バーチャル市民国会

全国各地で産業廃棄物処理場や原発問題等をめぐって、住民投票条例設置の請願が行われたり、実際に住民投票が行われたりしています。住民投票については議会政治の否定であるという意見と、直接に民意を問うよい機会であるという意見が対立します。なかにはポピュリズムであると嫌う人もいます。


 住民投票の良い点は直接に民意を問えることにあります。代議制の良い点は、これ程に錯綜し政策決定に専門的知識が必要な現代社会では、十分な研究と慎重な価値判断が必要であり、それに応え得る議員という専門家に委ねることにあります。両者の長所は裏返せば、そのまま対置される両者の短所でもあります。同時に住民投票であれ代議制であれ、政策・施策の優先順位判断が最も重要なのに、その判断が住民エゴや選挙民エゴに流されかねない危険が往々にして認められます。この閉塞感が寡頭政治を求めたり、強力なリーダーシップを求めたりする風潮を作り出します。
 このジレンマの一つの解決策として、中日新聞と東京新聞が実験した「インターネット市民国会」があります。古代ギリシャの昔ならいざ知らず、十万都市でも全有権者が一堂に会して討論することはとても不可能ですが、インターネットというバーチャルリアリテイの上では、それが可能になるのです。
 時間と場所の制約がなく、発言量の制約はあるにしても、誰もが好きな時間に討議に参加し、自由に意見が述べることができる。近い将来にはTV電話を利用すれば、映像と肉声によるバーチャル国会が実現するかもしれません。インターネットは情報の検索受信手段から情報の発信手段に変化しつつある兆候を垣間見せた実験だったと思いました。
「インターネット市民国会」URL
http://www.chunichi.co.jp/kobo21/

関連の記事


カテゴリー: 只管打座の日々 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください