金沢の倫敦屋酒場

【只管打座・・金沢の倫敦屋酒場・・03.05.07】
 百万石の城下町金沢にすてきな通りとくつろげる酒場を見つけました。
酒場は「倫敦屋」と云います。金沢の繁華街・香林坊から片町方面に向かって
歩き、新竪町(シンタテマチ)へと左に折れて次の小路を右に折れるとシックな
看板が目に入ります。(詳しい場所は、次に示すURLから確認して下さい。)
 創業三十余年、1946年生まれのダンディなマスターがシェーカーを振り
マドラースプーンを操る、今は数少なくなった本格派のバーです。
黒ダルマはもちろんのこと「角の時代」も「白札の時代」も知っている、マス
ターと会話をすれば、初めてお酒に親しんだ青春の頃がよみがえってきます。
 お店は重厚な造りで、壁には世界のお酒が並び、ミニチュア瓶のコレクショ
ンを一つ一つ確認するのも楽しいし、天井に飾ってあるスコッチメーカーが配
布した「酒名入りのカラフルなお盆」コレクション嬉しいものです。
経営はどうやら家族でなされているようで、アットホームな雰囲気です。
旅のフリ客でも丁寧に扱って頂けたし、お酒もおつまみも美味しいお店です。
※倫敦屋酒場のURL
 http://www.incl.ne.jp/londonya/bar/index.html
※茫猿が倫敦屋を探し当てたサイトのURL
 http://www.nsknet.or.jp/avc/kuishinbou/pub/1434.html
 倫敦屋には、他にも紹介したいことが幾つかあります。
その1
 スコッチのシングルモルトが沢山用意してあり、これがとても旨い。
ダルモア、マッカランなど、ブレンドウイスキーとはひと味も二味も違う世界
を楽しんでみて下さい。
 マスター「戸田宏明」氏が自著に書いていますが、「日本のウイスキーのレ
ベルは本場スコットランドに決してひけをとらない」という話があります。
ただし、これは大量規格生産のブレンドウイスキーにおいてであり、伝統的手
造りのシングルモルトの世界では及びもつかないという話です。
 このシングルモルトを各種、手軽に味わえます。
 茫猿は、あまりのおいしさに量を過ごして、痛めている眼のせいもあるとは
云え、階段を踏み外しました。
その2
 おつまみ、というよりも、食事が楽しめます。
倫敦屋酒場は、地階に「ペッシュ倫敦屋」という名のイタリアン料理店を併設
していて、ここのパスタもピザもカルパッチョも煮込みも酒場のカウンターで
味わえます。飲んで、食べて、会話を楽しんでというお店です。
その3
 先年亡くなられた作家「山口 瞳」氏をご記憶でしょうか。彼が金沢で愛し
た酒場が倫敦屋です。カウンターの奥の棚の一画に、山口氏の色紙と彼が愛用
した黒ダルマが飾ってあります。黒ダルマは氏のサイン入りであり、古いデザ
インのラベルは永年の使用を物語って、古色蒼然とし一部が欠けています。
 この辺は茫猿の推測ですが、黒ダルマとは「サントリーオールド」の愛称で
あり、サントリー縁(ユカリ)の山口氏はオールドのラベルデザインが変わった
後も、古いデザインを愛して使い回しておられたようです。
山口ファンなら必見の黒ダルマです。
その4
 「世紀の二枚舌」と題して、「バーテンダーは心の名医」云うマスターの自
著がレジの傍らに置いてあります。山口氏のエスプリの雰囲気をしのばせる
マスターの小粋な人生談義が文庫本になったものでして、これを読みながらお
酒を頂いても一時間ほどはアットの間です。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 冒頭にふれたすてきな通りとは、倫敦屋へ向かう途中の竪町(タテマチ)通り
のことです。アーケードの代わりに通りの各店舗が3mほどのひさしを2階か
ら上に設けている通りです。少しづつデザインが異なるのが嬉しいし、店の陳
列や配置も楽しめます。カラー舗装の通りは若者が多いし、緑やベンチも配置
され、通り両側の足元には、照明用やジャズを流すスピーカー用のオブジェが
並んでいます。
 金沢市人口は45万人強で岐阜市とそれほど変わらないのに、街の華やかさ
は及びもつかないのは、色々と理由が挙げられるとは云え寂しいことです。
岐阜市もオンリーワンを目指してユニークな街造りを願いたいものです。
 ところで、賢明な読者諸兄姉はもうおわかりでしょうが、倫敦屋は正統なバー
ですから、酒と食事(お好みです。日本海地物の寿司の後に立ち寄るのも結構
なものです。)と会話を楽しむお店です。
 日本酒と焼酎は置いてありませんし、カラオケもありません。
放歌高吟もマナー違反です。でも、山口瞳・開高健・柳原良平がお好きな方な
ら、或いは池波正太郎がお好きな方なら、きっとお気に召すでしょう。
 また、店の構えも、そんなに入り易い感じではありません。二の足を踏みそ
うな小さな扉ですが、大丈夫です。勇気を出して扉を引きましょう。
 古都金沢の夜がひときわ深くなります。
・・・・・・いつもの蛇足・その2・・・・・
 ここまで書いて、悩みました。こんな記事を掲載して、倫敦屋が混雑したら
迷惑だろうなと。でも『鄙からの発信』はマイナーなサイトだから、この記事
で客が押し寄せるなんてことはないだろう。茫猿が次に倫敦屋に寄れるのは何
時のことか、二年後か三年後か。
 誰か北陸の方、エクセル鑑定談義などで茫猿を呼んでくれませんか、花代は
倫敦屋とおろし蕎麦で十分です。季節は秋深まった頃か、雪の頃に。

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