決心高度

毎日の日経を開くのが楽しみです。と云っても、投資資金を持たない
者の僻みで、昨今の株式市場の低落をほくそ笑んでいるわけではありま
せん。もともと、金は使うだけあればよいという信条ですし、衣にも食
にも住にも、金を使いすぎると禄なことがないとも思っている茫猿です。
贅沢な衣服が似合うセンスが無く、食い過ぎれば身体に悪く、第一最
近では旨い漬け物と人には知られていないが好みの地酒があれば十分と
いう食生活です。所詮、立って半畳、寝て一畳、閑居するには四畳半、
寝溜め遣り溜め、まして糞溜めできずと賀詞に書く男です。
話題がそれました。日経を楽しみにしているのは、連載小説を読むの
が楽しみだからです。夕刊の「安部竜太郎、作・信長燃ゆ」は、週刊ポ
ストの井沢元彦の連載である逆説日本史と同じように、歴史の新しい切
り口という観点からも面白いと思います。話はいよいよ佳境に入り、明
智光秀の反乱にどのような背景があったのか、都の長袖族が如何に画策
したのかという場面が近くなりました。
「信長燃ゆ」もさることながら、始まったばかりの朝刊の連載「辻原
登、作・発熱」も展開が楽しみです。トレンデイなキャリアを持ち、い
い男で鋭い知性と何処かニヒルな横顔を持つ元トレーダーが主人公で、
彼の名前を竜といいます。竜の為替市場での活躍を縦軸に、竜と幼なじ
みの風子と、そして謎の女性(ニョショウ)右近が織りなすであろう人
生模様を横軸に、小説は展開してゆくだろうと予想されます。これから
の、展開に期待ができます。
竜のプロフィルには、鑑定業界の周辺と云うよりも、鑑定業界にも些
かの関心を持っていながら、鑑定よりもM&Aや証券化やデユーデリな
どの世界で活躍している、最近の若手鑑定士の何人かの横顔に、少し似
通ったものを感じているのは茫猿だけでしょうか。
冒頭に展開された、主人公と謎の女「右近」に、なにやら深い縁があ
りそうな、南山城の浄瑠璃寺にも興味がわきます。浄瑠璃寺から山越え
の柳生の里なども含めて、近い内に、機会を得て訪れてみたいお寺です。
小説のなかでは「ゴーアラウンド・着陸復行」と「決心高度・(業界
用語としての英語は見落としました determine altitudeでは直訳過ぎ
て変です。覚えている方がいらしたら教えてください」が、これからの
展開のキーワードになりそうです。
「決心高度」は飛行機が着陸態勢に入るか否かを、決定する限界高度
のことを云うようです。ここで決める、或いは、今決めるというような
意味でしょうか。着陸復行は、着陸態勢を中止して、再度やり直すとい
う意味のようです。GO OR STOPを決めるべき時期と、一端決めて
も無理だと思えば、躊躇無く再試行するという、二つのキーワードは、
何かと示唆するところが多いと感じています。
日経を連載小説から開く茫猿でした。

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