パロデイとステイグマ

【茫猿遠吠:パロデイとステイグマ:05.08.01】
 先日、某県士協会資料閲覧規定の改訂に関わる案内が、
地元士協会事務局からファクシミリ転送されてきた。
その内容は、閲覧者資格について、以下に改訂し
1.鑑定協会会員及び各県士協会会員に限定すること。
2.当該士協会周辺地域連絡会関係については業務補助者も可とすること。
※業務補助者については、地元地域連絡会発行の証明書持参が要件である。
閲覧料について、以下に改訂するという告知である。
1.地元周辺地域連絡関係者は低額とし
2.その他の鑑定協会会員は地元ブロック関係者の三倍を求めている。
3.資料の複写料についても2.5倍の格差を設けている。
 昨年秋以来、個人情報保護法施行と時期を同じくして、全国都道府県不動産鑑定士協会では資料閲覧規定の改訂が活発であり、大なり小なり前述の内容に近似する改訂を実施する会が多く見受けられる。
 閲覧資格と閲覧料格差を設けることの背景は、業務委託者が存在するエリアと業務対象現場エリアとの乖離にある。つまり都会の(業務)ハンターが過疎地で我が物顔で(業務)狩猟をするに際しての入山料と比喩すればよいであろうか。
 この手の比喩は物議を醸すものであろうが、情報のクローズ・ディスクローズに関わる問題は永遠の課題とでも云うものであり、何も鑑定業界に限ったことではない。
 昨年6月以来、正しくはこの十年間といってもよいであろう。
茫猿が追い求めてきたテーマは、資料の悉皆調査実施とネットワーク構築である。特に今は、ブロードバンドネットワーク構築をテーマとして追い求めている。
 ネットワーク構築の目的は、情報の双方向性確保、同時性確保、共有性確保であろうと考えます。これらのもたらす結果は、インターネット・ブログの世界が一番端的に示しているであろうと思います。
 これは2チャンネルの世界とは似て非なる世界であり、
似る部分も多少はあるが、似ない部分が多い世界であろうと思われる。
 垣根の低いブロードバンドネットワークとその対極に位置するアナログ型閉鎖情報網が併存することをパロデイという。
・・・・・・いつものスティグマです・・・・・・
 取引情報の開示・非開示問題に関して、こんな非難が寄せられました。
「茫猿はネットワークだとか何とか、偉そうなことをほざいているが、地元岐阜県士協会では地価調査の林地事例すら開示していない。
このような閉鎖状況を放置する男の云うことなど信用できない。」
 岐阜会が地価調査林地事例を開示していないことは初耳でした。
何せ、地元会の役員を退いてから時間が経っています。
この件を地元会役員に確認しましたら、部外閉鎖は事実でした。
 ただし、閉鎖は役員会の主導によるものではなく、業務委託者である県当局の指導によるものとのことでした。
 この件に関して問い合わせに答えた役員氏は、こう指摘します。
山国岐阜県において数が少なく個別性が高い林地事例を不用意に開示することは誤解を招くもとであると考える。したがって、パートナーシップを利用してもらい、事例カード化されない資料も含めて十全に背景を把握するよう努めてもらう方が好ましいと考える。
 茫猿も林地に関してはパートナーシップの活用が好ましいと考え、彼の意見に賛成です。でも短絡的に非開示を非難されるのであれば、開示して放っておこうと思います。
 都心の高層テナントビルの評価とは全く異なった意味で、山間僻地の広大な林地及び立木の評価は、物件の確認・確定から始まって困難な問題が多いものであり地元精通者の活用が不可欠であろうと考えるのです。
念のために、
林地関連の一部事例以外は全面的に開示されています。
また、閲覧に際しては紙情報は追放済みであり、全面デジタル閲覧です。
・・・・・・断片転載です・・・・・・
 第244回理事会報告が地元士協会事務局から送られてきました。
そのなかより、抜粋します。(中部選挙区・田中理事発信)
 初めて参加した印象は、多士済々なメンバーが集結し、斬新なアイデアも出され、 大人しく終わりという感じでもなく、横須賀会長の評価書に対する質問について、初回から怒声が飛び交うシーンもあるなど、熱いイメージでありました。
「新スキーム合同検討委員会への要望(各理事から)」
・公示制度と取引事例情報提供制度は全く別物であるのに、ごちゃ混ぜにしているのはおかしいのではないか。
・国土交通省によると情報提供のための予算はほとんどない(つまり地価公示と地価調査の予算に便乗)とのことであるが、この制度は国民経済の根幹を形成するものでもあり、予算を計上してもらうようねばり強く交渉すべきである。
・地番情報まで含めて東京で閲覧可能となると、地方鑑定士としては膨大な事例作成コストを抱えるのみであり、仕事は大都市圏に流れるのみであるので、管理体制を各地方士協会に任せてもらいたい。
・地方圏での取引事例作成コストは都会圏に比べて大きい。すべて作成するとなると 閲覧料金の高騰となるのではないか。
・取引事例閲覧制度と事例収集体制は別物ではなく、同時並行的に議論して行くべきである。
『茫猿独白』
 執行部の説明力不足か、理事諸侯の理解力不足か、
いずれにしても、新スキームを全国的に説明しようとする
姿勢に欠け、努力に欠けていたことは否めないことであろう。
 プレゼンテーション用デモサイトの構築も、予算不足で撥ねられた。
・・・・・・いつものスティグマ-2です・・・・・・
 ようやくに積んでおいた「希望格差社会・山田昌弘著、筑摩書房」を読み終えました。とても時間がかかったのは、読めば暗くなるから読みたくなかったせいです。
 教育、職業、家庭の二極化がどんどん進行し、希望格差がますます大きくなってゆく社会を解説している本です。ざくっと意訳するとこういうことです。
・高学歴・高収入の女性が、高学歴高収入の男性と結婚して
・豊かな安定した家庭を築きます。当然共稼ぎです。
(対極)【フリーターはニートと結ばれて悲惨な生活を始めます。】
(対極)【時に、出来ちゃった婚からDVや幼児虐待が始まります。】
・高学歴家庭の子弟は安定した高度な教育機会を得ます。
・高度な教育を受けた子弟は、安定した職業を得ます。
・専門職、上級公務員、上場企業総合職 等々
(対極)【不登校、引きこもり、中途退学、etc】
(対極)【教育効果を得ないままに社会に出れば、其処に待つものは】
(対極)【フリーター、アルバイト、などその日暮らし】
 どうすればよいのか、適切な処方箋が見つからない。
 見つからないままに、社会不安がつのってゆく。
 経済的セイフテイネットでは救えないところに、問題の根は深い。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 個人情報問題は相変わらず騒がしいのですが、鑑定業界では喉元が過ぎたように見えます。不断の継続更新が欠かせないと思えるのですが、その意味から興味ある資料です。『再掲』
個人情報保護およびプライバシーマーク関連リンク集(業界ガイドライン)
http://www.jisa.or.jp/pdguide/link06b-j.html
「生命保険業における個人情報保護のための取扱指針について」(PDFファイル)
http://www.seiho.or.jp/news/h16/pdf/seihosisin.pdf
「生命保険業における個人情報保護のための取扱指針の安全管理措置等についての実務指針」(PDFファイル)
http://www.seiho.or.jp/news/h16/pdf/jitumusisin.pdf

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