鑑定士倍増問題

【茫猿遠吠・・鑑定士倍増問題・・04.10.12】
 読者から、下記の投稿を頂きました。
投稿者は面識のある方ですが、諸般の事情を考えて匿名掲載、並びに投稿の一部は割愛をさせて頂きます。
『投稿』
 茫猿様 不動産鑑定士政治連盟に関する委員会及び取引事例に関する委員会、また士業問題でご活躍の事と、敬意を表します。
ADR問題も何かと騒がれていますけど、私は新試験制度により即席栽培される新不動産鑑定士の問題が今、協会にとって一番大きい問題と思いますが茫猿氏はどう思いますか? 投稿者拝   (投稿文終了)
 投稿氏が指摘する問題は、下記事項に関連する問題である。
 「不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律」が、平成16年6月2日に公布されました。
 本法律による改正後の地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律は、平成17年4月1日(不動産鑑定士資格取得制度の改正関係は平成18年2月1日)から施行されることとなっています。(国交省サイトより引用)
 茫猿は投稿氏が列挙する士業問題も鑑政連改革問題も事例収集新スキーム問題もADR問題も、全て重要な課題と考えております。
いいえ、鑑定協会並びに不動産鑑定士が関与しなければならない問題は全て重要でしょう。しかし、ここで肝心なのは優先順位であろうと考えます。
 茫猿の考える優先順位は次の通りです。
1.個人情報保護法対応策検討と実施(保護法の全面施行・H17.4)
2.事例新スキーム対応策検討と実施(三大圏試験運用実施・H17.4)
3.鑑定法改正に伴う、「新試験合格みなし者」対策(新試験実施・H18.4)
 その他の問題は、1~3の進行と同時に解決される問題、もしくは必然的に解決策が浮上してくる問題と考えています。何故にそう考えるかは、『鄙からの発信』記事に既に述べていますから、お時間があればご参照下さい。
※例えば、「10/05/2004 基本姿勢は何処に」を参照して下さい。
 http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1096806854
 茫猿の最近のキャンペーン記事は、H16.6開催の鑑定協会定例総会議案に始まります。ご記憶の読者も多いことでしょうが、「協会事業報告案に軽々に他者を誹謗する文言を載せた事件」から、茫猿は協会役員諸氏に大きな物足りなさを感じています。役員諸氏のセンス、センサー、スピリットに疑問を抱いているのです。
※06/08/2004 茫猿の総会質問(公開)
 http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1086711700
※06/14/2004 省みて、ことの本質
 http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1087119629
 在京して、鑑定士を中心に、多くの方にお会いする時に、あるいは地元で多くの方にお会いするとき、諸氏のセンス、センサー、スピリットに疑問を感じます。全ての方が駄目などという訳ではありません。
問題の存在を認識していても、御理解の方向センスや認識センサーに疑問を感じる方々。問題の存在を認識していても、解決に向けて真っ向から努力しようと云うスピリットが乏しい方々等々、云えば愚痴になりそうな話が多過ぎます。
 茫猿は投稿氏が指摘する問題は、既に承知しております。今回の不動産鑑定評価に関する法律の改正に際して、当時の役員諸氏のセンスとセンサーが如何様であったかを疑問に感じています。でも新法は公布されました。
また、資格取得制度の改正関係はH18.2.1施行であり、投稿氏が指摘する問題は新試験が実施される「H18.4]以降の問題であろうと考えます。さらに云えば、同時に改正法付則第九条問題であろうと考えます。
(第二次試験合格者に関する経過措置)付則第九条
 旧鑑定評価法第七条第一項の規定による第二次試験に合格した者は、新々鑑定評価法の規定による不動産鑑定士試験(以下「新不動産鑑定士試験」という。)に合格したものとみなす。
 即ち現行の二次試験合格後、三次試験に未合格の人々は、
a.実務経験未了(いわゆる二次合格者)、
b.実務経験終了後、鑑定士補登録者及び未登録者(実務演習参加資格者)、
c.実務演習終了後、三次未合格者
 以上のパターンに分類され、その総数が約2千名とも3千名とも聞いています。この人達が改正法付則第9条のみなし規定により、H19.1以降に実施されるであろう「新試験合格者対象・実務修習」に「新試験合格みなし対象者」として参加するであろうと予想されることであります。
『過去三年間二次合格者平均数-三次合格者平均数=363-215=148名/1年
 過去十年間に限定しても、二次合格後三次未合格者数総数は1,480名となる』
 それは、短期間に鑑定士が倍増しかねないことであり、鑑定士促成栽培とも揶揄される大きな問題であろうと考えます。
 この問題は、多数の参加が予想される「新実務修習の実施体制確立」も含めて大層頭が痛いことであろうと考えますが、別の観点からは「新実務修習の在り方」次第でもあろうと考えます。
 ただし、新試験実施がH18.4であり、その後の(多分、H19.1.1以降)実務修習に「付則9条みなし対象者a~c」が参加してくると云う問題でもあります。
 関心を持たねばならない重要事ではありますが、只今の優先順位第一位は、やはり事例収集新スキーム問題であろうと、茫猿は考えています。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
臨時国会で司法改革にメドを (NHKニュースサイトより・ADR関連)
政府は、国民が利用しやすい司法制度を整備するための司法制度改革を3年前から進めており、これまでに、重大な刑事裁判に、一般の国民が裁判官と一緒に参加する「裁判員制度」を創設する法律などが成立しています。そして、一連の改革にあたってきた政府の司法制度改革推進本部が11月末で設置期間を終えて、廃止されるのを前に、臨時国会に、2つの法案を提出することにしています。
このうち、▽裁判所以外での紛争解決の促進を図る法案は、民事上のトラブルを、国民が気軽に安心して、法に基づく解決を図れるよう、国が認めた民間の機関でも調停ができるようにするものです。また、▽裁判所法の改正案は、司法制度改革によって、今後、司法試験の合格者の大幅な増加が予想されることから、司法修習生への給与の支給を廃止し、必要な場合は、無利子で資金を貸与する制度に改めるものです。政府は、臨時国会でこれらの法案の成立を図り、半世紀ぶりといわれた改革に一定のメドをつけたいとしています。

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