いちゃりばちょーでぇー(続)

島唄酒場:鳩間島で知り合い、母娘島唄酒場:樹里でいちゃりばちょーでぇーとなったS藤さん、お住まいは東京都T市、以前のお仕事はシステム設計、現在のお仕事は店舗設計、年齢は40代。 数年前の転勤先だった沖縄で、スキューバダイビングのインストラクター資格を得るために、今はウイークリーマンションに滞在中という、羨ましい自由人な方です。
彼に「明日の予定は?」と尋ねられて、「岐阜から悪友連が着く夕刻まで、特に何も。」とお答えしたら、「明日は私もフリーですから、是非とも久高島にご案内しましょう。」と言うのです。 久高島?と問い返しましたら、沖縄のお伊勢さんみたいなところですと言うのです。
レンタカーを借りていますからホテルまで迎えに行きますという彼の誘いに甘えたのですが、聞いたこともない小さな島に惹かれたのは、彼が「何もない島ですが、沖縄のお伊勢さんなんです。」言ったからです。 以前からの読者はご存じでしょうが、茫猿は瀬戸内海の島という離島に縁があります。 茫猿が附けた島の惹句は「何もない島だが、何でもある島」というのです。 そんな島つながりの縁に惹かされて、彼と久高島へ渡ることとしたのです。


翌朝、ホテルに現れた彼のレンタカーを見てクチアングリです。何とベンツE300、しかも下ろして2ヵ月のベンツです。これしか無かったのですとは言うものの、新車のベンツに同乗させて貰い、那覇から約25キロ東の安座真港まで海岸線をドライブして、高速船の乗客となりました。
久高島については、島のサイトがありますから詳しい説明はしませんが、周囲約8キロ、人口約200人の離島もお彼岸の連休中ですから多少の観光客や里帰りの人がいますが、それでも閑かなものです。昼下がりの集落内は人影もまばらです。 久高島の昼下がり、人気のない集落の路地。

帰ってから知ったのですが、この石垣も久高島風景資産として保存が話題になっているようです。 これで、サンシンの音が聞こえてきたら言うことないですねと話したら、S藤さんいわく、今はオバーもオジーも皆昼寝のまっ最中ですよ、サンシンが聞きたかったら民宿に泊まって下さいと返されました。
彼の知り合いという海ぶどうの養殖場を垣間見、メーギ浜、ウドゥンミャー、タルガナー(イラブーの薫製小屋)を眺めたら約一時間、真昼の路上はこちらが干物状態になる始末です。 そこで、フェリー待合所の「とくじん」へ戻って頂いたのが「沖縄ぜんざい」。 彼が「ぜんざい」と注文するのを横で聞いていて、慌てて私はコーラかジュースと言ったのですが、「イイカラ、イイカラ、食べてみて下さい。」と、取り合いませんから待つことしばし、出てきたのは内地では氷アズキという代物、処変われば品変わるです。 ところが氷に乗っかっているのはアズキ餡ではなく、薄甘口に炊いた金時豆、それにこれも薄甘の黒蜜がかかっています。 噴き出す汗が引いてゆくさっぱりと後口の爽やかな正真正銘の”氷金時”でした。 (これが沖縄ぜんざい、地元では単にぜんざいと言うのだそうです。)
S藤さんのガイド極め付きは、フェリーで久高島から安座真港に戻ってからです。 こちらもフェリー乗り場の横にある小さな食堂に案内されて、「イラブー」を食べてみませんかと言うのです。 イラブーというのは確かウミヘビのことだったと思いながら生返事をしていますと、彼は是非食べてみて下さい、身体に良いですよと勧めます。
朝からベンツでガイドをしてくれた楽しいイチャリバチョーデェーの勧めです。むげに断るのもと勧めに乗ったのですが、出てきたのはイラブー汁と五穀米飯、それに小品皿盛りです。 薫製を戻したイラブーは長さ5~6cmほど、煮崩れしないように凧糸で結わえてあります。 見かけは真っ黒で鱗のあともありましたが、とにかく完食しました。 疲労回復、滋養強壮食品ですから、一般的な美味とは違いますし薬膳風(薫製独特)の臭みというか匂いもあります。 素直に申して、メインのイラブー汁よりもパパイヤサラダ、ゴーヤ味噌漬、海ブドウの方が口にあったのです。
それに私の前にイラブー定食が運ばれてきて間もなく、S藤さんの前にはなんと「沖縄ソバ」が出てくるではないですか、イラブー汁は昨日も食べたからと彼は言い訳するのですが、内心「ソリャー ナイヨ 取っ替えてホシイネ」という気分がしないでもありません。 でもね、彼が案内して勧めてくれなければ食べなかっただろう「イラブー汁」を試すことが出来たのですから、やはりS藤さんには感謝します。 食堂横の売店にあったこの姿を見た後だったら多分喉を通らなかっただろうイラブーでした。 いちゃりばちょーでぇー  くわっちーさびたん(ご馳走様) にふぇーでーびる(有り難うございます)
久しぶりに定番の蓋です。 久高島にて、地名は合併前の知念村。

高速艇から見た安座真港の桟橋。

国際通り歩行者天国ではエイサーにも出会いました。

S藤さんと那覇市内でお別れして悪友連と合流した茫猿がその夜向かったのが島唄酒場あかがーら、三線、島唄、泡盛古酒(くーす)、ちゃんぷるー、それに、いちゃりばちょーでぇーとイラブーの沖縄気まま旅でした。

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