笹蔵の酒

 酒飲みにはビール党、水割り派、ワイングループなどがあります。
私の敬愛する岐阜の先輩鑑定士M.H氏は専らビール党であり、何を食
べても酒はビールです。とは云ってもビールで腹がふくれるのか、お歳
のせいなのか、固形物はあまり進みませんが。
 このWebで最近よく名前がでる、K.H氏はワイン派だそうです。
食事もフランス系やイタリア系がお好みのようです。彼のホームページ
にはワインコーナーがあります。(URLは00/08/11頃に紹介しました)
 茫猿は、アルコールには弱いくせに、アルコール飲料は何でも頂きま
す。しかし、和食党であるせいか、日本酒が一番美味しく飲めて好きな
ような気がします。美味しく頂けるということは、量を過ごしがちであ
り、翌日に酒を残す破目となるので、日本酒を頂くときは注意している
のです。しかし、美味しいものはいけません。どうしても飲み過ぎます。
 茫猿が酒で不始末をするときは、大概日本酒が入っています。
 閑話休題、日本酒に合う食べ物の話です。
京都市中京区の御池間之町上ル (御池通りより間之町を100mほど北
へ向かう、間之町は烏丸通りから二つほど東の南北の通りです)に「笹
蔵」という割烹居酒屋があります。間之町通りに看板は立っていますが、
店は細路地の奥にあり、あまり目立たない店構えです。
 銀色になった頭を五分刈りにして捻り鉢巻を粋にした親爺が包丁を握
り、愛想のよい女将の他には従業員が二人か三人ほどで営業しています。
二間間口の奥行五間ほどの店内は、ほとんどがカウンターで、壁際に二
人掛けのテーブルが二個あるだけです。
 茫猿がなぜこの店が好きかと云いますと、まずは鱧(ハモ)のたたきが
旨いのです。おとした鱧(骨切りをした鱧)を軽く焙ったものでして、焙
り鱧の香ばしさと鱧刺しの旨さを同時に味わえる優れものです。9月一
杯くらいは鱧と松茸の鍋も出てくるかもしれません。
 次いで、丹波地鶏の網焼きが旨い。歯ごたえがあって旨味が濃くて、
皮の焼き目が香り高い、選ばれた丹波地鶏を塩だけで焼いて供してくれ
ます。そして京都のお晩菜である「菜っぱのタイタン」これが美味です。
京菜と揚げと薄味のハーモニーが素晴らしい。酒にもよく合います。
 この菜っぱのタイタン (炊いたん)は、京都の居酒屋ではよく供され
ますが、他の店と違うのは作り置きではないということです。笹蔵では、
注文があってから菜と揚げ(油揚げ)をきざんで、炊き上げます。
だから、醤油味が浸みすぎることなく、菜の歯触りがシャキッと残る、
一品(ヒトシナ)となるのです。
 そして止めは、常時在庫30銘柄以上の日本酒があります。店主は酒
匠でありまして、普段はあまり饒舌な方でない親爺が日本酒を語らせた
ら包丁が止まるほどの匠であり、その日の料理に合わせて見繕ってくれ
る酒が料理をまた引き立たせるのです。
 甘口というかサラ口といえるのか「上善如水」から、「銀嶺立山」、
「久保田」に「百代」、辛口で有名な「三千盛」その他選り取り見取り
です。正一合のコップに升を受け皿にして、なみなみと出して頂けるお
酒は、まさに百薬の長です。
 京都へお越しの折に、河原町御池から烏丸御池付近にお泊まりの時は、
是非お立ち寄り下さい。ただし、夕刻七時前後は満席のことが多いので
事前に電話予約をされることを薦めます。電話番号については、勝手な
紹介ですから掲載を控えます。ご自身で探してください。
 茫猿の畏友であるWeb仲間では、次のお二人が「笹蔵」の味をご存
じです。メールでお尋ね下さい。お二人ともに日本酒・和食党でして、
このメルマガ味覚編を保証してくれることでしょう。
M.M氏
 http://www2s.biglobe.ne.jp/~sakuragi/
S.K氏
 http://www.synnet.or.jp/seiji.k/

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