構築内定:士協会NW

【茫猿遠吠:構築内定:士協会NW:05.05.18】
・・・・・杞憂は晴れるか・・・・・
 『鄙からの発信』において提案し、関連委員会においてもプロモートを続けて参りました「士協会ネットワーク構築」につきまして、H17.05.10開催の鑑定協会・常務理事会並びにH17.05.17開催の理事会におきまして事業計画並びに予算案が承認されました。6月開催の鑑定協会総会における承認が残されていますが、過去の例からすれば多分原案通り承認が得られるでしょう。


 事業計画案は、茫猿の提案にほぼ即するものであり、昨年より関わってきた者としては欲を云えば切りがないわけで、鑑定協会の厳しい財政状況を考え合わせれば概ね満足できるものです。中央管理システム構築を含めた関連予算総額は7,000万円であり、内2,900万円が士協会システム構築費用に充当されます。士協会システム構築及び維持費用の詳細は、下記PDFファイルよりご覧下さい。
士協会NW構築費・維持費積算資料
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050518112305004.pdf
 士協会NW構築初期投資額について、どの部分を一括払いし、どの部分をリース契約とするかは、今後各士協会の意向を踏まえて検討されるものでしょう。
 現段階で云えることは、参加士協会及び参加会員数により増減はあるものの、全会員参加を前提に全ての経費をリース契約とすれば、会員一人当たりの月額負担は2,300円であり、改定された資料管理閲覧等規程に規定される実費主義を適用すれば、さらに低額な負担においてNW構築及び維持が可能です。
各士協会においては管理用端末設置や管理者ID維持費を除けば、新規の予算措置は不要であると云うことです。
 今後は、当該事業を所管する特別委員会等プロジェクトチームの早急な設置、そして実施スケジュールその他細部の詰めが残されていますが、事業採用・予算措置が決まれば、構築自体には多くの問題はないものと考えます。
出来得れば、中央管理サーバシステムと同時構築、運用開始が望ましいものですから、遅くとも8月末までに運用開始がされれば好ましいと考えます。
 もちろん、これもかねてから申し上げておりますことですが、
構築されたネットワークを利用するか否かは各士協会の専決事項でありすが、「採用するに如かず」は自明のことでもあろうと考えます。
 自明である由縁は
1.構築初期費用を鑑定協会が立替負担すること。
2.安全管理措置は中央管理サーバシステムと同等であること。
3.全国の士協会が同一基本システムを採用する利便性があること。
4.独自に同等の安全なシステム構築は多額の費用負担が必要であること。
5.システム及びデータの互換性が維持されること。
6.グループウエア、事例閲覧課金システムも運用できる 等々です。
 何よりも、個人データに係わる安全管理措置が充足されるものであり、閲覧印刷資料にも必要な安全管理措置を施すことが可能となるのは大きかろうと考えます。
 資料印刷物の安全管理措置とは、注意喚起を促すために印刷物に印刷者名や印刷日時、注意事項を重ね印刷することにより、複写を防止し事故につながりかねない安易な資料管理を抑止することです。
 第4項について云えば、独自にセキュアコネクトを構築すれば、多額の費用負担が発生するだけでなく、二重システムの維持となります。またデータファイルを運用するパッケージソフトに係わるライセンスも別物となりますから、その負担は軽視できません。
 さらに見逃せないのは、中央管理サーバシステムと基本設計が同じであることにより、トラブル発生に係わる責任問題が大きく軽減されることです。
その上で、中央管理サーバシステムと異なり、WEBBOXというグループウエアを導入することによる利便性の向上は計り知れないものがあります。
他にも共有フォルダーの設置も可能であり、各士協会の自主的かつ独自運用の分野も担保されます。
 維持費は士協会負担、または個々の接続会員負担となりますが、事例閲覧料課金システムを併用することにより、閲覧管理事務が軽減されるとともに資料管理規程第26条に規定する実費主義の適用が容易に可能です。
『今後の課題』
 現時点で茫猿の杞憂は晴れたかと云えば、解消にはほど遠いと云わざるを得ません。なぜならば、まだまだ多くの障壁が残されているからです。
一つは、各士協会並びに会員の理解を得るのに多くの時間を要するであろうと予想されることです。デジタル化のさらなる進捗は少なからずの会員にとって消極的とならざるを得ないものでしょう。
 一つは、各士協会が稼働させている現行システムとの整合性維持や乗換に伴う問題が予想されます。現行システム稼働に費やした時間と経費を捨て去ることができるか否かということです。同時に新スキームが未施行地域においては、構築に向けての意欲を高めることができるか否かという問題もあります。
 この点に関しては、新しく構築する士協会NWにおいて、既存スキームによる事例照会が可能であるための機能を整備する必要もあります。
つまり、士協会NWに閲覧データを取り込めば印刷・発送して事例照会が行えるようにして、新スキーム地方版を立ち上げることです。その結果として新スキーム中央版と地方版を併せれば、各士協会所管エリアにおいて悉皆調査が実現するものとなり、それは結果として全国悉皆調査が実現します。
 全国悉皆調査実現に関しては、士協会NW構築を与件として、新スキーム提供異動データを早期に全国・全面提供されるべく所管庁に働きかける必要があると考えます。
 課金システムに関しては、各士協会の資料閲覧規程を反映した運用が必須であろうと考えられますし、閲覧接続権の範囲も士協会の自主運用に委ねられるべきものと考えられます。
 さらには、グループウエアやサーバ上の共有フォルダーの利便性を如何に理解して頂けるかということもあります。いわゆるIT化でありデジタル化なのですが、この問題は百聞は一見に如かずでありまして、早期に運用を開始して各会員が習熟する以外に好い方法は無かろうと考えます。
電話、ファクシミリ、携帯電話などの利用と同じことであろうと云えます。
 ここまで運んで頂いた鑑定協会役員諸氏のご尽力に深甚の敬意を表すとともに、早期稼働に向けてさらに一層のご尽力を頂きたいと願うものです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 今回の士協会NW構築は、その実態として全会員にID並びにパスワードを付与することです。ここには業者会員が関与する余地は全く無く、不動産鑑定士会員の個人責任が貫徹されるものであります。このことが近未来的に何をもたらすか、賢明な読者は御理解のことと思います。
 士協会NWの構築は、IT化の進捗や様々な利便性獲得に止まらず、とかく業者会員が優先されたり先行したりしてきた鑑定協会運営が、鑑定士会員を基盤として行われてゆく端緒となるものと予想します。
しかしながら、如何なるシステムを構築しても、その運用によろしきを得なければ、ただの画餅に帰してしまうでしょう。
 最も肝要なのは、会員がシステムを縦横に使いこなすことであり、ナレッジマネージメントを目指すことであろうと考えます。事例閲覧とか個人情報保護と云う次元に止まらない、豊かな発想が今こそ求められているのです。そういった意味では、40年に及ぶ鑑定評価の歴史の大きな転換点となるであろうと期待できるのです。

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