風神雷神Ⅱ

 GW中の5/5に大阪の万博記念公園でジェットコースター事故が発生し、1名が死亡し19名の負傷者を出した。TVニュースで対応記者会見などを見るたびに発生当初から得体の知れない違和感を感じていたが、その原因がおぼろげながら明らかになりつつある。


 違和感の元の第一は万博記念公園を管理する万博機構の存在である。独立行政法人日本万国博覧会記念機構は、そのサイトによれば『人類の進歩と調和を主題として開催された日本万国博覧会の跡地を一体として保有し、これを緑に包まれた文化公園として整備し、その適切な運営を行うとともに、日本万国博覧会記念基金を設けてこれを管理する等の事業を行うことにより、日本万国博覧会の成功を記念することを目的としています。(独立行政法人日本万国博覧会記念機構法(平成14年法律第125号。第3条)』とある。
 事故を起こしたエキスポランドは株式会社エキスポランドが運営するものであるが、この株式会社エキスポランドと万博記念機構との関係は出資関係など今ひとつよく判らない。しかし、両者の所在地はともに「大阪府吹田市千里万博公園1番1号」である。密接な関係があるとみて間違いないだろう。
 そして(株)エキスポランドの代表者は山田三郎氏であるが、山田氏は同時に遊具施設の製造販売管理を業とする泉陽興業の会長でもある。さらに泉陽興業のHPを見ると関係関連会社として「株式会社エキスポランド」が掲載されている。 「風神雷神Ⅱ」については、泉陽興業が代理店として機器を納入したという。HPには「万博記念公園エキスポランド営業所」も掲載してある。
 エキスポランドで事故を起こした「風神雷神Ⅱ」について、類似機種を採用する他の遊園地では車軸の取り替え等のメンテナンスが行われているのに、エキスポランドでは実施されていなかったというし、自社でメンテナンスも行っていたという不自然さがこの両者の関係から何となく滲んでくる。
 何よりも不明瞭なのは上位組織とも云える「独立行政法人日本万国博覧会記念機構」の在り方である。機構の設立目的からしても無関係では無かろうに未だに音無しの構えである。エキスポランドの運営は運営会社に委託してあるからと口を拭っていてよい問題ではなかろうと思われる。
 この機構の組織と役員構成と役員報酬や退職金支給状況は次のとおりであるが、職員数48名の機構で月額報酬70万~90万円の高給役員が理事長1名理事2名監事2名・計5名という構成である。
・役員の数、氏名、役職、任期及び経歴、職員数
・日本万国博覧会記念機構役員報酬規程
 退職金の支給状況その他は、機構概要から見て下さい。
 読者が誤解しないように述べておくが、茫猿は天下りだとか渡り退職金だとかについてヤッカミ半分やネタミ半分で記事にしているのではない。万博機構とエキスポランド社との関係が正しく判っていないが、少なくとも上位組織として或いは運営委託者として「万博機構は緑に包まれた文化公園として整備し、その適切な運営を行う」責任があろうと考えるのである。とすれば、その責任の在り処や取り方を速やかに明らかにする義務があると考えるのである。特に役員諸氏はその経歴からすれば「ノブレス・オブリージュ 」を果たすことが求められているのではなかろうか。

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