去る12月16日、滋賀県鑑定士協会は「不動産DIサミット2015」をテーマとする第二回びわ湖会議を2015.02.27に開催すると公表しました。 DI《Diffusion Index》とは、現況や先行きの見通し等についての定性的な判断を指標として集計加工した指数である。DI調査として有名なのは、景気動向指数(内閣府が公表している景気の動向指数)や業況判断指数(日本銀行が公表している景気判断の指数・日銀短観)である。
不動産取引の結果については、全国的な規模で国土交通省や大手不動産会社が調査をし、公表している。ところが、先行指標となる不動産の現在市況や先行き調査は、殆ど実施されていない。2008年に公益社団法人滋賀県不動産鑑定士協会が、「滋賀県不動産市況DI」を調査公表したのが、鑑定業界における不動産市況DI調査の嚆矢である。 来年開催の「続・びわ湖会議」は、この不動産市況DIについて新たなステージを目指す会議である。
DI調査は、景気局面の判断や、予測と景気転換点(山・谷)の判定に利用される景気動向指数のひとつである。 業況感や、景況感といった明確に数値化しにくい対象を、比率化することで景況の先行きを判定するものである。 指標となる「景況感が良くなった」という意見から、「景況感が悪くなった」とする意見を差し引いたものに100%をかけて算定。50%を景気判断の分かれ目として、0%寄りでは「先行きが悪い」、100%寄りであれば「先行きが良い」と判断される。経済活動間における景気のタイムラグを利用して「先行」、「一致」、「遅行」の3指数で構成されている。
不動産市況DI調査は既に20の各県士協会に拡大しているが、大都市圏である都・府・道は未着手のようである。 調査対象先が宅建業者であることから、宅建業協会とのコラボレーションが不可欠なのである。しかし大都市圏宅建業界の理解を得ることは困難なことが多いだろうし、鑑定業界においても都市圏大規模会の意思統一が難しいことであろうと思われる。
そうであるにしても、宅建業界も鑑定業界も公益事業として取り組む意義は大きいと思われる。 また宅建業界の理解と意思疎通を図ることはDI調査以外における影響や効果も大きかろうと思われる。 調査の積み重ねと全国展開による全国横断的分析が今後の課題なのである。 同時に短期的な利害得喪を超えた長期的かつ持続する事業遂行意思が求められるものでもあろう。 今回のびわ湖会議はそれらの課題に向き合い、新しい次のステージを目指すものであろうと考える。 滋賀会のサイトには全国の実施域を総覧するページが掲示されていますから、ご覧下さい。 http://www.siga-area.net/japan-di
2010年頃から各地で始まった「不動産市場動向DI調査」が全国的に広がってゆくのはとても良いことだが、同時に各地士協会における調査が微妙に独自性を深めてゆくことも懸念される。独自性を深めてゆくことも必要であろうが、調査形式や時期、用語、発表形式等について全国的な統一性も早い時期に検討しておくべきであろうと思われる。そういった観点から、全国統一調査とエリア独自調査との融合も考えておくべきではと思われる。
また、現時点においても直ちに実施可能なこととして、こんなことが考えられる。
①滋賀会のDI調査全国総覧サイトのリンクを各士協会サイトや連合会サイトに張る。
②連合会の支援と協力を得て、全国DI調査を公表する独自サイトを立ち上げる。
③単に各都道府県調査結果の羅列だけでなく、全国横断的な分析を行う。
分析結果は鑑定士の予期するものにはならないかもしれないが、予定調和の世界を目指すことには意味が無く、調査を継続し充実してゆくなかで見えてくるものもあろうと考える。 さらに、鑑定業界のプレゼンス向上にも寄与するであろうと考えるのである。
【DI指数について】(岐阜県士協会サイトより引用)
DIとは、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、現況や先行きの見通し等についての定性的な判断を指標として集計加工した指数であり、経済指標等において広く活用されている指標です。 DIの算出方法は、各判断項目について5個の選択肢を用意し、選択肢毎の回答数を単純集計して、次式により算出します。
DI={(第1選択肢の回答数×2+第2選択肢の回答数)-(第4選択肢の回答数+第5選択肢の回答数×2)}÷2÷回答者数×100
本調査では、上昇(増加)から下落(減少)までの判断を5段階で調査し、DIが0.0以上なら改善したとみる宅建業協会会員が多く、逆に0.0以下なら厳しい見方が多いことになる。
(1) 調査方法:郵送によるアンケート調査
(2) 調査対象:社団法人岐阜県宅地建物取引業協会の会員
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