好きずき

 読者によって、好きずきはあろうと思いますが、雑誌「週刊金曜日」
に連載されている読み物に「永 六輔筆・無名人語録」というのがあり
ます。無断転載はマナー違反ですから、引用は致しませんが何かと面白
い語録です。他にも松崎菊也の時評コラム、谷口源太郎のスポーツコラ
ムなどは肩の凝らない読み物として、茫猿は愛読しています。
 本日の日経夕刊コラム「鐘」に、永六輔著「商人・あきんど」より次
の語録が引用されてありました。
「今日は来ると思うか、今日も来ないと思うか、ここは予想屋が決める
んじゃない。いいかい、お客さん、あんたの人生観が決めるんだ」
 コラム「鐘」の(風)子は、情報の活用と個々人の自己責任としての
決断を語る惹句として、引用しています。確かに予想屋情報を生かすも
殺すも、情報の受け手次第です。石橋を渡ってから叩くも、叩き過ぎて
壊して渡らないのも、それぞれの人生観でしょう。
 しかし、多くの場合、そう突き放してばかりもいられないし、デジタ
ルデバイドのもたらす結果を考えれば、Web世界の弱者に気配りを忘
れることはできないと考えます。
 つい先日の株式市場のWeb関連株の暴落とて、情報の取り方を間違
えたか、読み方を間違えた欲ボケの結果と突き放すのはたやすい。
しかし、証券会社の提灯記事や惹句に惑わされることなく、デジタルの
世界を注意深く看ていれば、容易に予測できたことでもあるのではなか
ろうか。
 株のことは、さておき。
時代に逆らわず、また先行しすぎないように、Web化或いはデジタル
化を考えていると、思いもかけない障害に突き当たります。
茫猿の生息する小さな業界で、Web化を進めようとしたら、根強い反
対に遭遇しようとしています。今時、キーボードアレルギーなどは払拭
されたか、またはアレルギーを語るのは気後れがするから、Web化に
大きな反対はないだろうと予想していたのですが。
 案に相違して、Web化には、反対が多いようです。
諸事連絡をEmailやメーリングリストを利用して省力化と効率化を
図ろうと企画したのですが、煩雑だとか経費がかかるとか云う理由で反
対されるのです。
事務局からの連絡は原則Emailで行い、プロバイダー契約をしない
人にはEmailをパソコンよりFAXモデム経由で相手先FAXに送
信するというだけのことですが、異論・各論が続出する様子です。
 Emailチェックを日常的に習慣づけたり、メーリングリストを活
用して、フラットな文鎮型の意見交換を行うことは、時間と諸費の節約
につながり、個々人のデジタルデバイドの解消にも大いに役立つであろ
うと企画したのです。同時にデジタル的・文鎮型的情報交換は、各種情
報をクロスオーバー的に共有できるものであり、情報過疎や偏在を解消
できると考えたのですが。ことは、そんなに簡単ではないようです。
 穿ち過ぎとは充分に承知していますが、新しいことに反対する人々に
は二通りあるようです。一つは、人生観や論理的理由による反対です。
これらには対処の方法があります。人生観は変えようがありませんが、
自己の人生観を認めてもらうことは、他者の人生観を大事にすることか
ら始まると説けば、折り合い点が見つかるものです。論理的理由につい
ては論争して、より良い結果を模索すればすむことです。
 対処の方法が見つからないのは、変革に対して本能的な怖れを持つ人
の場合です。内在する変革への怖れを認めず、変革そのものを潰すこと
が自己実現だと無意識のうちに考える人です。
情緒的であれ論理的であれ、反対の意志が筋道立つものである場合は良
いのですが、怖れから始まる反対には為す術がありません。
 この話は、後日談をいずれ「鄙からの発信」に書きます。
さて閑話休題、同じく本日の日経夕刊5面コラム「NIPPONビジネス戦記」
に、身につまされる話が載っていました。
 Emailの氾濫が、時間管理の方法を変えてしまうという話です。
確かに、大企業の管理職ほどではありませんが茫猿でも、受信Emai
lが10通を超えると、一読して返事を要するものはRESを打つとい
う作業に、小一時間を費やしてしまうことが度々あります。
 迂闊に斜めに読むと誤読を生じますし、軽々にRESすれば、齟齬を
来したりします。Emailに対応して時間管理或いはEmailその
ものにどのように対応するかを考えなければならない時期に来ていると
思います。
 その意味では、スタッフに全Emailを印刷させて、ゆっくり読み
終えてから、又、スタッフに返事を手短に指示するという彼の遣り方は
一理あると思うのです。【彼とはコラム子ではなく、茫猿の畏友の一人
のことです】
 ただ、この方法も、全ての電話がスタッフに筒抜けになるのと同じ事
であり、いつまで続けられるかが、余所事ながら心配なのですが。
          「蓼喰う虫も、好きずき」という閑話でした。

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