精神科病棟に入院する基準」とは、
・自発的入院である「任意入院」
・非自発的入院である「医療保護入院」「応急入院」「措置入院」「緊急措置入院」があります。本人が病状を理解し、治療を同意しての入院ばかりではない精神科への入院基準ですが、自傷他害の恐れがなくなり、医師の許可を得ることができれば退院することは可能です。大切なことは、退院した後のフォローです。家族などが精神科に入院した場合には、みんなで本人を支援する体制があると良いですね。《引用終了》

止揚学園】  【福井達雨先生

止揚学園のリーダー 福井達雨先生 投稿日: 

相模原事件-2  投稿日: 

 

 

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