伊豆半島西海岸を走る国道414号線沿道に沼津御用邸記念公園はあります。詳しくはこちらのサイトをご覧下さい。旧皇室御用邸が廃止されたあと沼津市が管理運営する御用邸記念公園です。訪れたその日は菊華展も終わり、三連休の中日(11.23)ながら来園者も少なく、静かな園内でした。幼児連れのことですから、施設観覧はやめて園内入園だけとしましたから、入園料は百円です。 しかし、手入れの行き届いた園内の庭と沼津垣《割り竹や笹竹を編み組んだ網代垣》、柾目のヒノキを使った施設や渡り橋など、心豊かになごませてくれる記念公園です。
松林のなか、海沿いの芝生土手などで、幼児は思う存分に駆け回り、転び廻って楽しんでくれました。海岸と公園の境を区切るフェンスの存在がやや興ざめではございますが、管理上はやむを得ないでしょうし、幼児連れにはフェンスの存在が安心でもありました。芝生土手の上からフェンス越しに駿河湾に映える西陽を眺めている茫猿一族です。
園内には厩舎を改装した「主馬」という茶店もありました。厩舎とはいっても立派なヒノキ材を使用した軒高の高い見事な造りであり、園内の松を使用したテーブルが並ぶ店内は茶店というよりはレストランと呼ぶにふさわしいお店でした。写真は併設されている離れ風の建物を改装した蕎麦店です。蕎麦専門店が毎日二十食限定で手打ち蕎麦を提供しているといいます。《突然に思いついて訪れたことですから仕方のないことですが、当然に売り切れでした。 いつか機会があれば、蕎麦も好物だという孫とふたたび沼津で落ち合って訪ねてみたいと思いますが、かなう機会の有りや無しや》
菊華展の名残りでしょうか、青竹を使ったオブジェが幾つか展示されていました。
園内から浜辺へ出ることはできませんが、公園入り口の脇から海岸へ続く「お成り道」が設けられています。小さな玉石でモザイク模様が飾られるお成り道に架かる渡り橋は柾目のヒノキ造りです。孫は思う存分駆け回り、おとなは松林やツワブキ、山茶花、色づいたツタを楽しみ、波穏やかな駿河湾にキラメく晩秋の西陽を浴びた至福の午後でした。
暮れ始めた四時頃に東京へ帰る孫たちを沼津駅へ送り届けた茫猿は、老妻とふたり鄙里まで三百キロの道を駆けるのです。浜松からの早朝150kmを合わせれば、一日に450kmという行程はもう長いこと経験したことのない距離です。 疲れたら何処かの温泉宿で一眠りと考えてはいましたが、途中のSAで二度ほど休憩しただけで、五時間ほどで駆け抜けたことです。 それもこれも孫娘と楽しめたからこそであり、疲れ果てた老残の身には鄙里の風呂がとても恋しかったからこそのことでした。 それにつけても旧御用邸の二十食限定・手打ち蕎麦は今も心惹かれます。
《追記》 孫娘の笑顔やはしゃぐ声を思い出していると、今は三十路半ばになった孫二人と一泊二日の小旅行を楽しんでいた老親のことが浮かんできます。 飛行機や新幹線を使った旅ですし、せっかくだから二泊したらと勧めても一泊で十分だといつも言っていました。今の私と似たような年齢でしたが、祖父祖母と幼い孫二人の四人旅では一泊二日が限界だったのだろうと、当時のお袋や親父の気持ちが今はよく判るのです。
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